パトリック・デウィットのレビュー一覧

  • シスターズ・ブラザーズ

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    馬と銃と殺し合いに満ちた西部劇の世界だけれど、出てくる奴らはどいつもこいつもクールなキャラからは程遠い。優しくもなければ賢くもない、人生だって全く思うように進まない。
    皆がゴールドに魅せられて画策するなか、ちょっとマヌケで善良なイーライだけが、「生き方」や「幸せ」なんていう役に立たない事に想いを巡らせる。
    出てくる人物が(タブを含め)、皆魅力的で、大変楽しく読めた。人間、これくらい無責任でいいんだよ。たくさん人は死ぬけれど、根底には愛がある素敵な物語だった。

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    2024年03月30日
  • シスターズ・ブラザーズ

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    『みんなバーに帰る』でファンになったので、こちらも読む。硬派な文体がどんどん次を読ませる。男くさい物語ながら、どんどん引き込まれるのは何故だろう。時代の空気感や自然、乾いた土埃がありありと眼前に広がるから不思議。

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    2021年02月23日
  • みんなバーに帰る

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    舞台はLAの場末のバー。
    ぶっきらぼうな文体。
    主人公の“君”。
    ウイスキー。

    面白くて一気読みした。
    乾いたLAの場末が思い浮かぶし、登場する人たちもリアル。
    肯定も否定もしないところがいい。
    ラストもいい。

    原作はもとより、訳した方もうまいと感じる。

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    2017年12月31日
  • シスターズ・ブラザーズ

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    ネタバレ

    時は19世紀の米国西部。
    兄弟の殺し屋が一人の山師の殺害を命じられてカリフォルニアに旅立つ。

    その道中 兄弟の力関係、頭の良し悪し、残忍さや温かさが明らかになる。

    例え殺し屋でも人間だれであれ
    何かにすがって 何かを手掛かりに生きている。

    それは自分の腕であったり、将来の希望であったり、人間関係であったり
    異性への愛情であったりお金であったりする。

    結構 内省的な 主人公(弟の方)の視線で語られる本書は
    そういった 人生を変えてくれそうな何かに振り回される生きざまを描いている。

    先の読めない展開なのに、次が読みたくなるプロット。

    構成力も表現力もなかなかである。
    日本の小説だと主人

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    2013年12月02日
  • シスターズ・ブラザーズ

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    凄腕の殺し屋シスターズ兄弟は、雇い主の“提督”に命じられある山師を消しにサンフランシスコへと旅立つ……。
    凶暴な兄とキレたらヤバイ弟、愛すべき二人の珍道中。暴力的で残酷なシーンの連続なのに、とぼけた語り口がそれを不快と感じさせない。積み重ねられたエピソードのひとつひとつも魅力的。

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    2013年06月02日
  • みんなバーに帰る

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    おいおいどうしようもないな、という酔っ払いの話。
    日本でも酔っ払いはいるけど、半分はスナックとかそういう感じが多そうで、でもアメリカはガチで酒だよね。そんなに酒が好きかーってな。
    とは言えこういう店にやってくる変な人々を描写するのは古今東西あるあるなわけで、リリー・フランキーとか書いてそうじゃん、ていうかこの動物園とか奇人変人を見て楽しむみたいな趣味の悪い人にはもってこいではないか。
    最終的には主人公がダメ人間っていうか一線を越えた感がナイス。

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    2024年04月20日
  • シスターズ・ブラザーズ

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    ゴールドラッシュの米国、殺し屋兄弟の物語。

    なにごとにも速い兄と、なにかとトロい弟、典型的な2人組でありながら、
    ドライで深い人生観がチラホラ顔を出し、単なる物語では終わらない。
    気楽に読めて、考えさせられる、なかなかよく出来ている。

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    2018年11月14日
  • みんなバーに帰る

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    酔っぱらいってサイテーだよね、うむ。自戒の念とか反省とか色々込めて。そして人が酔っぱらってひどい目に会う話ってなんでこんなにおもしろいんだろうね、困ったもんだ。

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    2015年03月02日
  • シスターズ・ブラザーズ

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    シスターズ・ブラザーズは、2人組みの殺し屋。

    古き良きアメリカ西部開拓時代、ゴールドラッシュに揺れる新大陸で、馬にまたがり拳銃をぶっ放し、シスターズ・ブラザーズは今日もゆく。

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    正直、読み始める前に思っていたのとはだいぶ違った。

    もっとユーモアに溢れたドタバタ活劇かと思ってた。

    開いてみたら、2人の殺し屋兄弟の、ロードムービー的なお話で、いわゆる日本の作劇上の起承転結や、アメリカハリウッド的なプロット物語でもなく、ただただ、あるがままを受け入れる、遙かなる旅路。

    娯楽小説として読めば娯楽小説。

    文学小説として読めば文学小説。

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    2013年09月15日
  • みんなバーに帰る

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    泥酔小説というジャンルがあるらしく、以前私が読んだものでいうとベルリン「掃除婦のための手引書」とか。有名どころだとチャンドラーとかブコウスキーとか。
    解説にあったけど、立川談志の名言「酒は人間をダメにするものではないのです。人間が、ダメなものだというのを確認させるために酒が存在してるんです」がすべて。

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    2024年10月19日
  • みんなバーに帰る

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    ひたすら登場人物全員が酔って薬をキメて落ちていくお話

    多分人間どんなに落ちてもだいたい生きていける、と思わされる

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    2022年09月19日
  • みんなバーに帰る

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    思ったよりお下劣だったわ。読んでて意外に引いてる自分がいた。酩酊してドラッグやってたら、あんまり何とも感じないのかな。この感覚って、自分の赤子のうんこなどは臭いけど、別に汚いとか何とも思わないのはやっぱり愛があるからで。
    酩酊と愛情は似てる雰囲気を持っているが全く違う訳でして。


    バーテンダーはモテると言うより「入れ食い状態」らしい。酒によって緩んだ自制心と、永年培った信頼関係は違うのにねえ。
    やっぱその辺の線引きが日頃からしっかりしてないとな。
    ちょっと変わってるタイプの本だな。

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    2019年02月10日
  • みんなバーに帰る

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    訳文が現在形なのは、原作通りなのかな。自省を伴わない依存症者の物語は読んでいて辛い。観察者であった筈の主人公が酩酊者に堕ちて行く様は笑えない。禊ならば、聖的なものがある筈だが、この小説に出てくるお酒は聖水どころか、悪魔の水ですね。

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    2015年05月15日
  • みんなバーに帰る

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    「泥酔文学の金字塔」という謳い文句に惹かれ読んでみた。語り手が主人公を「君」という二人称で呼び、現在形で実況する文体に最初違和感があったが、Ⅱに入る頃には慣れていた。
    常連達の生態が酷い。主人公はそこそこ大きなバーの補助スタッフだが、仕事中に酒も薬もやっているのにカー通勤だ。吐く、盗む、倉庫で淫行、もうどうしようもない。それでもなんとなく面白いのは、「石を入れたストッキングのように垂れ下がった胸」みたいな比喩が秀逸だったからかもしれない。

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    2015年04月16日
  • みんなバーに帰る

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    献本でいただいた1冊となります。
    いわゆる“泥酔文学”に分類されるとか。

    “泥酔”というフレーズが示すとおり、
    ひたすらに“ダメ人間”の集い、といった風です。

    といっても、教訓臭いわけでもなく、
    ある意味突き放した視点で描かれているのかな、と。

    主人公はとあるバーのバーテンダー。

    彼自身がイロイロとダメめ要素を持ってはいるのですが、
    物語の冒頭はあくまで“観察者”としての立ち位置です。

    彼の働くバーに来る客たちの“ダメ”ぷりといったら、、
    微笑ましくもあり、あきれ果てるのもあり、様々です。

    日々、困らせるようなことばかりですが、
    どこか憎めない客ばかり、だからこそ“帰る”のでしょう

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    2015年03月16日
  • シスターズ・ブラザーズ

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    おもしろいかというと…う~ん。
    味がある、と答えるかな。

    語り手がちょっとIQ低めな弟、っていうところが、話に深みをだしている。
    バンバン人を撃っちゃうお兄さんに対しても、
    他人であれば『荒くれ者で人でなし』になるが
    兄弟だからそれを受け入れる許容が自然と出てくる。
    それを語っても、血なま臭くならないのは、そんな弟が語っているからか。


    善き人のように描かれている弟。
    見返りをそれほど期待せずに女に金を与え、社会的弱者には少しの情けをかける。
    だが、踏み込んだ人間関係は一切遮断。
    だからこそ決して仲良しではないような兄弟の描かれ方だが、その絆が浮き出される。
    見え透いた『絆がテーマの感動作

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    2014年09月16日
  • シスターズ・ブラザーズ

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    シスターズ兄弟のウイットに富んだ日常の会話と悲惨な暴力描写のギャップにしびれた。ただやや冗長で盛り上がりに欠けていた。

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    2013年10月03日
  • シスターズ・ブラザーズ

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    表紙や帯、評判を聞いて読んでみた中身はまた違った。
    コメディー、またアクションものだと思っていたがロードムービーのようなもの。

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    2013年06月29日
  • シスターズ・ブラザーズ

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    あちこちで評判がよかったので勢いで読んでしまった一冊。殺し屋が主人公のロードストーリーでは、『ノーカントリー』(原作は未読)を連想した。あそこまでの重苦しさとカッコよさはないので、ノーカントリーのポップ版って感じかな。思ったほど人も殺されかなったし。

    明確な起承転結は多分、ない。前半はストーリー自体が見当たらず、単なる作者の自己満足かしらと訝しむような退屈さ。一人称の語り口は軽妙で特徴的ではあるが、これといって響くものがない。右から左へスルーするだけで、イージーなBGMを聴いてるよう。

    後半にやっとドラマが展開するけど、その着地点もなんだかなあ。うまく着地してるけど、位置はそこじゃないでし

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    2013年06月29日