【感想・ネタバレ】ルネサンス 情報革命の時代のレビュー

あらすじ

新大陸やアジア諸国から流入する大量の珍花奇葉、珍獣奇鳥、玄怪な工芸品……。西欧のルネサンスは、情報の大洪水に見舞われ、中世までの伝統的な知のフレームが大きく揺らいだ時代であった。さらに「古代」という過去の発見、 新たな救済の道の発見(宗教改革)、宇宙や身体内部の発見(天文学や解剖学) ……まさに発見につぐ発見の時代相だ。この未曾有の知の大爆発に、果敢に立ち向かった人々がいた。膨大な言葉と物を集め、分類を工夫し、印刷メディアと人工記憶を駆使しながら、独創的な知のソフトウェアの開発をめざす挑戦が幕を開ける! 情報革命がもたらしたルネサンス文化を読み解く。

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Posted by ブクログ

面白かったです。これまで聞いたことのない話が多く、純粋に知的好奇心が満たされました。本書は「ありがちな」ルネサンス解説本とは一線を画しています。「ありがち」な本というのは、ルネサンスを芸術やヒューマニズムの視点から論じたり、ルネサンス時代の光と闇という切り口で分析するものです。そうではなく、本書ではルネサンスを「情報革命」という切り口で論じているのですが、例えば以下のようなトピックを含んでいます。
・地図
・百学連環(百科事典)
・活版印刷の発明
・情報編集論としての「コモンプレイス」(ラテン語の常套句、議論の型など)
・記憶術の発展
・世界の目録化(植物誌、動物誌、博物誌…等の登場)

まさに「知の大爆発」が起こっていたわけで、その中で人々は「万能人」たるべく飽くなき知的好奇心を発揮していったことが読み取れました。

現代に目を向けるとインターネットの登場で、アクセスできる情報量は爆発的に増え、生成AIの登場によってコンテンツの生成が容易になりました。これからは画像だけでなくゲームや動画、メタバースなどが爆発的に増えていくでしょう。その意味では、現代人もルネサンスと似たような状況に置かれているのかもしれない、という気がしてきました。ただし違う点としては、人間が「万能人」を目指すのではなく、人工知能という、百学連環を備えた「万能人」をつくりあげようとしている、ということかとは思います。

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2023年10月14日

Posted by ブクログ

いまの日本だとゼネラリストよりスペシャリストに重きを置く方向になっているように思うがやはり学術に限らずビジネスも繋がりがあることを考えるとルネサンス期などのように満遍なく学んでいくことが大切だということを再認識した。スペシャリストでもその前提としてゼネラリストであること。

そしてwebやSNSの普及で情報量が爆増している一方で読解力が弱くなっているいま、あらためてルネサンス期に習って情報を整理していくことが重要。
その意味だとルネサンス期は情報の爆発n読解力は追いついていたのだろうか。(抜粋集があったということは程度の差はあれ似た問題はあったのか?)

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2024年03月09日

Posted by ブクログ

自分たちとは遠い時代遠い国の謎を軽妙な語り口で解き明かしてくれる。ときどきクスッとさせられる一文も。博物館の歴史を最近調べていたので、ブンダーカンマーの話はとても興味深かった。情報が膨大すぎるから体系づけの必要にせまられたというのは、現代にも十分通じる話

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2022年10月09日

Posted by ブクログ

活版印刷の発明によって蔵書の数が増えたり、書誌や選別書誌、禁書目録が登場したりする様子がおもしろい。

グーテンベルクは1444-45年頃に活版印刷技術の実践に取り掛かったが、「42行聖書」を刷っている最中に金融業者から出資金の返還を要求する裁判を起こされ、工房を差し押さえられた。差し押さえられた工房は1462年に戦火によって破壊されたため、植字工や印刷工が新たな職場を求めて各地に赴き、印刷術が伝搬した。

ルネサンスによってもたらされた例として、プトレマイオスの「地理学」がある。天文学的に算出した経度、緯度と幾何学の知識があれば、誰でも正確な地図を描ける方法を提示したもの。この方法論を洗練させて、1569年にメルカトル図法が登場した。

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2025年11月07日

Posted by ブクログ

ルネサンス時代の研究で特に博物誌としての書籍を説明した本である。情報革命がルネサンスで起こったといわれるが、その情報革命の定義が書かれていないような気がする。ひとつひとつ見ていけば面白いものがあるのかもしれない。ルネサンス史として読んだ方がいいと思われる。

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2022年09月21日

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