青井汎のレビュー一覧
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宮崎アニメと、他のアニメその他のエンターテイメントの違いはなにか。それは宮崎作品の面白さのなかに隠されたとくべつの「仕掛け」にあると、著者はいう。それは作品のなかに自然に違和感なく溶け込んでいるため、ちょっと見には「暗号」のようだが、作品の血となり肉となって、宮崎作品のかぎりない魅力と豊かさとなっている。その豊かな背景とメッセージ性を明らかにしようというのが本書の意図だ。読んでなるほどと納得したり、そこまで深い背景が、と驚いたり、そのメッセージに共感したりすることが多かった。
まず冒頭で、『となりのトトロ』の背景に1972年のスペイン映画『ミツバチのささやき』があったという事実が語られる。エ -
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ジブリが好きな私は、この本を見つけた時、すごくわくわくしました。新しいジブリ作品を見るような気分でした。
ジブリ作品の暗号とは、宮崎駿監督が他の作品に似せたり、裏の意味を作品の中に隠したりしているということでした。
しかし、人が生まれて1億年以上。同じようなものがあっても不思議ではないのではない、むしろ、仕方ない、必然的かと思ってしまいました。けど、すべて読んでみて、ジブリの中で、引越しの当日にトンネルに入ってみようとは思わないだろうと始まって10分もしないうちにツッコミを入れてしまった私、しかし、主人公が元の世界に戻った時には、その行動もまた、仕方なく、必然であったように思えます。この本で特 -
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ネタバレおそらく出版経緯としては「千と千尋」の便乗本。
とはいえよくある「謎解き本」とは一線を画し、論として成立している。
トトロとナウシカを導入にして2割、もののけ姫論が6割、本のまとめとして千と千尋2割。
かなり読み応えのある作家論・作品論。
■序章……面白かったんだけど……とわだかまり。「通俗作品は、軽薄であっても真情あふれていなければいけない」。気づかれづらい「仕掛け」が真情を生み出す。
■第1章 『ミツバチのささやき』と『となりのトトロ』……父母姉妹、都会から越してきた一家、研究者の父、母の不在。妹の失踪。オマージュとジェラシーで換骨奪胎。自然……季節と風土は正反対。キリスト教化以前のケル -
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僕は宮崎駿監督作品は結構好きなんです。特に監督の作る「世界」が好きで、それはどちらかというとキレイなものではなくて、いろいろな要素が詰め込まれているものです。ナウシカなら腐界、もののけ姫ならシシガミ、千と千尋では全体的にゴテゴテしてますよね。
本書を読んで、そうした詰め込まれた感覚っていうのは、案外的外れではなくて、実際さまざまな神話や思想、物語がまじりあっていると分析することも可能なようです。
あえて「可能」といったのは、監督にインタビューしたわけではなくて、著者の分析によるものだからです。ただ、さまざまなものの重なり合いがあるということは、私もそうだろうなと思います。
むしろ、監督の