臼井隆一郎のレビュー一覧
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ネタバレ大好きな食べ物の歴史。コーヒーハウスなどについての歴史については既に読んでいたが、イスラムの中でコーヒーがどう扱われてきたかとか、もう少し突っ込んだ内容が分かる本。
近代まで長い間、黒人がなぜ奴隷として働かされてしまったのかということについて、1つ考えさせられる事例があった。アフリカなどの人々は、自らが所有する豊かな土地で自給自足の生活が成り立っていたため、賃金労働というシステムに取り込むことができなかったようだ。
イギリスなどでは、土地を持っていない人々が、食べていくために働いて賃金を稼いで物を買う。一方植民地の人々は、土地を持っていて食べていくにも困らない。支配国の企業がいくら賃金を与 -
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コーヒーを軸に世界史を読み解いた本。
題材が身近にあるものなので大変読みやすかった。
内容として面白かったのはコーヒーハウスがフランス革命の思想的準備の場となったこと、そして自由を掲げた革命の背後には黒人奴隷に対する自由の剥奪があったという皮肉だ。また、第一次世界大戦におけるキール港の水兵の反乱の遠因としてコーヒーの不足があったことも印象的だった。
歴史系の本は堅くて読みづらいイメージがあるが、この本は手記や小説、詩などを紹介しつつその時代、その地域の様子を紹介してくれるため、気を張ることなく読み進めることができる。
また、イスラムの教義、イギリスと茶の歴史、フランス革命期の思想、商品フ -
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『スターバックス再生物語』を読んだ経験と、リオの喧騒から逃げるようにロンドンのパブでビールを楽しんでいた、偉大なコーヒーテイスターと出会った経験とがリンクして、コーヒーについて学んでみようと思ったことから、手にとった一冊。
<概要>
コーヒーが社会にどのような影響を与え、またどのような役割を果たしていたのかを、紀元前から近代に至るまでの時間軸と、消費地ヨーロッパや生産国地域それぞれの文化的・地理的な横軸で比較し、その流れを分析したもの。
<感想>
1 元々カフワ(一種の興奮作用を有する物)としてその存在価値を見出され、特にスーフィー達の祈りの阻害となる睡魔を払うものとして利用されていた。こ -
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ネタバレ[ 内容 ]
東アフリカ原産の豆を原料とし、イスラームの宗教的観念を背景に誕生したコーヒーは、近東にコーヒーの家を作り出す。
ロンドンに渡りコーヒー・ハウスとなって近代市民社会の諸制度を準備し、パリではフランス革命に立ち合あい、「自由・平等・博愛」を謳い上げる。
その一方、植民地での搾取と人種差別にかかわり、のちにドイツで市民社会の鬼っ子ファシズムを生むに至る。
コーヒーという商品の歴史を、現代文明のひとつの寓話として叙述する。
[ 目次 ]
第1章 スーフィズムのコーヒー
第2章 コーヒー文明の発生的性格
第3章 コーヒー・ハウスと市民社会
第4章 黒い革命
第5章 ナポレオンと大陸封鎖