伊東守男のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ものすごく独特の世界。
1P目からにきびが自発的に引っ込んだりして、もしや誤訳?と思いながら読み進めると、どうやらそういう世界らしい。
こうあるべきが具現化されている、まるで現代アートを読んでいるような感覚になる。これは独特だなぁ。
描写は細かくなく、現実感を欠いている。
結婚するまでは薔薇色ふわふわ。光をひねっちゃうぐらい。
ハネムーンからが暗い。お金を数えだすところからは闇。文字通り光も届かない。
幕切れはいささか急。短い描写だけど、それでも悲しい。
シック、アリーズのサイドストーリーは、これだけ面白ければ大歓迎。
ここでは誰も幸せになれないんだね。
ピアノカクテル、花で治療など -
Posted by ブクログ
悲劇的な、あまりに悲劇的な恋愛小説。
これ以上に悲痛な作品を、ぼくは未だ読んだことがない。
"二つのものがあるだけだ。それは、きれいな女の子との恋愛だ。それとニューオーリンズかデューク・エリントンの音楽だ。その他のものはみんな消えちまえばいい。なぜって、その他のものはみんな醜いからだ。"
そんな序文に始まる物語の中で、登場人物はその醜いもの達に踊らされ、右往左往するばかり。醜くない二つのものを守ろうと、身を削ったところで、レコードは擦り切れ、金は尽き、血は流れ、人は死ぬ。
あらゆる恋愛感情は、突き詰めると性欲と依存心と虚栄心に因数分解される。未だ反証を見ないそんな持論 -
Posted by ブクログ
ネタバレ⭐︎4と5の間くらい…幻想的で不思議で綺麗だった。
未来なのかいつなのか、裕福な主人公・コランはクロエに出会って恋に落ちて、結婚するが、クロエの肺に睡蓮が巣くって、彼女を救うために財産を食い潰していく。彼ができる範囲で労働するものの、結局彼女は死に、自分は没落しきり、お金がないために満足も葬式が出せない始末。彼女のためになんとかしていた労働が、不幸配達人ともいうべき職業で、そのせいでクロエが死ぬ1日前にその事実を知ってしまう、という仕掛けも悲しかった。部屋がどんどん縮み、太陽が入らなくなり、人は簡単に死んでいき(しかも復活していなさそう?)、そんなことって起こるの?ということが起こり続ける物語 -
Posted by ブクログ
<裕福な青年コランは友人のパーティーで出会った美しい女性クロエと恋におちる。
デュークエリントンの曲と同じ名前の彼女と送る幸せな結婚生活。しかし彼女には・・・>
カズオイシグロの作品は全てハヤカワep文庫より出版~。
ということですっかりハヤカワep文庫支持者になりました。
そしてそれではハヤカワep文庫の他の著者のも読んでみようと買ってみた一冊。
あとがきの書評が小川洋子というわけで。
あらすじはいたって普通というか定番。
しかし「スケートでぶつかり合った人間達の死体は係りの人間が脇へ掃いていった」とか、
「一般家庭の蛇口からうなぎが出てきたのでそれを料理した」等、
奇妙さ、不思