“「この人の能力が本物かどうか、確かめてほしいんです」
奈緒子は、パンフレットに書かれている男の肩書きを読み上げた。
「パラサイコロジーアカデミー学長・深見博昭。またインチキヤローですか?」
奈緒子は上田に聞く。それを上田は制し、続けてプロフィールを読むように促した。
「三年前にワタリゴメ」
「渡米
...続きを読む」
「ハーバー大学で各員教授を務める傍ら、オオノウセイリガク?」
「大脳生理学」
「心理マナブ?」
「心理学」
「ノリ、ガク」
「法学!わざとだろう!?」
「……の博士号を取得したシンススムーキ…エイッの学者ぁ?」
「新進気鋭の学者!つまり、俺と同じ超一流の知識人というわけだ」
「だから何?」”
少し苦い後味が癖になる。
果たして、超能力者は存在するのか否か。
“「やっぱり、私が言ったとおりだ」
上田は急に、真面目な口調で頷く。
「オマエが何言った?」
奈緒子はビックリ。
「さすが先生、おみそれしました」
矢部が上田に合わせる。
「オマエもなに聞いていた!?」
ホントにこいつらはひどい、奈緒子は愕然とした。
「ということは、倉岡も口封じで殺された可能性もある。だけど婆さん達にはアリバイがあるしな……」
上田が真面目に考え込む。
「これだけはどうしようもないですね。この婆さんが犯人だという証拠になるものは何もない」
矢部も同様に考え込む仕草をする。二人の様子をみて、奈緒子が叫ぶ。
「私が犯人だという証拠もないでしょ。いいかがんここから出してください!」
「ほな、おまえ帰れや」
矢部が意外とあっさり言う。それなのに、なぜか奈緒子はためらいをみせた。
「けっこう、ここ居心地良いし、御飯だけ食べて帰ります」
こうして奈緒子は釈放された。”