松尾たいこのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
小中学生の時に表紙と題名に惹かれて買った本。女性が一生のうちにもらうプレゼント(形あるものだけではない)に纏わる短編集。風景の表現が鮮やかかつ分かりやすい、夕焼けに照らされる木々を『金粉をふりかけられたように〜…』って表現したりしている。どの話も良いけどランドセルの話が一番好き。ランドセル貰った当時はなんでも入る!私の全財産(ぬいぐるみとか本とか)余裕で入る!何かあってもランドセルに大事な物詰めて逃げれば生きれる!って思ってたのに大人になってよく考えたらランドセルって一泊旅行の荷物すら入らないよね、当時の身軽さにビックリしちゃう。そんな「分かる〜」って懐かしい気持ちになったり「これから先こんなプレゼントが待ってるかも!」って思えるお気に入りの1冊。
-
Posted by ブクログ
いつのまにかなくなったもの、というのが、人生にはたくさんある。捨てた記憶はないのに、あんなに大切にしていたものが、なぜ自分の側からなくなってしまったのだろう。
もの以外にも、いつのまにか離れてしまった友人だとか、別れた恋人だとか、無理やりに忘れることに決めた人とか、記憶とか、たくさんある。なくしたものたちが積み重なって、今がある。
この小説の主人公は雉田成子。成子は8歳まで、人間以外のいろんなものと話ができたけれど、ある日突然それができなくなった。
そして成子は成長してゆく。痛々しい恋愛をしたり、それが破れたあと平穏な恋愛をしたり、結婚して子どもを産んだりする。ものや、人や、関係を得たり、なくしたりしながら。
昔家で飼っていてすでに死んだ猫が男の子にのりうつって登場したり、主人公が生き霊になったり、浮世離れしたエピソードもあるのだけど、それがとても心地よい。
角田光代さんの文章と、松尾たいこさんのイラストが、綺麗で切ない。
なくしたものたちが集まっている国や、忘れ物保管所みたいなところが、実際にあったらおもしろい。なくしたことさえ忘れてしまっているものも、たくさんあるのだろう。
出会いと別れを繰り返して人は生きていく。今大切にしているものや人も、いつかなくしてしまうこともあるのかもしれない。
それらすべてが必然なのだ、と思わせてくれる物語だった。 -
Posted by ブクログ
子供の時いつも遊んでいたおもちゃとか大切にしていたもの、一緒に遊んだ動物や友だち、人生のその時そのときに喜怒哀楽を分かちあった大切な人たち…。けれどそういったモノや人達はいつの間にか自分の目の前から無くなってしまっている。それらは、彼らは、何処へいってしまったのだろうか?もう二度と会えないのだろうか?そんな、誰もが胸の奥深いところで一度は思ったことがあるであろう問いに優しく答えるかのように、この物語は暖かく安心な場所へと誘ってくれます。松尾たいこさんのイラストから生み出された角田光代さんの珠玉の小説。私もずっと、同じようなことを、思っていたので、時が流れていくことが時にたまらなく辛く感じていたのですが、この本を読んで、ああまたきっと、形を変えて、場所をかえて、みんな会うことができるのかもしれないなぁ…と思い、深く癒されました。私も安心して前を向いていけるような気がします。
-
Posted by ブクログ
ネタバレとっても良かった。過去作にpresentsという短編集を出されているが、同じぐらいに好きだ。
presentsと同じように、人が生まれてから死ぬまでに得るもの・無くすものが描かれている。もちろん、タイトル通り、無くしたものにウェイトが置かれている。
主人公は雉田成子さんという名前で、生き物の声が聞こえたり、亡くなった飼い猫の生まれ変わりにであったり、生き霊になれたり不思議な出来事に出会ってはその現象に遭うことが無くなる。それをきっかけに、物ではないが得るものがあるということは、無くしたものが得たものに姿・形を変えて成子さんのもとに巡ってきたのだろうと思った。
そして成子さんが「なくしたものたちの場所」に来たということは───??
人でも物でも、今ここで一緒に存在していることが不思議に思える。人や物、何でも大切にしたくなる、そんな一冊だった。 -
Posted by ブクログ
久しぶりに、あっと衝撃を受けた本。
本を読んで涙が出たのはいつぶりかな。
わたしも小さい頃から落し物したり、物をよく無くす。
それに、
大切にしていたペットや、大好きな人との別れ、
これからくるであろう永遠の別れを想像しただけで
本当に怖くて怖くて仕方がない。
でも、この本にあるように
なくしたものたちの国があって、そこに向かって毎日
少しずつ進んでいるのだとしたら。
自分が死ぬ時、みんなで待っていてくれて
また会えるのだとしたら。
死と、新しく生きることは、きっと同じことなんだ。
そんな風な、普段言葉だけで聞かされても、嘘だーと
思ってしまうようなことが、すーっと入ってくる。
生きている時のことを忘れても、
愛している人、物たちにはどうやっても出会ってしまう。
姿形を変えていても、きっとそうなんだ。
そう確信しました。
大切に持っていたいと思える本。