ノンフィクションだと思いました。なので、タイトルだけ見て購入し
ました。「日記」とついているだけで衝動買いする癖があります。
へへ、人様の生活の盗み見だぁ~なんて喜んでました。
読んでみたら小説でした。なので、今月の「月に1冊小説を読む」の
ノルマが達成出来ました。笑。
作家である著者が収入を補
...続きを読むう為に始めた警備員の経験を元に描いた
小説である。
警備員と言っても現金輸送車などの警備ではなく、私たちが日ごろ
よく目にする工事現場などでの交通誘導である。
そこはまるでダメ人間の見本市のよう。これでもかっ!ってほどに
身を持ち崩して警備の仕事に行き着いた人間がわんさかと出て来る。
でもさ、多かれ少なかれダメな人ってどんな会社にもいるんだよね。
警備員の世界だけが特殊なんじゃない。
だから、本書は警備員の世界を舞台にして人間の悲喜こもごもを
表現しているのだろう。
どうしようもない人々のなかで、著者が「師匠」と呼ぶ存在が登場する。
彼との会話とそこで語られる警備という仕事に対する真摯な姿勢は、
すべての仕事に通じるのではないか。
小説なのでデフォルメして描かれているのだろうが、普段、街の風景の
一部として目にしている交通誘導員の仕事って大変なんだよな。
時々いるもの。「この人、プロだ」って感じる人が。
文章は平坦でクライマックスと呼べる場面はないけれど、いい作品だった。