安岡治子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
カラマーゾフの兄弟を一年位前に読んで以来のドストエフスキー。
この『貧しき人々』はドストエフスキーの処女作といわれる。
それ故か、往復書簡という体裁をとっているためか、これまで読んできた罪と罰、死の家の記録に比べ断然読みやすい。
が、短編ということもあるためか、物足りなさを感じる。
下級の官吏と不幸な身の上の若い女性との往復書簡で話が進んでいく。
二人とも貧しく、世間から追いやられたようにひっそりと暮らしている。
これは、恋なのか、親子のような愛情なのか?
往復書簡ということもあり、二人の詳しい背景、関係性などがぼんやりとしかつかめない。
それでも、不幸に暮らす人々の生活、ささやかな幸せなどが目に浮かんでくる。
ただ、その手紙のやりとりの中でも、驚くほどの善良な心があるかと思えば、激情的な言葉などが浴びせられたりと、ちょっと首を傾げたくなるようなところも。
ただ、それが人間の実態なのかな。
手紙とは、心のままに書くと感傷的になるもんだしな。
この処女作は、ゴーゴリの「外套」のパロディとも言われることがあるらしい。「外套」もずいぶんまえに読んだけど、また読み返してみようかな。 -
Posted by ブクログ
正直私の読書力が低く、この本の面白さを完全には理解できていないと思います。特に独白部分は意味がわかっても頭に染み込まないように感じてしまいました。
ストーリーはかなりぶっ飛んでいて、主人公の行動や考えがかなり理解できません。しかし、時々共感する部分もあり、それはそれで心が辛かったです。
旧友達への酷い行動も意味わからないし、リーザに対して説教厨になる意味もわからなかったし、アポロンに強くあたる意味もわかりません。常に何かに不満があって爆発しそうな中でリーザに対してだけ自分の弱いところを見せてしまう失態も犯す人間臭すぎる男の訳のわからない話がとても面白かったです。
最後はリーザに金を握らせることでリーザに会えなくなるという悲しい終わりでした。
もっと前段部分が理解できていればこの物語をより楽しめたんだろうな、と悔しい気持ちが溢れてます。 -
Posted by ブクログ
ドストエフスキーの処女作というだけで読む気がそそられます。
下級役人のおじさんのマカールと、ワルワーラという10代の娘の手紙のやりとりが綴られています。
当時のロシアの社会背景として、階級差による貧困が大きな問題となっていました。そのため、主人公であるこの2人も大変貧しく生活に困窮している様子が鮮明に手紙の中で書かれています。そういった中でもお互いが深い愛情を持ちながら支え合っていて「貧困」や「愛」というのが大きなテーマとしてある作品でした。
手紙と聞くと物静かで慎ましいような印象を受けがちですが、ほとんど会話のようなやり取りで、ビックリマークも多用されているぐらい感情表現が豊か。なので海外作品らしさ全開でその点は良い意味でギャップがありました。
ただ、ドスト作品は罪と罰、地下室の手記に次ぐ3冊目でしたが、過去2作と比べると山場が少なくインパクト不足は否めません。2人以外の登場人物も意外と出てきますが、いかんせん手紙形式で触れられる程度なので、印象に残りにくく、誰か出てくるたびにこの人誰だっけ?となることが多かったです。2人以外の登場人物の存在感が薄く、個人的には物足りなさを感じました。人物の一覧表も欲しかった・・・。ロシア人の名前はとにかく頭に残りづらいので。
処女作がどんな作品なのか気になる人は読んでも損はないですが、ドスト作品でまずは何から読もうと迷ってる人はこれではなく罪と罰から入ってほしいです。 -
Posted by ブクログ
貧しき人々
著:ドストエフスキー
訳:安岡 治子
紙版
光文社古典新訳文庫 Aト-1-10
ドストエフスキーの処女作です。
初老の下級官吏と、薄幸の女性との、手紙のやりとりの物語です
淡い恋というか、秘められた恋というか、当人同士だけで、手紙だけのやりとりで忍び合うとか
どうしても、ひんぱんに手紙でやりとりするということはだいぶ前の習慣なんでしょうか。
手紙を通じて、自分のこころに向き合い、好きな相手にどうつたえるか、思わず何かを伝え、それを後からおもって、もんもんとする。それを再び言葉にする。自分にとっては、とても高度なやりとりで、とてもできそうにもないと感じました。
時系列に、交互にあらわれる二人の感情は、もの悲しく、追っていくうちに読むのがつらくなっていきます。
ISBN:9784334752033
出版社:光文社
判型:文庫
ページ数:344ページ
定価:800円(本体)
2010年04月20日初版第1刷発行
2019年10月20日初版第3刷発行 -
Posted by ブクログ
むき出しの自己愛。
むき出しのエゴ。
確かにこの男は嫌な奴で、そばにいてもらいたくない。
しかし、この男は、確かに私たちの中にいる。
この勝手さ。
この醜さ。
私たちは、この男を調教してコントロールして、社会生活を送っている。
そんな気がした。
地下室は、私たちが自分自身の中に作った檻なのだろう。
そして、私たちには、ときおり、どこか奥底からこの男の叫び声が聞こえてくる瞬間がある。
人によっては、この男をむき出しにして生きている部分がある。
綺麗な顔で、体裁を取り繕って生きているけれど、お前たちはこの男とどれほど違うというのだ?
と、見せつけられているような気もした。 -
Posted by ブクログ
本として読む初めてのドストエフスキー。
47歳の下級官吏マカール・ジェーヴシキンと、若くして両親を失った18歳くらいのワルワーラ・ドブロショロワの半年にわたる往復書簡。
まず、人物名がスムーズに読めない上に意外に多くの人がこの往復書簡に登場するので、なかなかそこから入り込むのが難しかった。
その歳頃にしては随分聡明で落ち着いているように思えるワーレンカ(ワルワーラの愛称)が、なぜこんなやけにプライドが高いくせに妙に卑屈で自意識過剰なマカールと文通を続けたのだろうか疑問に思う。
マカールは毎回「愛しいワルワーラ」、「私の天使」などと呼びかけているが、ワルワーラは「優しいマカールさん」、「親愛なるマカールさん」という具合だし。
二人の手紙だけで成り立っているので当然そこから様々な物事を読み取らなければいけないし、解説にも行間を読むことが肝要だと書かれていたけれど、わたしにはまだそれが難しかった。
また、この本を読むにあたりゴーゴリの「外套」なども読む必要があるのかな、とも思えた。
クライマックスはまるで悲恋の終わりのようなやり取りの中に、ワーレンカが病気のマカールに買い物や用事を言いつけているところも滑稽だった。
訳者のまえがき、解説、あとがきが無ければほとんど読みこなすことが出来なかったと思う。