昔から幽霊の話が好きなので、怪談や民話・伝説など、たくさん読んできました。もちろん、ホラー小説も大好きです。そんな私が出会った本が、これ。気にならないわけがない。
著者は脳神経内科のお医者さんなので、きわめてまっとうな脳科学の本です。「幽霊が見える」という体験について、脳科学(脳神経内科)の方面から解説を試みた、おそらく本邦初の科学読み物と言えるでしょう。
「幽霊を見た」という「証言」に関しては、皆さんご存じ小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の「怪談」は言うに及ばず、水木しげる先生の体験談、柳田邦男の「遠野物語」、山の怪異を聞き書きした「山怪」から落語まで、東西様々な「事例」を、実際に著者が診察した患者さんの症例などと照らし合わせながら、大きく四つのパターンに分類しています。
お医者さんの書かれた本ですが、けっして堅苦しくなく、すらすらと読みやすい本でした。人類はいつから幽霊を見るようになったのか、という疑問も、お医者さんならではだな、と思いました。
私自身は、幽霊は「見た」経験はほとんどなく、あり得ない時間帯にありえない場所から声を聴いた、という経験などがあるくらいで、あとは、本書に出てくる金縛りの経験くらいでしょうか。金縛りは、昼寝をしているときによく合ったので、あれは「夢」だったのだろう、と考えていますし、本書を読んで納得しました。
私はかねがね「幽霊を見る」という行為は、「霊が見える」というというより、脳が見せている映像だと思っていたので、裏付けが取れた感じです。最も、それだけで説明が付かないことも山のようにあることは承知しているので、そっちの方が面白いし、大好きなのはいうまでもありません。ただ、人間の脳の働きについては、まだまだ未知の世界が広がっている、幽霊からもアプローチができる、そんな示唆をしてくれている本でした。