日本のクリスマスのあり方に、一時期ものすごく憤っていたことがあって、キリスト教徒でもないのにバカじゃないのか、クリスマスはホテル予約してエッチする日じゃないんだぞ、クリスマスをなんだと思っているんだ、と自分こそキリスト教徒でもないのに勝手腹を立て、商業主義まみれのクリスマスに嫌悪感をむき出しにして
...続きを読むいた。そもそも12月25日はキリストの誕生日ではないし(本書にもあるが、イエスの誕生日はわかっていない)、北欧や古代ゲルマンの冬至の祭りと習合したらしい(異教の風習がキリスト教に取り込まれた)ということを知ったあたりから、日本でのクリスマスのあり方も、まぁ、ありか、と思えるようになった。(今では積極的にクリスマス飾りを作ったりしている。)
たまたまこの本を手にする機会があったのでパラパラと読んでみると、実はクリスマスについて何にも知らないことに気づかされた。たとえば、サンタクロースのルーツは聖ニクラウスでが今のような姿になったのはアメリカ発祥(コカ・コーラのイラストが最初だと思っていたのも間違いだったことをこの度学んだ)だと知っていたが、聖ニクラウスと現代のサンタクロースを繋ぐヨーロッパの風習に、日本のなまはげに似た役割を感じたり、クリスマスツリーがイギリスにもたらされたのはヴィクトリア女王の夫君アルバート公が彼の故郷コーブルク(ドイツ)の風習を持ち込んでからだとか(そういえばドラマシリーズ『ヴィクトリア 愛に生きる』でやっていた!)、意外と歴史的には新しい風習であることを知ることができた。ナチスが資金稼ぎにクリスマスツリー飾りを売っていたというのも興味深い。
著者はクリスマスが好きすぎて、ドイツはもちろんヨーロッパ各地にクリスマスの足跡を訪ねて、古いクリスマス飾りや絵葉書、サンタクロースの人形などを集めて廻り、その図版も豊富に紹介されていて楽しい。
クリスマスへの理解が深まったところで、今年からクリスマスをもっと楽しもうと思った次第です。