梶山季之のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
架空の紳士「せどり男爵」と著者が色んな場所で偶然に出会い、「ちょっと一杯どうですか?」的な流れで男爵の体験が語られるというのが基本パターンなのだが(そんなに都合よく同じ人間とばかり出会うかね?)、この男爵というのが戦前に爵位を受けた家系の嫡男であるはずなのに「〜でげすな」等と幇間のような喋り方で、どうもキャラクターに一貫性がない。ビブリオマニアの男爵が直接間接に出会う異様なマニア達の生態も章を数えるにつれどんどんとえげつなさを増し、最後の方は書物自体は添え物ではないかとすら思えてくる。
梶山は当時相当な売れっ子作家だったのだろうが、忙しい、連載多い、儲かってます!的なマウントが鼻につく(笑)。