東海林智のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
派遣労働・生活保護の現場で、貧困が生産・再生産されている姿を映し出した良著。
うちの会社も「来月から熟練派遣工がクリーニング期間に入りますので生産性落ちます」なんていう会話がスラスラ流れる怖ろしい会社なのですが、こっちはこっちとして国内工場子会社を集約してその過程で(子会社の)正社員も半分切ってという事態がその前にあるわけなので、じゃぁそこで何か解があるのかというと売上/利益を伸ばすしかないわけだったりします。
個人的には10年前のプチバブルのときにメイテックが儲かっていたり非正社員の方が収入がよかった時代を知っている訳なので、同世代の非正規にはあまり同情心はなかったりはするのですが、いまの若 -
Posted by ブクログ
日本では貧困は自己責任論と一緒に語られて来た。しかし、少なくとも本書で事例としてあげられる中学生や高校生に「自己責任」はない。
社会から排除された状態として貧困があり、貧困は社会が強制するものだという「社会的排除」という認識がなかったし、今もない。いつでも貧困が個人の問題として語られてしまう。
しかし本書を読むと、現在貧困の状態にないとしたら、それは幸運の賜物で、いつでも誰でもがたちまち貧困に陥ってしまう、まるで綱渡りをしているかのような状況にあることがわかるだろう。そして、一度貧困の状態になってしまったらそこから脱出するすべは少なく、むしろ再生産されていってしまう。
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