あらすじ
多くの人が人生の指針を見失っているこの混迷の時代に打ち込む、「生き方」という一本の杭。私たちの人生を成功と栄光に導き、また人類に平和と幸福をもたらす王道とは何か?京セラ・KDDIを創業した著者が贈る、渾身の人生哲学。
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失っていた生き方
混迷の時代に対する、普遍的且つ正しい生き方を学べる。
人は迷う生き物だからこそ、哲学が必要。
大それたものでなく、人間として何が正しいかという根本的な部分を大切にした、稲盛和夫氏に感銘を受けた。
Posted by ブクログ
稲盛和夫氏の著書『生き方』は、経営者として、また一人の人間として、真に豊かで意義のある人生を歩むための哲学を説いた一冊である。本書の中核をなすメッセージは、「人間として正しい生き方を貫く」ことに集約される。著者は、人生の目的を「人間性を磨くこと」と明確に定義し、その手段として「一生懸命に働くこと」の価値を強く主張している。仕事とは単に生計を立てるための手段ではなく、自らを高め、社会に貢献するための修行の場であると位置づけられている。
また、人生や仕事における成果は「考え方×熱意×能力」の掛け算によって決まるという独自の公式が紹介される。この構造により、特に「考え方」の重要性が際立っている。いかに能力や熱意があっても、考え方が誤っていれば成果はマイナスになる。一方、能力が平均的であっても、正しい考え方と強い情熱を持つことで、大きな成果につながるという信念が全体を貫いている。
さらに本書では、「思い」が現実を形づくる力を持つと説かれている。強く願い、繰り返し心に描くことで潜在意識が活性化され、現実を動かす力となるという考え方は、現代におけるアファメーションとも共鳴するものである。
また、リーダーには高い人格が不可欠であるとも強調される。高い地位にある者ほど、誠実で謙虚であるべきだとし、「才よりも徳を重んじる」という徳治の思想を通じて、真のリーダーシップの本質を説いている。
終章では、「利他の心を持って生きる」ことの大切さが語られる。自己の利益追求にとどまらず、他者の幸福を願い行動することが、結果として自身の成功と幸福につながるという考え方である。心を磨くための「六つの精進」や、感謝の心、素直な姿勢の大切さも繰り返し述べられており、人生を通じて成長し続ける姿勢(≒生き方)の重要性が強く印象づけられる。
Posted by ブクログ
夏に自分の価値観を創造しようと名著を探し、読んだのがこの本でした。特に心に刺さったことは二つ。一つは、今の時代古き宗教は時代遅れだ胡散臭いと非難されがちだが、それを排除すると共に宗教で描かれている社会での常識や心のあり方などの大事な部分も排除してしまっている。というところである。確かに、今の日本人は常識や根性がある人が自分を含め、少ないと思う。ある意味いい時代になったと捉えられるかもしれないが、その影響により、一人一人自分の行動に責任を感じるところも薄くなってきてしまっていると確かに感じた。
最初この文を読んだ時、「これ、宗教勧誘の本?」と思い、その後も仏教の話が続いたため、少し呆れていたが、無理に仏教を押し通すわけでもなく、著者が淡々と説明してくれるため、本を読み終わった時には仏教の本質的なところは確かに今の社会でも重要であると気づくことができた。
二つ目は、例え損をしても曲げないこだわりや価値観を持つべき。というところである。稲盛さんは株はいっさいやらなかったそうだ。楽して稼ぐお金は因果応報の法則によると、よくないものだと判断したからであるそうだ。このように、例え損してでも曲げないような価値観があるのは生き方として尊敬した。だが、ある意味柔軟性が足りないのでは?と私の浅はかな思考ではなってしまった。
それを踏まえてもう一度あの文章を読み返して理解を深めて行きたいと思う。
Posted by ブクログ
「稲盛さん」とは、宗教である。彼は仏教を心に持っている。どちらの宗教にせよ、人生の訓えを知っており実行している人は、芯がしっかり通っている。やはり普通の人とは違う。 私が彼を知ったきっかけは、お気に入りの本の一つである「沈まぬ太陽」からであった。御巣鷹山事故を起こしたNAL(実際はJAL)再建に白羽の矢が立ったのが、何を隠そう稲盛和夫氏なのだ。私はこの人物に興味を持ち、偶然本書を見かけて読むことになった。稲盛氏は京セラ・第二電電(現KDDI)の創業者であり、数々の慈善事業にも積極的に参加している。 彼は「前世の業が垢としてへばりついている」「生まれた時よりも、魂を少しでも崇高なレベルにして死んでいくことが目的である」と仰られているが、私の両親も仏教徒であったため、この言い分には大変納得である。本書は胸に迫るものがあり、涙ぐんでしまった。また、稲盛さんの書く文章には驚いた。一切難しい言葉が使われていないのだ。終始、簡単で分かりやすい言葉遣いを徹底されており、読みやすい。常時謙遜され、傲慢さがまったくない。これほど読んでいてスッと素直に聞ける本は珍しいと思う。稲盛氏の顔つきも柔らかく、左右平等で、優しいお顔をされている。