伊東守男のレビュー一覧

  • うたかたの日々

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    綺麗な音楽のような小説だと思います。
    イメージが現れては膨らみ、飛躍し、変化し、また現れるような感じ。

    スケートリンクで頭が飛んでいっちゃう場面はちょっと笑いましたが、そういう突飛さも含めてイマジネーション溢れるのがこの作品の好きなところです。

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    2011年08月12日
  • うたかたの日々

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    数年前に、この小説を題材に書かれた岡崎京子さんの漫画と、この小説のオマージュ映画『クロエ』を観ていて、両方とも不思議なお話だと思った記憶があります。
    特に漫画はこの物語をそのまま漫画化したもので、それが岡崎京子さんの独特のタッチとあいまって、とても印象に残りました。

    小説は…たぶん、受け付けない人は全然受け付けないタイプの作品だと感じた。
    軸は恋愛小説なのだけど、SFであり、ファンタジーであり、見方によるとサスペンスでもあり。
    とにかく不思議。日本人が書く小説ではないなってすごく感じた。(ボリス・ヴィアンはフランスの作家)
    ありえない設定も出てくるし、脇役はありえないくらいあっさり死んだり殺

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    2020年11月24日
  • うたかたの日々

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    ネタバレ

    抽象表現に定評のあるフランス文学にチャレンジ。
    藤原祐の「レジンキャストミルク」内に登場した殊子先輩のあの本です。

    いちいち情景を擬人法で表したり、すごく回りくどい表現が大半なので、想像力が大事。
    長文詩かよ、と疑いたくなるけど、恋愛の表現としては率直なのかもしれない。
    現実から乖離した架空の設定等(弾くとカクテルができるピアノとか)にワクワクできたら勝ちです。

    ワタシはネズミを飼いたくなりました。

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    2014年09月28日
  • うたかたの日々

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    昔、小学生の頃か、友達とスイカを一緒に食べているとき、種を飲み込んだら胃の中で芽が吹いて最悪死ぬこともあるんだぜ、という忠告を貰ったことを思い出した。
    身体の中でスイカ発芽だとどうしようもない間抜けだが、これが睡蓮の花咲くとなると途端に悲劇的な運命の感が出てくる。
    なぜ睡蓮の花が肺に咲くのか一切説明が無いように、この小説はただ作者のイメージの跳躍に任せ読者もそれを味わうことに尽きる。
    筆者がトランペット奏者であるのも関係しているのだろうか。作中物語の展開のイメージに合わせて主人公とヒロインの住む家も変形していく様は、ポーを中心としたアメリカ的怪奇趣味をむしろフォローしているかのように思える。

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    2020年03月22日
  • うたかたの日々

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    確かに奇妙な作品だった。作者の想像力の突飛さが印象的であり、また未来派っぽい表現が目立った。コランが貧乏になっていくシーンは身につまされた。どうやって映画化したのだろう。

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    2018年10月15日
  • うたかたの日々

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    1947年に出版されたボリス・ヴィアンの代表作であり、SF的な世界がフランス流のスノッブさで味付けされた恋愛小説。

    富豪の家に生まれた青年コランは、美少女クロエに出会い熱烈な恋愛関係に落ちるが、クロエを肺に睡蓮が成長する奇病にかかってしまう・・・、非現実的な設定で、スラップスティック的なユーモアも溢れる作品世界の中で、唯一コランがクロエを思う気持ちだけはストレートなものとして描かれる。

    個人的にはこうしたスノッブな世界観はあまり好きではない。フランスは恋愛小説の宝庫だと言われるが、恋愛小説を殆ど読まない自分にとっては、アンドレ・ブルトンの「ナジャ」くらいの一途さが欲しい。

    次は岡崎京子が

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    2015年05月05日
  • うたかたの日々

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    言語でしか表現することのできない空間。私はこの作品に登場するファンタジー的なガジェットが好きである。ピアノカクテルとか心臓抜きとか。サルトルのパロディも笑えた。

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    2012年07月14日
  • うたかたの日々

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    私が最も好きな花に睡蓮があります。
    小説作品の中で睡蓮が印象的に登場する作品を調べたらこの作品にあたりました。
    しかし読んでみてびっくり、恋愛小説といえばいいのかSFといえばいいのかわからない破天荒さ。

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    2012年05月10日
  • うたかたの日々

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    ある意味、これもセカイ系の一つの形なのかもしれない。あなたと私の関係によって、世界の広さも部屋の広さも伸縮自在。イエスが二人を祝福すれば、それを引き裂くのは肺に咲いた睡蓮の花。徹頭徹尾ロマンチック&サイケデリックな文体で彩られた世界は徹底して非現実的なんだけど、なぜか最後のネコとネズミの会話ですとんと現実に着地する。飲みなれないワインを嗜んでみたような、そんな不思議な読後感。

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    2012年02月21日
  • うたかたの日々

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    幸せの絶頂から、ラストに近付くにつれてどんどん不幸になっていく登場人物の姿が痛々しい。
    コランとクロエのカップルよりも、シックとアリーズの二人が心に残った。
    (2011.5)

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    2011年05月26日