あらすじ
私は生活費を稼ぐため警備員になった。作家と警備員の二足のわらじを覆きながら、慣れない仕事に悪戦苦闘の日々が続く。どこか常識の欠落した警備の仲間たちに振り回され、仕事を辞めようかという矢先、私の前に「師匠」が現れた―。警備員の織りなす奇妙奇天烈な群像劇。傑作「軍艦武蔵」の著者が、実体験をもとに書き下ろした警備員小説。
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Posted by ブクログ
この本、いい。
実際に警備員を経験した著者だからこそ描けるリアリティ。
何気なく眺めていた工事現場の警備員さんにも、こんな苦労があったんだぁと確認。
クセある同僚、厳しい労働環境…そんな中で出会う矜持を持つ仕事人の姿。
堅苦しくなく読めて、読む前と後で、なんとな~く周囲を見る目が変わる面白い本だ。
こういうの好きだ。
Posted by ブクログ
私は生活費を稼ぐため、警備員になった。作家と警備員の二足のわらじを履きながら、慣れない仕事に悪戦苦闘の日々が続く。どこか常識の欠落した警 備の仲間たちに振り回され、仕事を辞めようかという矢先、私の前に「師匠」が現れた――。
傑作『軍艦武藏』の著者が、自身の経験をもとに書き下ろした警備員小説です。
日頃気にもとめない警備員の世界は、実は自分のすぐ近くにある場所です。本書を読むと、まちの風景が違って見えてきます。
Posted by ブクログ
作家である著者が、五十歳半ばで生活のために警備員になった。
はじめは慣れないきつい労働と環境、そしてまともに思えない同僚たちにうんざりしていたのだけれど、ある日プロフェッショナルかつ人間的に尊敬できる「師匠」に出会う…。
なかなか渋くて面白い小説だった。
警備員の仕事についてこんなに詳細を知ったのは初めてだ。
知らなかった社会を教えてもらっているようだった。
都会のあちこちで繰り返される建設工事にからみ、現実味にあふれている。
そして現場で出会う人々は個性的な人ばかり。
それぞれ、人生の悲哀が垣間見えたりもする。
人はほんとうに様々な考え方を持って生きているのだと身につまされた。
この作品を読んだことは忘れられないだろうと思う。
Posted by ブクログ
実体験をもとにした、ノンフィクション風小説。
警備員の職務についてもさることながら、現場および支社内の人間模様がとても面白いです。私は「人間ドラマ」だと思いますし、帯にもそう書いてありますが、ドライバーとして片側交互通行を経験した人は、また違った楽しみ方ができるかもしれません。
Posted by ブクログ
サラッと読み終えたけど長く記憶に残る物語。
著者は1946年生まれで今は73歳。警備員をやってたのは五十代半ばの頃だそうだから15年くらい前、大体2004年頃の話か。
日々あちこちで見掛ける警備員も過酷な仕事で、氷雨の中でも傘はおろかフードも被れないから首筋からの雨の侵入で身体の冷えとか、夏の酷暑の中での誘導とか
とても自分には勤まらない。
そんな底辺の職場には様々な曲者が集まっているのだが、主人公の著者は、ある日師匠と呼ぶに相応しい人物と出会う。どんな世界にもクズも居れば尊敬出来る人物も居る。
警備員になることは無いが、
どんな仕事にもスキルの向上と責任感で自分を高めることが辛い仕事の励みになる。楽をしようとかサボることばかり考えていると仕事は余計辛くなり卑しくなる。
どんな業務でも仕事を通じて人生を切り拓く可能性や姿勢を信じることの尊さを感じた。
Posted by ブクログ
大昔後楽園球場前の道路工事の現場で夜中の交通整理の警備員のバイトをやったことがあったので買ってみた。そのときも思ったが新聞の専業販売員や警備員の方達には結構ユニークな方達が多いのだが、著者も執筆業が本業なのだが分け合って警備員となる。本を書き上げ警備員をやめるまでの日々の出来事を綴っただけのお話なのだが、登場人物たちへの不思議な親近感を持ってしまうのはなぜなんだろう。だめ人間に九通する部分が自分にもあるのだろう。お薦めできない本ではありますが、お暇な方はどうぞ。
Posted by ブクログ
ノンフィクションだと思いました。なので、タイトルだけ見て購入し
ました。「日記」とついているだけで衝動買いする癖があります。
へへ、人様の生活の盗み見だぁ~なんて喜んでました。
読んでみたら小説でした。なので、今月の「月に1冊小説を読む」の
ノルマが達成出来ました。笑。
作家である著者が収入を補う為に始めた警備員の経験を元に描いた
小説である。
警備員と言っても現金輸送車などの警備ではなく、私たちが日ごろ
よく目にする工事現場などでの交通誘導である。
そこはまるでダメ人間の見本市のよう。これでもかっ!ってほどに
身を持ち崩して警備の仕事に行き着いた人間がわんさかと出て来る。
でもさ、多かれ少なかれダメな人ってどんな会社にもいるんだよね。
警備員の世界だけが特殊なんじゃない。
だから、本書は警備員の世界を舞台にして人間の悲喜こもごもを
表現しているのだろう。
どうしようもない人々のなかで、著者が「師匠」と呼ぶ存在が登場する。
彼との会話とそこで語られる警備という仕事に対する真摯な姿勢は、
すべての仕事に通じるのではないか。
小説なのでデフォルメして描かれているのだろうが、普段、街の風景の
一部として目にしている交通誘導員の仕事って大変なんだよな。
時々いるもの。「この人、プロだ」って感じる人が。
文章は平坦でクライマックスと呼べる場面はないけれど、いい作品だった。