臼井隆一郎のレビュー一覧
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だいたい、コーヒーというのは奇体な飲み物である。そもそも体に悪い。飲むと興奮する。眠れない。食欲がなくなる。痩せる。しかしそのコーヒーのネガティブな特性を丸ごとポジティヴに受け入れて、世界への伝播に力を貸したのがスーフィーたちであった。
(p.14)
海外活動は危険が伴う。保険が必要だ。しかしこれもない。どこかで始めなければならない。コーヒー・ハウス。正確かつ迅速な情報と遠隔地交易にまつわる事故の補償とは時代の要請であった。
(p.62)
プロイセンは男らしい国であった 。その昔、マールブルクのエリーザベト教会のステンド・グラスに変描いたアダムとイヴの絵で、アダムを誘惑するイヴが女であった -
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中公新書で、私の大好きな「食べて飲んで世界を知る」シリーズの1巻。今まで、茶、ジャガイモ、チョコレートと読み、「コーヒー」まで来ました。本書はイエメンで15世紀に生まれたコーヒーが世界史の中で、どんな役割を果たして来たかを描きます。カフェイン中毒者の私には楽しい本でした。
近東で、イスラム修行者が禁欲的生活を送る上で、「飲むと眠れなくなる」コーヒーが流行りました。人々が眠っているときに祈りを捧げることが美徳とされていたからです。しかし、コーヒーの語源である「カフワ」はイスラム教の中では白ワインも意味していて、神学論争を引き起こします。結局、コーヒーは認められ、近東に「コーヒーの家」が乱立し、 -
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ネタバレ仕事でコーヒーに関わるようになったこと、もともとコーヒー好き、さらに歴史好きなことから手に取ってみたこの本。コーヒーの起源から、コーヒーと共に動いた歴史を面白く紹介している。
まず、コーヒーはイスラム教徒であるスーフィーが「眠気」と戦うために飲み始めたのが起源で、この不思議な「黒い液体」は聖水として重宝された。
やがてコーヒーはヨーロッパへと伝播し、生産地もジャワへ、ブラジルへと広まっていく。ヨーロッパでは、イギリスやフランスでカフェ文化として花開き、特にフランスでは「カフェ・プロコプ(1689)」など、政治的議論が活発なカフェが誕生し、やがてフランス革命へ。
ドイツの独立、第一次世界大戦下で -
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幸福なアラビア、イエメンから禁欲的なイスラム教スーフィ派によって広められたコーヒー。理性のアルコール、理性のリキュールと呼ばれヨーロッパ中に輸出される。啓蒙思想と人権と市民社会の成熟の流れの中でコーヒーは大きな影響を与える。イギリスでは清教徒革命の頃に広まり、カフェは市民の議論の場となり、保険、郵便など近代市民社会を準備した。しかし女性の反対運動で衰退していく。フランスはハプスブルグ家との対向からオスマン帝国と同盟を結び、コーヒー文化がもたらされた為、王や貴婦人によって先導された。女性ありきのコーヒー文化が根付く。また体に悪いという説を克服する為に体にいい牛乳と混ぜるカフェオレが生まれた。カフ