桑木野幸司のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
面白かったです。これまで聞いたことのない話が多く、純粋に知的好奇心が満たされました。本書は「ありがちな」ルネサンス解説本とは一線を画しています。「ありがち」な本というのは、ルネサンスを芸術やヒューマニズムの視点から論じたり、ルネサンス時代の光と闇という切り口で分析するものです。そうではなく、本書ではルネサンスを「情報革命」という切り口で論じているのですが、例えば以下のようなトピックを含んでいます。
・地図
・百学連環(百科事典)
・活版印刷の発明
・情報編集論としての「コモンプレイス」(ラテン語の常套句、議論の型など)
・記憶術の発展
・世界の目録化(植物誌、動物誌、博物誌…等の登場)
まさ -
Posted by ブクログ
いまの日本だとゼネラリストよりスペシャリストに重きを置く方向になっているように思うがやはり学術に限らずビジネスも繋がりがあることを考えるとルネサンス期などのように満遍なく学んでいくことが大切だということを再認識した。スペシャリストでもその前提としてゼネラリストであること。
そしてwebやSNSの普及で情報量が爆増している一方で読解力が弱くなっているいま、あらためてルネサンス期に習って情報を整理していくことが重要。
その意味だとルネサンス期は情報の爆発n読解力は追いついていたのだろうか。(抜粋集があったということは程度の差はあれ似た問題はあったのか?) -
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Posted by ブクログ
活版印刷の発明によって蔵書の数が増えたり、書誌や選別書誌、禁書目録が登場したりする様子がおもしろい。
グーテンベルクは1444-45年頃に活版印刷技術の実践に取り掛かったが、「42行聖書」を刷っている最中に金融業者から出資金の返還を要求する裁判を起こされ、工房を差し押さえられた。差し押さえられた工房は1462年に戦火によって破壊されたため、植字工や印刷工が新たな職場を求めて各地に赴き、印刷術が伝搬した。
ルネサンスによってもたらされた例として、プトレマイオスの「地理学」がある。天文学的に算出した経度、緯度と幾何学の知識があれば、誰でも正確な地図を描ける方法を提示したもの。この方法論を洗練さ -
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