インベカヲリ★のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
この10年くらいで、「死刑になること」を目的とした凶悪犯罪が増えている印象がある。
つい先日も、中学三年生の女の子が「死刑になりたい」と見ず知らずの親子に重傷を負わせた。
彼女にしろほかの凶悪犯にしろ、凶悪犯罪を犯して見ず知らずの人や身近な人に対して、取り返しのつかないことをする以外の選択肢がなかったはずがない。
あの人たちはいったいどうして、あんな凶悪な反社会的行動に至ったのかを知りたくて読んでいる。
死刑という刑罰があることによって、犯罪を抑止するという効果を狙っているというのが、死刑制度の前提にあるはず。
でも、これだけ次々と死刑になることを望む人が凶悪犯罪を起こしているということは、死刑に犯罪を抑止する効果は無いということだ。
犯罪抑止の効果がないどころか、凶悪犯罪が起こる一因になってしまっている。
そもそも、死刑になることを目的として見ず知らずの人を死傷させるのは、拡大自殺と呼ぶべきもので、そもそも自殺を望む人が多すぎる病んだ社会を変えて行く必要がある。
変えていく必要のあることの中には、死刑制度の廃止もあるだろう。
それから、殺人欲求というものを持っている人は一定数存在して、彼ら彼女たちはそのために悩んでいるけれど、相談先はなかなか無いという話も興味深かった。
歴史を見返すと、人類の死因のトップは他殺だった。私達の祖先は、程度の差こそあれ必要なときに(あるいは不必要なときでも)暴力を振るうことをしなければ、生き延びることも子孫を遺すこともできなかったかもしれない。
暴力的傾向が生存に有利な時代を生き延びた人たちの遺伝子を私達は受け継いでいるので、何かが間違えば人を傷つけたり殺してしまったりとか、そういうこともありえるのかも。一生そんなことにはなりたくないけど。 -
Posted by ブクログ
「死刑になりたくてやりました」このセリフを
度々聞かされてる気がする。この言葉を死刑賛成派の方々は、どう受け止めているのだろう。厳罰化が犯罪抑止にならないことは明らか。むしろ、死刑の一番の理由、現実には、被害者遺族感情、遺族が望むから、ということだと思うのだけど、、それこそ、犯人がどんな罰を受けても、亡くなった人は戻らない。どんな判決でも、遺族が満足するなんてはずもなく。。むしろ、何故?何故?の答えの方が、必要な気がするのだけど、違うのかなぁ。生きて解明すること、説明し尽くすこと、そして、悔いること、それこそが、遺族への癒やしでもある気がするのだけど、きれいごとかなぁ。 -
Posted by ブクログ
著者が、「死刑になりたい」という動機から殺人を企てた犯人の心理に迫るべく、活動家や研究者、心理士等10人にインタビューしまとめた本書。
登場した人物の大半は、その著書を読んでいたり、手にしたことのある文献に登場していたりして、私もその名前を既に知っていた人。もちろん、言及されている事件やその犯人は、世間でもよく知られたものばかり。
著者は、無差別殺傷犯にとても興味があったと言う割に、本書でインタビューした誰もがその犯人の心理を否定しないことが予想外だと言っていたのが、逆に不思議だった。興味があったのならば尚更、否定しないことに納得しかないのではないか。まあ、そう書かないと話の流れがうまくないからという短絡的な理由でそう書いただけなのかもしれないけど。
私が本書で一番なるほどと思ったのは、殺人を企てて完遂してしまう人物は、やっぱりそれなりに頭がよく、行動し切ってしまうだけの強さがあるというくだり。
ああ、確かにそうかもしれないな、と。いろいろな条件(敢えて言うなら悪条件)が重なって重なって重ならないと大事件にはなり得ず、だからこそ、世間を震撼させるような事件はそんなにたくさんは発生しない。
彼らのように悲惨な生育歴や環境の中にある人はほかにもいるはず。それでもほとんどの人が、劣悪な状況があっても殺人にまで至らないことを思えば、やはり完全に行動化までできてしまった犯人には「ほとんど」に当てはまらない何かがあるのだろうし、それを解明することこそが、次にそんな悲劇が起きないようにするための大きな糸口になると思う。
本書でも著者を含め皆が言っているのは、死刑制度には犯罪抑止効果は全くないということ。私もそれには完全同意で、本当の意味で贖わせたいのならば、死刑制度ではその役割は果たせない。被害者遺族が、犯人の極刑を望むのは当然の思いだと思うが、第三者が制度すらよく知りもしないで、遺族の気持ちを考えたらそれしかない、みたいにわかったように死刑を肯定するのはそれは違うかなと。
死刑になりたくて人を殺すということは言わば拡大自殺。そして本書で言われているのは、自殺者が多いことは、個人にではなく社会にその責任があるということ。
死刑制度は一刻も早く廃止して、事件を起こしてしまうそのメカニズムの解明に注力する方が、よっぽど意義があると私は思っている。
ある章では、有名な事件の犯人の元同僚が登場する。本書が刊行されたときは、まだ当該死刑囚の刑は執行されていなかったのだなあ。その元同僚の思いを知って、なんだかとても切ない気持ちになってしまった。