内海隆一郎のレビュー一覧
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内海隆一郎『鰻のたたき 新装版』光文社文庫。
ハートウォーミングな傑作短編10編を収録。既読ではあるのだが、珍しく新装版が刊行されたので再読してみることにした。
内海隆一郎の作品を初めて読んだのは、約40年程前のことである。大学を卒業し、岩手県の一関市という田舎町に移り住み、働き始めた頃だ。たまたま書店で見付けて読んだ『人びとシリーズ』の1作が面白く、たちまち内海隆一郎の虜になった。解説を読むと、内海隆一郎が名古屋から疎開し、一関市で青春時代を過ごしたことを知り、何かの縁を感じた。内海隆一郎の作品には『北の駅』を始め、一関市が舞台としたものもあり、そうした作品と出会うのも一つの楽しみとなっ -
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内海隆一郎『だれもが子供だったころ』河出文庫。
子供の目線で家族の日常を描いた掌編集の復刊。49編を収録。
平和な家庭、いさかいや問題のある家庭。様々な家庭のありふれた日常が子供の目を通して描かれるが、行間から暖かい気持ちが伝わって来る。心の中にある懐かしい記憶。平凡な日常が味わえなくなって久しい今の時世だからこそ、心に染みる物がある。
新型コロナウイルス感染禍だけでも大変なのにロシアによるウクライナへの軍事侵攻、そして、3月16日の深夜の大地震と平穏無事な日常がますます遠ざかる。
昔から内海隆一郎の作品は読み続けている。内海隆一郎が自分の出身地、岩手県出身と聞いてからは親近感を感じ、 -
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人びとシリーズの一冊。タイトルの通り、懐かしい人びとを描いた珠玉の24編の掌編を収録。掌編ごとに、悲しみ、切なさ、怒り、喜び、驚きといった様々な感情を刺激してくれる。
多くに描かれているのは、意外にも肉親との死による別れと、その現実に真摯に向かい合う人びとの姿である。決して避けることは出来ない現実を、時に温かく、時には厳しく描いてみせる著者の想いが行間から伝わってくる。
なかなか内海隆一郎さんの著作と巡り合う機会も減り、久し振りに見付けた未読作。多くの傑作を生み出している作家なのに、悲しいことに評価が低く、絶版が多い。また、完全な著作リストすら見たこともない。嬉しいことに本書の解説にかなり -
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ネタバレタイトルで購入し、1篇目を読み終わって
2編目を読み始めて短編集だったことに
ビックリ、「鰻のたたき」を出すお店の話が
続くものと思ってたwww
個人的に面白かったり心に残ったのが
親子の学校?先生?嫌いは似るのかな?そして
現代の教育ってなんだかさみしいなぁ~なんて
って思った「親ゆずり」、なかなか複雑な
環境で育った兄妹のポテトサラダの伏線回収が
おもしろかった「ポテトサラダ」、
女将さんと菊さんの関係性が絶妙なバランスの
共依存っぽくなってる「山菜摘み」、
こういう人生ならひとり身でママさんとして
人生謳歌してもいいなと思った「乳母がわり」
ってかいい人過ぎやろ!だからあえて子供が
慕 -
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1人暮らしの自転車屋さん、喫茶店の女主人、退職して犬を飼い始めた老人、駆け落ち結婚の10代の若夫婦……郊外の町にひっそりと真摯に生きる人たちのドラマを温かく見守るのは、大通りの欅並木。さり気ない思いやりで小さな発見に満ちた生活から生まれる、思いがけない感動と涙が、NHKドラマ原作に。(出版社の内容紹介より)
このコピーを読んだだけで、「内海さんの作品だ!!」と判るよね!
頑固に古い自転車を修理する1人暮らしの自転車屋さん、訳ありの喫茶店の女主人。居るよねこんな人たち。。。。「欅通り」の街は、多摩ニュータウンを想像しながら読んだけど、街の地図が描けそうな描写はさすがでした。