鏡明のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
この連作短編型の長編が書かれた1980年代初めは、伝説のSFファン鏡明が小説をものし始めた時期で、私も大いなる期待を持ってSFマガジン連載の『我らが安息の日々』を読んだりしたけれど(いまだに単行本化されていないのだ)、『不確定世界の探偵物語』のほうは新書で出版されてもなぜだか読まずじまいだった。タイムマシンの実用化によって過去が改編され続けて現在が不確定になってしまった世界における探偵物語という設定には大いに魅力を感じた(赤川次郎への皮肉?)が、しかし、そんな世界で探偵は不可能ではないか。
そこで設定ではタイムマシンはただ1台だけ、しかも世界一の大富豪ブライスが所有し、世界の改良のためだけ -
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Posted by ブクログ
こんな凄い作家さんがいたとは…!
解説によると鏡さんは〈日本SF界最大の巨人〉だそうです。…巨人!?
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タイムマシンで過去を変えたら未来が変わる、というのはバックトゥザフューチャーでもおなじみですが、
もしも誰かが過去をいじることで、現実が不確定に変わり続ける世界に生きているとしたら…??
本書はそんなややこしい世界でさらにややこしい職業、探偵をしている男の物語です。
不確定に変わる世界で昨日や証拠に何の意味があるのか…。
作者はそんなややこしい設定をあえて行い、ラストは見事に回収するという離れ技を行います。
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日本SF界最大の巨人…
単純に一番長身の星新一さんよりも背が高かったから、 -
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Posted by ブクログ
ネタバレ悪くは、ない。悪くは! たとえ、幾つかの比喩やせりふが、物語じしんに怒りを抱いてしまうほどチープであったとしても。実際頭を掻きむしりたくなるくらいムカつくが、そのことが物語を、どこか遠くに「去ってしまった」ほんものの神話や魔法や、ユニコーンがほんとうに属していたであろうはるけき世界を想像させるのにひと役買っているから、評価しないわけにはいかない。
ーー物語はしずかにはじまり、むちゃくちゃな中盤を経て「変わってしまった」最後に至る。文体は、わたしは好まない。くわえて、語られるものは大きいのに、話が横道に逸れすぎることに損なわれている。損なわれることさえ、魅力にも思えるが。
けれど。たとえ挑戦にな -
Posted by ブクログ
まったく,人間と言うやつの順応性には,感嘆するよりない。ワンダーマシンが作動しはじめてから,世の中は,以前の世界とは似ても似つかぬものになってしまった。確実なもの,絶対的なものなど存在しないということを,現実に経験することになったからだ。
たとえば,見なれた町並みが突如として変わったり,目の前で話していた男が,見知らぬ人間に変わってしまうことだって,現実に起きた。もちろん,街が姿を変えるなんて凄まじいことは,滅多にない。おれの記憶では一度あっただけだ。ま,その記憶というやつも,まるであてにはならないわけだが,一回だけというのは定説になっている。そして,それは不用意に過去に手を触れることがい