竹本幹夫のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
世阿弥の能楽論。
能楽でなく、生き様についての考え方のヒントにも気づかされる。
「花」を引用にして芸術論を語るところは、四季ある日本ならではの文化の趣の深さなのだろうか。
(引用)
・能の芸においては、おおよそ七歳をもって稽古の開始の年齢とする。この年頃の能の稽古は、その子供が必ずや自分からやり出すことの中に、得意な演技があるはずだ。・・・中略・・・、偶然やり出した演じ方を、干渉せずに、本人の好きなようにさせるがよい。むやみに「良い」「悪い」と指導してはならない。あまり強く注意すると、子供はやる気をなくして、能をやるのが嫌になってしまうので、そのまま芸の成長は止ってしまう。
・「上手は下手 -
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Posted by ブクログ
1.この本を一言で表すと?
・芸の奥義を伝える本
2.よかった点を3〜5つ
・上手は下手の手本、下手は上手の手本(p121)
→何事からも学ぶ姿勢が必要。慢心自惚れを戒める言葉として素晴らしい。
・たとえ指差されて人に笑われても、そんなことは意に介さず声が無理なく出せるような調子で夜間・夜明けの稽古(p25)
→覚悟と努力が必要。この年齢の時にそれができるかどうかが人生の分かれ目。
・上がるは三十四−五までのころ、下がるは四十以来なり(p38)
→若いころに頭角を現さないといけないということ。今の自分はどうか考える。
2.参考にならなかった所(つっこみ所)
・三道の部分は能の作り方が具体 -
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Posted by ブクログ
世阿弥によるこの有名な、室町時代の能楽書については、かつて現代語訳を欠く岩波文庫で読んだことがある。
現代語訳を欠くとは言え、岩波文庫版のものは詳しい校注があって、私でもなんとか大意をつかむことができたが、誤読してないかどうか自信は持てないので、やはり現代語訳のついた角川ソフィア文庫を購入した。
能というと、CDを持っているほか、テレビで2,3編を見たことはある。もちろん、まったく詳しいとは言えないのだが、どうも現代に演じられている能と、世阿弥の時代の能とではかなり違いがあるらしい。
この書で世阿弥が説いているのは、まずは、能の最大の基本としての「物まね」であり、つまり老人や女性を役者が演じ分