秋田巌のレビュー一覧

  • 人はなぜ傷つくのか 異形の自己と黒い聖痕

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    自らの「傷」と「罪」は、自らが背負いきらないといけない。リセットせぬことの重みを生き続ける。まずはとにかく『ブラック・ジャック』を読まないと。

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    2014年04月05日
  • さまよえる狂気

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    精神科医であり、ユング派分析家でもある筆者。
    自らの経験をもとに綴られた論考。
    精神科医の扱っているものは「精神疾患」であり、狂気とは異なる と筆者は言う。しかしそれは、狂気というものに触れ、向き合ってきた筆者だからこそ、迫力をもってそう言えるのだと思う。
    (この業界のお作法に則り)具体的事例の代わりに、物語などの引用から、幅広い観点で狂気を垣間見れる力作だ。

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    2012年05月15日
  • 人はなぜ傷つくのか 異形の自己と黒い聖痕

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    心理分析が日本で真に実効性あるものとなるためには何が必要か、そこからスタートした本だと思います。
    西洋から移植された心理分析=サイコセラピーはキリスト教価値観に基づいており、キリスト教ではイエス・キリストが傷を負って人類の罪を引き受けます。
    翻って日本人に有効なセラピーとする上で筆者はまず、人が傷つくのはその傷を引き受けて生き抜くため、との論を展開。傷を負ってなお生きる存在として、日本人に馴染みがあるだろうブラックジャックを取り上げています。また、傷は罪でもあり、傷を生き抜くことは祈りを捧げることにも通じるとして、日本最古の物語の主人公、かぐや姫を、傷を生きる存在と対になる、祈る存在だとしてい

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    2015年12月03日
  • 人はなぜ傷つくのか 異形の自己と黒い聖痕

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    ユングの「個性化」の概念を、「傷」をどう生きるか、という表現によってとらえなおし、くわしい考察をおこなっている本です。

    著者は、深い傷を生きることによって誕生する元型を、Disfigured Hero(傷を生きる英雄)とDisappearing Anima(消えゆく女性像)ないしPraying Anima(祈るアニマ)と概念化し、両者の深い連関とそれのたどるプロセスを、手塚治虫の『ブラックジャック』や浦沢直樹の『Happy!』、テレビドラマ『SPEC』シリーズ、原田マハの『カフーを待ちわびて』などのマンガやドラマ、小説を例に解き明かしていきます。その際、西洋と日本の文化的な土壌の差異に留意し

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    2017年12月23日