【感想・ネタバレ】マッキンゼーが解き明かす 生き残るためのDXのレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

マッキンゼーが解き明かす 生き残るためのDX
編著:黒川 通彦, 平山 智晴、松本拓也、片山博順

DXをきっかけとし、強い危機感を社内に醸成し、自社を破壊し創造し直した企業だけが生き残っている。日本では、各企業の置かれた環境は異なり、まだ当分、脅威が感じられない、という業界もある。しかし、来るべき脅威の波に備えて、古くなってしまった企業の常識をいまから変革していかないと、危機が来てからでは、間に合わない。

DXの本質とは、「生き残るための自社の企業文化の破壊と創造による企業価値の向上」である。

本書の構成は以下の5章から成る。
①産業構造の大きな変化
②DXで何を目指すのか
③日本企業の足枷と挑戦
④DXを成功させるために必要なこと
⑤あなたは、何をすべきなのか

DXは2、3年先のことを考えて行うのではない。数十年先、そして十年単位でも生き残るため、変化への耐性を養うために行うのである。DXは常に進化しつづけることが大切である。業界や置かれた環境にもよるが、DXを阻害しているレガシーシステムや変化を怖がる、リスクを取りたがらない、臭いものに蓋をするというような成長志向ではなく、後退していることにも気付かない、現状維持を求める5年間は安泰というような危機感の欠如を取り除くことが必要である。

人を変えるのは難しい。まずは自分から、そして自分のまわりから、怖がらず大義を持って必要性を考え、勉強し続けることでDXが実務に即した機能的な変化へと昇華していくことになる。

導入し、それをカスタマイズしやすい形で自分たちに合わせるのではなく、時代に顧客にトレンドに合わせた変化を当たり前に受け入れることができる企業でないと生き残ることは難しい。

誰しもが心構えとして読むべき一冊。

0
2024年03月31日

Posted by ブクログ

マッキンゼーデジタルによるDX推進のための考え方、方法論の解説。デジタル変革を担う40-50代の次期リーダーに向けて書かれていて、具体的なイメージを持つことができる。whyから始めてwhat、howという流れで解説される。
whyとして産業構造の変化が解説される。5年後ぐらいはいまのビジネスモデルの延長でも生き残れそうだけど、10-20年後となると怪しくなってくる。要はそれを考えると今からでも次のビジネスモデルを考え取り組んで行かないと間に合わないのではないか、という問題意識。10年前の2010年頃はまだ具体化しないだろうから大丈夫だと思っていてボヤッとしていたら、いつの間にか世界は圧倒的に進んでいて、韓国を始めとする新興国に抜かれて追いつかれつつある日本という構図と類似している。遅きに失した感はあるけど、今からでも取り組むしかないんだろう。
そして、whatとしてDXとは従来型のシステム化ではなく、ビジネス変革をもたらすものであることであり、スマイルカーブに基づいて、収益性の高い設計・デザインの上流とEC販売・サービスの下流を抑える必要があるとされる。プロダクトアウトではダメでマーケットに近い下流とそれを設計に反映できる上流を抑えないと、単なるコスト勝負になってしまうということなんだろう。
また、小さな目標を掲げて小さな成功で満足するのではなく、大胆な目標を掲げて大きな成功を目指すことの重要性が強調される。小さな目標であれば一部の組織だけでできるけど、大きな成功は全社的に取り組む必要があるからということだろう。
そしてhowで強調されるのは、経営者、リーダー自らがテクノロジーを学ぶこと。世界のリーダーはそれをしていて、自ら学んだことを使っていかに会社・ビジネスを変えられるかを考えるけれど、日本はそれを現場、最悪の場合はベンダーの提案に頼るから、IT=コストという意識から抜け出すことができない。確かに一面ではコストなんだけれど、経営にとって重要なコンピタンスであって、それを単なるコストとして小さくすることだけを考えるのでは、競争力自体を削ることになってしまうわけだ。
色々なところでDX推進はされている印象だけれど、ウチもコロナでリモートの働き方を取り入れましたとかいいながら、暗黙で全員出社していてとか、従業員間の不公平をなくすために、他部門も出社みたいな企業は多く、まあ日本企業にとって先は長いなとも感じる。
いずれにせよ、やり方は本書のような書物で示されているのだから、各企業、各個人が積極的に試行錯誤していくしかないんだと思う。

0
2023年03月05日

Posted by ブクログ

これからDXを進めようとしている組織にとってはわかりやすく初歩的な論点がまとめられている良書。既に専門部署などでバリバリやっている人からしたら物足りないかもしれませんが、悪くは無いと思います。

0
2023年12月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

dxに関する本。理解をより深め実効性ある戦略構築、遂行のために読書。
さすがマッキンゼーで体系的かつきれいな整理はなされているが、やや表面的に感じてしまう部分も。

メモ
・最も大切なのは現場従業員の意識改革と自走化。それが成否をわける。
・従来バラバラだったデータを可視化し、経営のあり方をデータドリブンに。
・データをもとに最適な施工計画を策定
・広告業界これまではマスメディアの限られた枠の効率化がメインであった。デジタルにより圧倒的な多様化・流動化が
・DXを阻む3つの症状
 現場主義の偏重
 CDO専門家に頼りきり
 レガシーからの脱却が目的化
・dxで定義すべきwhatは企業戦略再定義
 産業構造の変化
 顧客ニーズ再定義・自社提供価値再定義
 ビジネスモデル再定義
 経営層の役割再定義
 推進体制と組織能力の再定義
・エコシステムに乗れない場合自然淘汰の可能性も
・コロナ踏まえたネクストノーマル
  消費者のわがまま化の加速
  勝者と敗者の格差の広がり
  サステナビリティに対する企業責任増大
・dxに成功している企業は6割が生産性改善、既存事業変革、新規事業構築を包括的に実施

・ネクストノーマルに向けた消費者行動5つの変化
 チャネルのシフト オンライン移行
 価格意識の拡大
 ロイヤル顧客層の移動
 在宅需要の定着
 衛生意識の高まり
・DX共通成功要因
 圧倒的に高い目標値設定
 トップによる変革主導
 現場主導での変革実行
 徹底的な実行に向けた体制強化
 組織健康度も統合して改善
・dx成功のレシピ
 戦略ロードマップ(新規事業創出・顧客体験再定義など)
 タレント
 アジャイルデリバリー
 テクノロジー
 データ
 チェンジマネジメント
・アジャイルアプローチの5要素
 顧客を理解する
 部門横断のチームで働く
 小さく始めて大きく考える
 反復を繰り返し迅速に提供する
 チームに権限移譲し責任感を持たせる
・念頭に置いておくべき考え方
 セキュリティリスクはビジネス部門が主体となって考えるべき問題
 全てを防御できる完璧なセキュリティ対策はない
・レガシーシステム脱却の3種類
 リビルド 新しい家を建て引っ越す
 リフォーム 老朽化をリフォーム。延命
 リノベーション 骨組みだけ残して解体。新しい設備に入れ替える。モダナイゼーション
・マインドセット、スキル、プロセスを変える。同時に働きかける。
 率先垂範・腹落ち・能力開発・淫んティブとプロセス
・企業文化変革の成功要因とは
  志の高い本質的な変革をもたらすターゲットを設定する
  片手間ではない勝てる体制、経営者の本気度が伝わる体制、チームをライン、本業として構成する
  いつまでに誰が何をするのか、という明確なタイムラインを約束として設定する
 →リソースを途中で中途半端に減らすと小さい取り組みに終始する。

・経営者の7つの掟
  CEOがデジタル変革のオーナーとなりビジョンを示してリードする
  10年後の未来を見据えて、自社の競争優位を明らかにする
  サイロ化を解消し、DX実行責任者に大胆に権限予算を移譲
  最初の一回しを連続実施し、1年以内に成功事例を
  テスト&ラーン 迅速に動き学び次に活かす
  人材はただ投入のみならず能力開発をする
  リーダーシップチームとしてロールモデルとなり、成功を賞賛し続け
  全社への展開を見届ける。

0
2022年03月12日

Posted by ブクログ

コンサル会社の作ったDX本。
グローバルでの事例を豊富に持っているというコンサルの強みを生かしながら、
俯瞰的に大企業のDX化の際のポイントがまとまっているように感じました。

実際に個社事例で考えてみると、中々難しさはあるんですが、
そこからはマッキンゼーに発注してください、ってことかな、笑。
ぁそんなに簡単に答えが出るイシューではないですし、
難しいからこそこうやって至る所でバズワードになっているんだと思います。

個社の文脈に合わせたアレンジは必要なものの、
次世代リーダーが経営陣にDXの提案をする際に、
この本のフレームワークを参考にしながら、
提案を作れるんじゃないかと思います。
その点は、提案者にとっては大事なメリットかと思います。

0
2021年11月27日

Posted by ブクログ

DXの本質は企業文化変革。部門ごとの業務改善、IT化に留まらない。役員レベルがDXの重要性、テクノロジーの進化を理解してトップダウンで全社的に進めることで、顧客に新しい価値を提供できる企業に変革することが必要だと分かった。

過去の栄光に縋らず、テクノロジーの変化を受け入れて、失敗を恐れないチャレンジングなマインドセットが重要。

0
2024年04月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

DXの本質は企業文化変革。
こう言われると、確かに成功する企業が少ないのも納得する。

文化を変えようとしたら失敗も増えるし、やりにくくもなる。
既存の文化が好きであれば、それを否定されたような気持ちになって、反感を覚えるかも。
思いつきでやるのではなく、本書から成功している人たちの方法を学ぶことが大切だね。

0
2023年07月17日

Posted by ブクログ

DXとは何ぞやがとてもよく分かった。
コストダウン等の目先の目的に囚われずに、業態改革、意思決定経路の改革、ひいては、企業風土改革を同時に行うという視点が説明されていている。

0
2022年07月08日

Posted by ブクログ

DXとは企業文化の破壊と再構築であると捉え、中長期的なビジョンを持って変革を推進するためには何をするべきかが示された本。実際に各企業が直面している状況下では懸案事項がもっと複雑に絡み合うと思われるが、DXにあたって振り返るべき基本的な考え方・姿勢が本書に示されていると感じた。
ユースケースなどの紹介が中心かと思いきや、内容の中心はいわば「DXのレシピ」であり、文体も読みやすかった。脱レガシーなどのテーマもあって多くの事例に携わってきたマッキンゼーならではの視点も多々感じた。

0
2022年03月13日

Posted by ブクログ

ITシステムの導入を最終目的にしたDXではなく、企業文化を変え、企業価値を高めることがDXの目的であり、「企業変革こそがDXの神髄」ということがよくわかる。
DX成功の要諦をWhy、What、How、何をすべきなのかという構成でまとめられている。

◯DXによって変革すべきは
・利益構造
・組織能力
・企業文化
である

◯成功企業に共通する目標~マッキンゼー分析~
大規模かつ野心的:DXに成功している企業の多くが、事業・部門ごとに閉じてしまうことなく全社をあげて大規模にDXに取り組む。経営や既存の事業強化だけでなく、デジタルを活用して新たな事業を創出している
包括的かつ連続的:「生産性改善」「既存事業変革」「新規事業構築」を一度にすべて実施するのではなく、連続的に進化させている。この3つを回転させるように繰り返し改善させている
5つの成功要因をもつ
①圧倒的に高い目標値の設定:普通の目標は改善にしかならない。これまでのやり方では絶対達成できないようような目標を設定するから「変革」になる
②トップによる変革の主導:「そんなの無理だ」に対抗するにはリーダーの意思が必要
③現場主義の変革の実行:多くの場合はできないのではなく、やりたくないのが実態。当事者意識を醸成して現場での変革を徹底させる
④実行に向けた体制強化:施策の70%は初年度にあった計画ではなく2年目以降に追加されるもの。実行を徹底するための体制と仕組みを組織内に作り上げる
⑤組織健康度もチェック:数字に現れる成果だけを見ない。風土なども一緒に構築できているかを確かめる

◯企業文化を変革させることが最高の成功キー
DX成功のためには、企業文化の変革を同時に行うことが重要。
まず自分たちの組織の企業文化が他社と比較してどうなのかを調査する
調査後に
・戦略整合性:パーパス、ビジョン、ミッション、戦略、行動規範、日々のオペーレーションの一連の流れが整合して、組織の隅々までコミュニケーションされているか
・実行徹底力:PDCA、特に素早く実行しているかと、フィードバックが与えられ「やりきれているか」をチェックする。その実行が人事評価と紐付けられているかも重要
・進化適応力:進化し続けられるように、顧客・競合・技術動向などの外部情報をオープンに取り入れられているか

◯経営幹部はマインドセット、チェンジ・マネジメントが重要
・いま進化しないと死ぬという覚悟を持てるか
・チェンジストーリーを語れるか
(1)顧客、業界、社会、競合など外部環境の変化
(2)自社をどう変えたいか
(3)自分をどう変えるか
このストーリーを幹部全員が語れるかどうか

0
2021年11月12日

「ビジネス・経済」ランキング