フョードル・ドストエフスキーのレビュー一覧

  • 白痴3
    公爵のナスターシャとアグラーヤへの煮え切らない態度に、途中までもやもやしていた。しかし、結末を知ると公爵への評価は変わる。ムィシキンはこの世界で生きるには純粋すぎたのだろう。或いは、この世界はムィシキンのような人物を生かすには、残酷すぎたのかもしれない。ナスターシャもムィシキンもアグラーヤも、ロゴー...続きを読む
  • 白痴2
    (意外と重要なことではないかと思うのだけど)この河出文庫版の『白痴』全三冊、表紙がいいですね。本当にイメージどおり。
  • 白痴3
    バフチンの”カーニバル的”という表現が、少なくとも『カラマーゾフの兄弟(途中まで)』と『罪と罰』を読んだ限りでは全然ピンと来なかったのだが、これを読んでちょっとわかるような気がした。入れ代わり立ち代わりのたくさんの登場人物とそれぞれの勝手な、つながりのあるようなないようなエピソードの怒涛。最後の寂寞...続きを読む
  • 白痴1
    江川卓訳『罪と罰』(岩波文庫)に続き、『白痴』はこちら河出文庫の望月哲男訳を選びましたが、(他と比較した訳ではないので絶対評価として)正解。読みやすく、かつ作品のストーリー・テイストに合った訳文と感じます。
  • 白痴1
    スピード感溢れる翻訳がすばらしい。『白痴』は展開が速いので、このリズムに乗って読み進められるのはとてもいい。
  • 白痴1
    自分はこの小説の主人公ムイシュキン公爵を"あの程度の人物"と言う大江健三郎が嫌いだ。誰とでも屈託なく接し、銃殺刑やギロチン刑にされる囚人のプロファイルを行い、自分を白痴と侮る人には決然と対処する、政略結婚の犠牲にならんとする女性を解放する、自分はそんなムイシュキン公爵が大好きだからだ。初めて本当の人...続きを読む
  • 白痴3
    ムイシュキンとナスターシャが互いに補完して、其々の生い立ちを乗り越える未来。ここまできた読者には、そんなことを夢想させる。でも2つの三角関係が、それも2人の女性の真意が表に出ないまま深く静かに進行し、ラストの悲劇へと繋がる。美しき我らがヒロインがあんな啖呵を切った上に迎える運命。ロゴージンもまたムイ...続きを読む
  • 白痴2
    第1巻がムイシュキン公爵とその影ロゴージン、更にはエパンチン家の秘書ガヴリーラという3人の男対ナスターシャの"恋の空騒ぎ"ならば、第2巻はムイシュキン公爵とガヴリーラ、そして途中から将校ラドームスキーの3人対アグラーヤのそれに変わり、あろうことかナスターシャがそこに介入するという、バブル期のトレンデ...続きを読む
  • 白痴2
     ここでは第2・3部について。
     第1部が終わったのち、2部が始まる前にナスターシャがロゴージンやムイシュキンの所へ行ったらしいのだが、そのあたりの詳細が殆ど描かれておらず、また2部に入ってもなかなか言及されずじれったい。
     また、当時のロシア情勢やキリスト教観について様々に語られるが、生憎その辺り...続きを読む
  • 白痴1
     小説を読み始めた頃、それこそ白痴のように読み漁ったドストエフスキーの長編小説。中でも白痴は一番好きだったので、新訳が出ていてとても嬉しかった。
     ムイシュキン(ムィシキン)公爵が列車でペテルブルクに来る所から始まるストーリーは、今まで良くも悪くも保たれていた均衡が崩れ始めるような・・・例えるならジ...続きを読む
  • 白痴1
    いわゆる5大小説の中では最も読みやすく、19世紀末のペテルブルクを楽しめました。世俗にまみれた人々の中に天使のような人物が舞い降りたらどうなってしまうのか。
  • 新訳 地下室の記録
    言い回しを現代風にするなど、読みやすさに特化した新訳です。
    うだつが上がらない地下室人の雑記がひたすら続くという内容ですが、この整然としていない点に人間性があります。
    普通の人間が無理矢理に自分の思いを書いている勢いを感じました。
    引っ込み思案で苦労する彼の手記には続きがあることになっていますが、そ...続きを読む
  • 白痴3
    ドストエフスキー(1821-1881)の後期五大長編のうち『罪と罰』に続く二作目、1868年。『罪と罰』がラスコーリニコフらにより思弁的な哲学議論が展開される思想小説であるのに対し、『白痴』は一般には恋愛小説として括られる。しかしそこで描かれている恋愛は、もちろん単なる男女の抽象的な交情というだけで...続きを読む
  • 新訳 地下室の記録
    正直に言うと、前半は読み進めるのがしんどかった。
    読み進める度に、「こんなに自意識過剰なのでは、どうやって生きていけるのか」と頭を抱え、思考がそこにとどまってしまった。
    しかし、後半を読んでなぜ主人公がこうなってしまったのか、納得ができた。
    「罪と罰」の主人公には、助けようとする友人や家族、恋人との...続きを読む
  • 白痴1
    ムィシキン公爵は好感が持てる。白痴というより純粋。

    ナスターシャは美しい人ということだけど、やってることは、なんだこの女は?って思うんだけど…
    2、3巻読めばわかってくるのかな。
  • 白痴3
    本編で黙示録から度々引用されるのが示唆する通り、逃れられなかった悲劇で幕を閉じる。ムィシキンがイエスの再来だとするならば、彼が再生する可能性もまた残されているという事か。またドストエフスキーの長編作品の魅力は本筋から外れた(ように見える)サブストーリーがどれも強烈な自己主張と輝きを放っている所だろう...続きを読む
  • 白痴1
    ムィキシン公爵の存在は何を表しているんだろう?ある種の二面性(賢さとお馬鹿さん)を持つ純粋無垢な青年として描かれているけれど実際は…?ナスターシャの最後の行動の意図は…?ムィキシン公爵の死刑に関する話はかなり興味深い。
  • 白痴1
    3巻中の1巻を読み終えたところです。

    きっと題名だけなら^^誰もが知る名作です。
    でも、若い時から読んでみようと思ったことはありませんでした。
    ロシア文学は小難しくて暗いというイメージがあったから(読んだこともないのに^^)

    今回、お友達のレビューを読んだことをきっかけに、、
    帯にあった「真実美...続きを読む
  • 新訳 地下室の記録
    トルストイ(1828〜1910)、ドストエフスキー1821〜1881)と時代が重なり合う同士であったが、若い頃のドストエフスキーは社会主義の運動で逮捕、死刑執行直前で保釈、小説家となりこの「地下室の記録」をあたかも病んだ、意地悪い男として表現、社会に間接的に抵抗していたのである。巨匠二人ともに時代の...続きを読む
  • 新訳 地下室の記録
    筑摩版小沼文彦訳に較べると、亀山訳の主人公は、やや男性的な感じ。

    ただ、主人公は、もっとだらしなくみっともない、卑小な人物のはずなので、小沼訳の方が、本来のイメージに近いのではないかと思う。

    それから、亀山訳では、「まったく」を「ったく」と訳すなど、ウケを狙っているのか、妙な言葉遣いが違和感。
    ...続きを読む