安克昌のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
1995年阪神淡路大震災で心療ケアに従事された精神科医安克昌先生の著書。阪神淡路大震災をきっかけに、大災害に対する救援・避難・ボランティア・心身ケアの議論が幾度となくなされ、従事される方々の言葉に尽くせぬ努力もあり災害対策は(至らぬ部分はあれど)当時より大幅に改善された。その「当時」を知る貴重な叙述・分析である。今でこそPTSDなどの一般理解が進んだものの、平成初期は昭和の名残もあり「心の在り方」は疎かにされており、環境激変すなわち大災害ではその歪が顕著に表れるのに対して、成す術なく放置されていたように思う。崩れたものがそのままの形で戻ることはないものの、在り様を嘆き悲しみそして受け入れて新た
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Posted by ブクログ
本書の著者を知ったのは、本書の「序」も書いているが、中井久夫の本を通してだった。
心のケア、ボランティア、PTSDなど、今では当たり前に使われる言葉となったが、そのきっかけとなったあの阪神淡路大震災。著者は、自ら被災しながらも、現場の最前線で活動に尽力する。そして本書では、震災直後とその後のケア、避難所や仮設住宅をめぐる現実、救護システム構築の難しさやボランティアの役割などについて著者の問題意識に立った率直な思いが綴られる。
また特に著者の専門とする精神医療については、時間の経過や環境の変化に応じて、障害の状態や子どもたちの状況がいかに変化していくか、そしてそうした人たちに寄り添うことの -
Posted by ブクログ
ネタバレ読む前は、PTSDなどに対する専門的な臨床の方法が書かれていると思っていた。もちろん少しはそのことが書かれていたが、大半は阪神淡路大震災直後から1年後あたりまでに著者が経験したこと、そしてその中で心の傷を癒すということを改めて考えていく様子であった。
著者の考えをまとめると以下のようになる。震災において、心に傷を負うということは当然のことだ。そして、その傷を癒すためには医者だけでなく、周りの人たちが持続的に粘り強く寄り添っていく必要がある。
つまり、これさえあれば治せてしまうような医療技術は存在せず、また医者がどれだけ努力したとしても限界があり、社会や周りの人たちの協力が大切だということだ。