柿沼瑛子のレビュー一覧

  • キャロル
    “恐れていながら人を愛することなんて出来はしない。恐れと愛は両立しない。ふたりでいることで日ごとに強くなっているというのに、なぜ怯える必要があるのだろう? 昼だけではなく夜ごとにも。同じ夜は二度となく、同じ朝も決して訪れなかった。ふたりは一緒に奇跡を紡ぎ続けていた。” 
  • 誰?
    なぜ今バドリス?という意表をつく国書刊行会というより山口雅也氏のチョイス。
    舞台はソビエト連邦ありし日の冷戦時代、国境付近の研究所での事故で重傷をおった研究員がソ連に収容されサイボーグ化され解放。顔はロボコップなみに仮面で覆われ体も多くが機械となって解放された。果たして本物の研究員なのかスパイなのか...続きを読む
  • 誰?
    はじめの方は退屈だったが、だんだん面白くなった。最後は少し判じ物。スパイスリラーに見せかけた、天才的科学者の成長と喪失の物語。
  • キャロル
    「見知らぬ乗客」でサスペンス作家として世に名を轟かせたパトリシア・ハイスミスが、1952年に匿名(別名義)で出版した恋愛小説。

     心情描写の詩的比喩が多く、若く主観的なテレーズが成長していく姿とリンクしていて美しい。
    印をつけて大事にとっておきたい文章がいくつもあった。
    映画も小説も忘れられぬ作品...続きを読む
  • キャロル
    舞台美術のデザイナーになる夢を追いながらNYのデパートで働く19歳のテレーズは、ある日接客した女性客を忘れられず、伝票から割り出した住所宛にクリスマスカードを投函する。それがキャロルとの運命的な出会いのはじまりだった。交際中の恋人リチャードとの関係に違和感を抱いていたテレーズは、キャロルへの燃えさか...続きを読む
  • キャロル
    クリスマスも近づいて参りましたので、「キャロル」を。
    実は映画化された当時に購入したまま、積読となっておりました。

    イヤミス(嫌なミステリー:読後感が良くない)の祖と呼ばれるパトリシア・ハイスミスの作品ですが、今作は異例の恋愛小説だそうで。
    主題としてはNYに住む女性二人の恋愛模様と紆余曲折……と...続きを読む
  • キャロル
    恋愛小説
    デパート働くテレーズはお客のキャロルに一目で恋に落ちる。夫と子供がいるキャロルとの交際はテレーズに多くの葛藤をもたらす。一度はキャロルとの別離を決意し、仕事を選ぶテレーズだが、やはりキャロルのもとへ。

    先に映画を見たのだけど、セリフが少なく表情や背景で心情を折っていかなければならないので...続きを読む
  • キャロル
    とんでもなくよかった。控えめに言って最高。
    映画を見て、次の日に原作を購入した。
    映画では描かれていなかったテレーズの想いが書かれていてすごく共感した、キャロルと出会った時のテレーズと同い年の私。


    最後キャロルの同棲の話を断った後のパーティで、美人な女優さんに好意を抱かれているのを見てやっぱりテ...続きを読む
  • キャロル
    彼女は白黒の世界に生きていた

    無味乾燥な毎日
    婚約しているけど愛情のない関係

    私はこの生活を
    果たして自ら望んだのだろうか

    彼女は日々自問自答する

    やりたいことがある
    夢がある でもそれは遥かに遠い

    現実の先に夢が繋がっているとは考えられない


    そんな日常で
    彼女は色づいた一人の女性を見...続きを読む
  • わが愛しのホームズ

    面白かった

    もしもホームズとワトソンの関係が友情以上のものだったらのお話。

    お互い想い合ってたけどこういう時代だからはっきり意思表示して愛し合えなかった、と直接的な身体の接触の表現はほぼ無いからこそ萌えた。
    事件を交えながら進むストーリーも面白かった。

    ワトソンははっきりとホームズが好きだと言って...続きを読む
  • キャロル
    「太陽がいっぱい」などで有名なパトリシア・ハイスミスが1952年に別名義で発表した作品。
    恋愛物です。
    マッカーシズムの赤狩り旋風が吹き荒れた厳しい時代だが、ペーパーバックでベストセラーになったそう。

    若い娘テレーズと、美しい人妻キャロルが出会う。
    テレーズは舞台美術家の卵で、クリスマス商戦でにぎ...続きを読む
  • キャロル
    キャロルとテレーズが出会うシーンにやられた。
    大人の世界がまだわからないテレーズとか、出会いのシーンとか、もう共感するところがありすぎて、身につまされる思いで読んだ。
    初めての恋を思い出す。
    私の結末は、ハッピーエンドではなかったけれど。

    とても真剣なふたりを感じられるラストにほっと胸をなでおろし...続きを読む
  • キャロル
    簡単に言ってしまえば、レズビアンの話だが、純粋な恋愛小説といってよい。
    異性愛と異なるのは周囲の偏見だけだし、異性愛だって条件によっては偏見を持たれることもある。
    繊細な感情の揺れ動きが行動によく表れていて、とてもよい小説。
  • キャロル
    映画もそうだったが、エドワード・ホッパーを思わせる世界観がとても好き。

    人に恋する事の純粋さがストレートに描かれていて、どのラブストーリーよりも素晴らしいと思った。
  • キャロル
    1回目の感想
     映画を観てから原作を読んだ。原作のキャロルは、脆さであったり危うさであったりがよく表現されていて、より人間らしく感じられた。テレーズが、キャロルをただ美しい理想の人間ではなく、現実の人間としてとらえはじめたところにテレーズの成長がある。
     この2人の織り成す関係性がとても美しい。人が...続きを読む
  • キャロル
    「太陽がいっぱい」を書いたパトリシア・ハイスミスが書いた女性同士の恋愛を書いた小説。19歳の主人公テレーズから見た魅力的な年上の女性キャロルとの恋愛模様が丁寧に描かれている。冷静な目で見ればキャロルなんてわがままで気まぐれで自分勝手でどこがいいかわからないけど、テレーズの目を通してみるととても魅力的...続きを読む
  • キャロル
    きっとテレーズにとって本当の初恋。
    だからこそキャロルしか見えないし、他のものに対して苛立ちが伴う。人を初めて苦しくなるほど愛するとはこういうことだったなぁと思い返したりした。
    2人が離れてからのほうが結構好きだったかな。
    冷静になって彼女をまた愛するの良かった
  • カーリーの歌
    カーリーの歌
    Bluejay Books「Song of Kali」 1985年11月

    訳者あとがき 柿沼瑛子
  • キャロル
    映画版のビジュアルだけ見た状態で原作を読んだ。
    キャロル、ケイトブランシェットってはまり役すぎるだろ…。あまりにも「運命の女」が似合う。
    全く2人は変わってしまったけれど、でも、というラストが好きだった。
  • キャロル
    パトリシア・ハイスミスはミステリーの作家さんだというイメージが強かったのですが、恋愛小説も書いたのですね。
    描かれている人々の生活ぶりが自分の住む世界とあまりにかけ離れていすぎて現実感が薄かった。現在よりも比べ物にならないくらい同性の恋愛への偏見の酷さを考えると希望のある終わり方。
    幸福感の描写がと...続きを読む