昔の女性は一生で50回しか月経がこなかったという話も、それはそれで色々思うところはあったが、生理中や出産予定の女性たちが追いやられたという「小屋」には言葉を失った。
令和になっても、生理中の神社参拝は遠慮せよと言われるから根は深い。
そうした月経禁忌が家父長制の導入と共に、宮中から全国へ広まった
...続きを読むという説は興味深く読んだ。
その後押しをしたという『血盆経』が中国で流行した時期は、考えてみれば纏足の大流行と重なっている。女性の身体を物化する風習は言うまでもなく家父長制とは切っても切れない関係にある。
ただでさえ月経で定期的に血を流さねばならないのに、足まで血膿まみれ、その上、汚くて劣る存在だと思い込まされるのは、流血が名誉や勇気の証とされる男性とは対照的だ。
それにしても、アンネ社宣伝課長の手記は面白かった。生理生活の実情を目の当たりにした“アンネ課長“は、恐ろしさのあまりおかしくなったまま走り出し、社員を前に演説しはじめる。ほとんど戦場ジャーナリストのノリだった。
もちろん、当時の生理用品がいかにお粗末で、「アンネナプキン」のなかった時代の女性たちがどれだけ苦労していたかを全力で書こうとしているのは伝わるのだが、それ以上に、男性にとって月経がどんなものかが分かる文章でもあった。