田中久文のレビュー一覧

  • 九鬼周造

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    九鬼周造は明治から昭和を生きた哲学者。
    その生い立ちも興味深い。

    九鬼周造が、松岡正剛著の『日本文化の核心 「ジャパン・スタイル」を読み解く (講談社現代新書) 』を読んでる中で登場し気になり購入。
    (彼を知らないことへの焦りのような感覚)

    ただでさえ、哲学の基礎知識がない中、「九鬼周造」の本は大変難解に感じた。
    西洋文化と日本文化の違いについては、自分の関心が高いところだし、彼のように内外で哲学を学んだというバックグラウンドからも、彼が日本文化・精神を何をどのように捉えているのか興味が湧いてくる。

    九鬼も後年は仏教に傾倒していったらしい。
    昨今、欧米からも注目されている仏教の考え方を知

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    2024年10月27日
  • 近代日本思想選 九鬼周造

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     九鬼周造についてはこれまで『「いき」の構造』『偶然性の問題』を読んだが、なんだか思想の全体像が掴めずにいたので、このちくま学芸文庫のアンソロジーを読んでみた。
     前記の2書は抜粋が入っている。
    『「いき」の構造』(1930〈昭和5〉年)は名著として読み継がれているものだが、私にはやはり、「何故こういうテーマを書いたのか」という疑問が残る。記述はなかなか厳格な哲学なのだが、西洋文化に対する日本文化の特色としての「いき」を浮き彫りにしようというテーマは哲学と言うより文化論である。その概念を深く追究するプロセスはじゅうぶんに哲学ではあるが、テーマは哲学的でない。
     一方、『偶然性の問題』(1935

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    2021年09月13日
  • 丸山眞男を読みなおす

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    丸山眞男が思想史研究を通じて取り組んだ、「自由」や「主体」、「対話」などといったテーマを発掘している本です。

    戦後の丸山は、徂徠の思想に近代的主体性の先駆けというべき「作為」の考え方を見ようとしていました。しかし徂徠の思想は、従来の封建的秩序を変革する可能性をもっている一方で、封建的社会関係や道徳的規範を人為的なものとみなしつつも新たな秩序の構築にはつながらないような可能性も孕んでいると著者は指摘します。後者の可能性は、安藤昌益や本居宣長の「自然」の考えによって実現されることになりますが、丸山は新たな規範の確立を妨げるそれらの思想家たちの批判をおこなっています。

    ところが、やがて丸山は、そ

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    2020年01月25日
  • 丸山眞男を読みなおす

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    丸山真男の思想を概観したいと思い読んでみた。

    著者は日本の思想史を専門にしているようで、京都学派との関わり合いなども含めて、丸山の生涯を上手にリンクしながら、主要となる思想を紹介していると感じた。

    前半は、主体や国家、自由やナショナリズム、原型などの思想を紹介しながら後半につなげている。後半は、60年代の東大の講義を中心に、天皇制、武士道などの指導、仏教やキリスト教、近世思想などを入れながら、日本の思想を明らかにしていく。

    類書を読んだわけではないが、岩波新書の「日本の思想」を中心にしているのではなく、90年代に発刊された講義録を中心にしている。その意味では、講義録で丸山が何を明らかにし

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    2013年03月27日
  • 丸山眞男を読みなおす

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    丸山真男の業績を概観するために読む。

    主要著作の内容を年代順にまとめているほか、刊行されている東大での講義録も参照しながら、丸山の生涯と思想の変遷を追う。

    平凡社ライブラリーの「丸山眞男セレクション」で、「軍国主義者の精神形態」や「超国家主義の論理と心理」など、有名論文は読んでいたが、「古層論」など、日本文化の特徴を知る上で参考になる考え方も手際よく説明されている。

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    2012年05月27日