インベカヲリ★のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「死刑になりたくてやりました」このセリフを
度々聞かされてる気がする。この言葉を死刑賛成派の方々は、どう受け止めているのだろう。厳罰化が犯罪抑止にならないことは明らか。むしろ、死刑の一番の理由、現実には、被害者遺族感情、遺族が望むから、ということだと思うのだけど、、それこそ、犯人がどんな罰を受けても、亡くなった人は戻らない。どんな判決でも、遺族が満足するなんてはずもなく。。むしろ、何故?何故?の答えの方が、必要な気がするのだけど、違うのかなぁ。生きて解明すること、説明し尽くすこと、そして、悔いること、それこそが、遺族への癒やしでもある気がするのだけど、きれいごとかなぁ。 -
Posted by ブクログ
遺族が「事件の本当のところを知りたい」と言っていたが、裁判のとおりなのだろう。「刑務所に入りたいから殺人をした」
たとえ遺族が納得できなくても、それは被告人にとってまったくの真実だ。
ではなぜ被告人が刑務所に入りたかったというと、壮大な「試し行為」であったと解釈した。他人を巻き込んでまでのはた迷惑な試し行為ではあるが、当人にとってはそれほどまでに愛情に飢えていたということだ。被告人は読む本を間違えている。心理系の本まで手を伸ばせば、その結論にはいずれ到達していただろう。ただ、それを本人は頑なに認めないだろうけれども。
ここまで被告人と信頼関係を築いて多くのことを引き出せたルポ本は珍しい。称賛 -
Posted by ブクログ
ちょっと言葉が出てこない。この犯人像は…。
死刑にはならないように、でも有期刑ではなく無期懲役となるように、計画的に無差別殺傷事件を起こした男を、継続的に取材したノンフィクション。ことさらに残虐な描写をすることなく、生育歴や人間関係を呑み込みやすいストーリーにまとめることもなく、取材者の実感に即して綴られている。覗き見趣味を煽るような事件ノンフィクションは苦手だが(読んでみたくなるのがイヤなのかも)、そういうたぐいではない。
犯人の小島は子供の頃から、刑務所か精神病院で暮らしたいと言っていたそうだ。理解に苦しむその願望はなぜ生まれたのか。不安定な生育環境や虐待、発達障害やパーソナリティ障害など -
Posted by ブクログ
よくぞ、ここまで取材を重ね
よくぞ、ここまで綴られた
と思いました
読み進むうえで
何度も ふぅっ とため息
あまりに やりきれなくて
他の本に手を出し
しばらくして
また読みだすという
やりきれなさ、
まるで不可解、
理解不能、
それらを上回る
筆者の「なぜ?」の究明
に助けられて
なんとか最後まで
辿り着きました
あとがきの中で
インベカヲリさんが
ー個人を掘り下げることは、社会を見ることに繋がると 思っている
と言っておられる
確かにそうなんだろうけれど…
美輪明宏さんの本のどこかにあった
「根っからの悪人というのは いるわよ」
という言葉が浮かんできました -
Posted by ブクログ
ネタバレ2018年6月9日に走行中の新幹線車両で、隣の席の女性と近くの席の女性に鉈で切りつけ、二人を庇った男性を襲い、死に至らしめた小島一朗への取材ルポタージュ。動機が「刑務所に入るため」で「無期懲役がよい」とのことで、無期懲役の判決に万歳三唱をしたことは話題になった。
小島被告には発達障害があり、ADHDとのこと。また猜疑性パーソナリティー障害があるとの診断だった。
著者は随分根気強く取材を行っていたのだなあ、とよく分かる。本人の中では理路整然としているのだろうが、他人からしたら支離滅裂だし、自己中心的としかいいようのない考え方。
人に迷惑をかけたくない、のに 殺人により刑務所に入ることは優先され -
Posted by ブクログ
著者が、「死刑になりたい」という動機から殺人を企てた犯人の心理に迫るべく、活動家や研究者、心理士等10人にインタビューしまとめた本書。
登場した人物の大半は、その著書を読んでいたり、手にしたことのある文献に登場していたりして、私もその名前を既に知っていた人。もちろん、言及されている事件やその犯人は、世間でもよく知られたものばかり。
著者は、無差別殺傷犯にとても興味があったと言う割に、本書でインタビューした誰もがその犯人の心理を否定しないことが予想外だと言っていたのが、逆に不思議だった。興味があったのならば尚更、否定しないことに納得しかないのではないか。まあ、そう書かないと話の流れがうまくない