安克昌のレビュー一覧

  • 心の傷を癒すということ

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    1995年阪神淡路大震災で心療ケアに従事された精神科医安克昌先生の著書。阪神淡路大震災をきっかけに、大災害に対する救援・避難・ボランティア・心身ケアの議論が幾度となくなされ、従事される方々の言葉に尽くせぬ努力もあり災害対策は(至らぬ部分はあれど)当時より大幅に改善された。その「当時」を知る貴重な叙述・分析である。今でこそPTSDなどの一般理解が進んだものの、平成初期は昭和の名残もあり「心の在り方」は疎かにされており、環境激変すなわち大災害ではその歪が顕著に表れるのに対して、成す術なく放置されていたように思う。崩れたものがそのままの形で戻ることはないものの、在り様を嘆き悲しみそして受け入れて新た

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    2022年05月20日
  • 心の傷を癒すということ

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    今回の東日本大震災をずいぶん重ね合わせて読むことが出来たと思う。
    「心のケア」についても,本当に被災地に必要なことは何か考えさせられる1冊。

    この作者による著書がこれしかないのが残念なくらい,
    分かりやすく読みやすかった。

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    2011年09月06日
  • 心の傷を癒すということ

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    大事なものは失って初めて気づくものだと言われることがあるが、自分が何によって支えられ、生きているのかは失ってみないと分からないものが多いと感じた。

    衣食住の環境が整っていたとしても、人との繋がりがなければ生きていくことはできないと思う。

    一人暮らしで不自由なく暮らせているのも、何かあればいつでも連絡したり、会っていなくても自分のことを考えてくれているであろう家族の存在があったりするからだと思った。

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    2025年07月05日
  • 心の傷を癒すということ

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    学生時代に住んでいた街。
    友人も被災したり、つらかったりしたがやっと今年読めた。
    心に寄り添うこの先生の記録は響いたと同時に当時何も出来なかった自分の情けなさを思い。
    やっぱり辛い

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    2025年01月18日
  • 心の傷を癒すということ

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     本書の著者を知ったのは、本書の「序」も書いているが、中井久夫の本を通してだった。
     心のケア、ボランティア、PTSDなど、今では当たり前に使われる言葉となったが、そのきっかけとなったあの阪神淡路大震災。著者は、自ら被災しながらも、現場の最前線で活動に尽力する。そして本書では、震災直後とその後のケア、避難所や仮設住宅をめぐる現実、救護システム構築の難しさやボランティアの役割などについて著者の問題意識に立った率直な思いが綴られる。
     また特に著者の専門とする精神医療については、時間の経過や環境の変化に応じて、障害の状態や子どもたちの状況がいかに変化していくか、そしてそうした人たちに寄り添うことの

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    2023年10月01日
  • 心の傷を癒すということ

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    ネタバレ

    読む前は、PTSDなどに対する専門的な臨床の方法が書かれていると思っていた。もちろん少しはそのことが書かれていたが、大半は阪神淡路大震災直後から1年後あたりまでに著者が経験したこと、そしてその中で心の傷を癒すということを改めて考えていく様子であった。
    著者の考えをまとめると以下のようになる。震災において、心に傷を負うということは当然のことだ。そして、その傷を癒すためには医者だけでなく、周りの人たちが持続的に粘り強く寄り添っていく必要がある。
    つまり、これさえあれば治せてしまうような医療技術は存在せず、また医者がどれだけ努力したとしても限界があり、社会や周りの人たちの協力が大切だということだ。

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    2020年06月03日