内藤理恵子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
昨今、シンプルに生きることを推奨する本がたくさん出ていますが、
そうはいっても人生は簡単ではないという実感が自分にはあります。
自分にとって哲学の本は、仄暗い足下を照らす灯火のような、
あるいは霧深い先行きの道しるべのような、とても効用的なものだと思っています。
けれど大抵の哲学書は難解だったり、難解ではないけれど面白くなかったり。
なので途中で投げ出してしまったことが過去にたくさんあります。
この本では映画という身近な題材を手がかりに、
「人間とは」「生きるとは」という哲学的思索が展開されます。
それは決して難解なものではありません。
著者の人柄がそのまま伝わるような、柔らかで解かりやすい文章によって、
ゆっくりと読み手を導いていくのです。
また、折々に古今東西の哲学者の言葉が引用されます。
引かれる言葉はやはり表現が独特で、慣れない自分などは
拒絶反応を起こしそうになったりしましたが、後に続く著者の
やさしい解説のおかげで、思考の迷子になることはありませんでした。
全編を通じ、人間に対する優しいまなざしと先人への畏敬の念、
そして映画への愛にあふれていて、楽しく読みきることができた一冊です。 -
Posted by ブクログ
大学で国文学を勉強している者としては、文学テクストの解釈に作者の実生活の情報を持ち込んだり、筆者の印象論が多かったりして、途中で読むのをやめてしまった。
『ダンス・ダンス・ダンス』の五反田くんは、表向きは理想的な人間として生活しているが内面には狂気が潜んでいる、というユング心理学の理論にピッタリ当てはめることのできる「わかりやすいキャラ」であるが、一方『謝肉祭』のヒロインは心理分析できない複雑な人物である、という意見はなるほどと思った。
ドッペルゲンガー(分身)が登場する文学作品は結構多いらしい。それを主に、ユングの「原型」という概念で分析している。
原型のなかで、私たちが認識しやすいのはシャドウと呼ばれるものである。自分の認めたくない(否定したい)性質を無意識の中にシャドウとして持っており、それを実在の他者に投影する。そのシャドウの存在を認める(無意識から意識に上げる)ことで
精神的な成長ができる、ということらしい。
私は、この考え方は最近公開されたスタジオジブリ作品『君たちはどう生きるか』の眞人と青鷺の関係に当てはめることができると思った。作中で、眞人は青鷺のことを嘘つきだと言っているが、眞人も自分でつけた頭の傷の理由を父親に尋ねられたときに嘘をついている。
あと、この本のおかげでCage The Elephantというロックバンドを知れた。「ComeALittle Closer亅という楽曲のMVがユングの「個性化」という理論を映像化したものになっているらしい。 -
Posted by ブクログ
実は年単位で積本にしていた。
入門とあるが、どうだろう。入門かなという疑問はある。「死」というテーマについて対決スタイルで10章。VSの視点があることで特徴をつかみやすいという利点がある。今まで漫然と読んできた本の著者の主張について、ああ、そういうことかという気づきがある。
ヴィトゲンシュタインが部屋にサイがいないとは断言できないっていうエピソードがなんかヴィトゲンシュタインで震える。
この本は読む人を選ぶ気がする。というのも、例示がサブカル中心のため、全然自分が興味がない分野で語られている場合、ちょっと理解が難しいところがある。音楽、映画、アニメ、漫画、俳優、などなど。
とりあえず、リンキン・パークのMVは検索して見た。
そういう意味で、好き嫌いは分かれるだろうと思う。自分は割と楽しく読むことが出来た。ただ、自分が楽しかったからみなさんどうぞになるかというと諸手を挙げてみなさんどうぞとはいいにくい。サブカル大好きな人には逆におすすめ。