野々上大二郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレこれは、実にグッと来た。
意見はそれぞれだろうが、やはり、漫画読みにとっては、グッと来る作品に出逢える事が一番、幸せだ、と私は信じている。
この『羽鳥と古田の非日常茶飯事』を読んで、改めて自覚したんだが、どうにも、私は、この手のちょっと不思議な事が起こるタイプのストーリーと、主役の頭のネジが飛んでいるタイプの作品が好きらしい。
無気力、と言うより、自分が本気になれる、熱中になれる何かを見つけられず、燻っていた男子高校生が、風変わりなクラスメイトの女子と出会った事で、これまでとは一線を画した「面白い」に満ちた日常に身を投じていくって流れが、実に私好みだった。
この(1)のラストで、羽鳥と古田は謎の生物を育てていたのだが、そんな二人の前に、明らかに非合法な組織っぽいメンバーが姿を見せている。一触即発、と表現するに相応しい状況で、頭のネジが飛んでいる羽鳥が、どんな大暴れを魅せてくれるのか、楽しみでしかない。羽鳥を主人と認めているペロと一体化し、人外に近付いた存在になるとか?
この台詞を引用に選んだのは、羽鳥、推せるなぁ、と感じたものだったので。
目は口程に物を言う、とはよく言ったものだ。
誰がどう見たって、この目は、頭のネジを夢を叶えるためなら飛ばせる人間のそれだ。
好感を持てる一方で、身内に、こういう目が出来ちゃう奴がいたら、死に直結する無茶をしないか、心配になるだろう。
ただ、世界に蔓延っている、良くない常識をぶっ壊せる存在になれるのは、この目が出来る奴ってのも確かだ。
空っぽであるって事は、いくらでも、これから入れられるって事ではあるにしろ、果たして、羽鳥は何を入れていくのか。そして、入れられたモノは、羽鳥をどんな人間にしていくのか・・・
「口先だけじゃなけりゃ良いんですがねぇ」
「?」
「『この靴下くらい面白いもの』、それのためなら、命かけられるかって聞いてんですよ」
「うん」(by古田廿七、羽鳥美智) -
Posted by ブクログ
本当に終わってしまったのか……というのが読後の正直な感想
物語の背景がとても大きく深いのにこの話数で終わってしまったということはやはり打ち切りなのだろうけど、打ち切りだからって突然終わらせるようなことはせず物語の裏事情を語れるだけ語り龍之介の覚悟を最後に示して終わったのは非常に好印象
ただ、それにより巻の大半が裏事情の説明に費やされているために龍之介と小春がそれぞれの局面でどう思っているのか、そして二人の傍に居るエステルは二人をどう見ているのかがあまり深く言及されなかった点は少し惜しいと思ってしまう
キャラ紹介や父親の敖白の話によれば龍之介は可能性を信じられる強さを持った少年であり、小春は可能性と奇跡の上に生きている少女。
そしてこの物語において人間は恐怖心を妖怪の形にして出現させてしまう弱さがある
そのような世界の中で可能性というものを力強く持つ二人が中心となって駆けていく物語は非常に読み応えがあるものだった
今更だけど、もっと物語の続きを読み、龍之介と小春の成長を出来る限り感じ続けたかったな…… -
Posted by ブクログ
ネタバレコハルと心を一つにしてからの龍之介の成長っぷりが目を瞠るばかり。あっという間に如意棒の使い方をマスターしてしまうどころか、他の人には出来ないような運用方法もしてしまうとは
龍之介の想いの強さを感じさせると同時にコハルの特別性も感じさせるね
龍之介って第一巻でコハルの兄としてコハルを守ると決めたけど、それ以上のことは強く決意していなかったんだよね
それが夢の中で「系」と会話する中で明確に変わっていく様が丁寧に描かれているね。この時、龍之介は第一話の頃の自分が望んだ日常に帰る方法を示されているし、まだまだ子供であり龍之介が背負うには呪いのような重さだとも言われている
でも、既にコハルの兄になると決意を固めている龍之介はコハルの居ない日々を帰るべき日常とは思わっていないんだよね。だから自分が日常に帰るためにはコハルも日常に帰れるようにしなければならないと言葉に出して決意する
龍之介の目指すべき道が定まった瞬間だね
この巻からヒロイン(?)として登場するエステル。まだ小学三年生の龍之介に合わせてかこちらも11歳とやはり低年齢だね。ただ、その年令に見合わず背負っている覚悟は相当重いものだったけど
アニメキャラのリンリンのコスプレをしてポージングを取るエステル。その様子はどこか滑稽だけど、理由が一番強いと思う者の投影であるならば笑うものではなく、ある意味エステルの力の源泉なのだと思える。けれど、その「リンリンのようになりたい」という願望の根っこにあるのが「弱かった自分を許せない」であるならば限界は見えてしまうし無理も生じる
だから虎狼狸に一人で対峙しようとしたエステルはそのままであれば負けるしか無かった。それが龍之介やコハルとの触れ合いを契機に変わっていき、「リンリンのようになりたい」という願いを持った最初に抱いた頃の想いを取り戻す流れは良いね
コハルに出会って変わっていった龍之介がエステルと出会ってコハルと一緒に彼女を変える連鎖構造。
エステルが許せない自分を、弱かった自分を超えて新しい力を発揮して巨大な妖怪を倒す流れはとても美しく思えた
この流れで次巻の内容がどうなるのか気になるなと思っていたら、この作品って次巻で終わってしまうの?こんなに良い作品なのにマジですか…… -
Posted by ブクログ
ネタバレ主人公の龍之介は小3でヒロインポジションに居る妹のコハルは小2と年齢設定はかなり低めなんだけど、物語の内容はかなり重厚であり龍之介が所々で示す兄としての覚悟も相当なものだから時々彼らの年齢を忘れてしまいそうになるな
でも、その普通の少年漫画よりもちょっと低めな年齢設定が、内に巣食う制御の難しい恐怖心と戦う展開により緊張感を醸し出しているように思う
第一話前半で描かれる龍之介とコハルの馴れ初めは割とオーソドックスな展開。スポーツ少年団に入ろうとしていたら突然妹が出来たと言われしたいことが出来なくなり苛立つが、目が見えず動けないコハルの恐怖や孤独を理解して、兄としての覚悟を固める展開は理解しやすいもの
だからこそ、その直後から始まるコハルの能力に端を発する超常現象の連続には驚かれ、そして龍之介が兄としてコハルを守る意味がより大きく難しくなったと感じられるものだった
自分にとって一番怖い蔵の中に再び入り、コハルの前で妖怪を退治した龍之介はきちんと兄の顔になっていたね
第4・5話では龍之介の友達を助けるためにコハルの能力を使う展開に
コハルの能力は使い方を間違えればすぐに周囲を危険にさらしてしまうものだからコハルは能力を発動しないように言葉を使わないでいたのが龍之介と出会ってばかりの頃
でも、第5話の時点でしげちゃんを助けたいという龍之介の想いに応えるために言葉を人に向けて発する。これはとても大きな変化でコハルが言葉を使っても大丈夫だという安心感を手に入れたことと、会ったばかりの兄の友人を助けるために行動できる優しさを持っていることを表しているね
今回はしげちゃんを完璧な日常に返すために記憶処置をせざるを得なかったけど、一時はコハルと友達になりたいとしげちゃんは言ってくれた。
今はまだ難しくてもその内コハルも友だちに囲まれる光景が来るのではないかと感じさせるような描写だった
それにしても何故この物語が「最後の西遊記」と題されているのか、そして何がどうやったら冒頭のシーンに繋がってしまうのか気になるところ