五味弘文のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
なかなか面白かった。目当ての作家はそれぞれ期待通りの仕事をしていた。ホラーごとのジャンルの解説もありがたく、なにが怖いのか?を丁寧に紐解いてくれるのはホラーファンとしてすごくありがたかった。ただ、各短編がテーマに沿っているかどうかと、一作品として見た時に素晴らしいかどうかは別問題だなとも思った。切り口が新鮮で、面白い試みだった。14歳の世渡り術シリーズ、全然知らなかったけど、大人でも十分楽しめそうだから他にも読んでみたいと思った。ヤングアダルト向けということで、ほとんどの作品に学校が出てくるのがよかった。動画投稿やAIなんかの話が出てくるのもとても今っぽい。
以外各話感想(ネタバレあり)
①みてるよ
澤村先生お得意のパターンではあるが、プールや飼育小屋、トイレ、授業中の廊下などディテールが細かく、学校の独特の空気感の再現が丁寧でリアリティがあった。女の霊じゃなくてもこわいもんだな。意地悪なパワハラ先生も追い払ってくれるならアリかな。
②終わった町
芦花公園の「おしまい」節には中毒性がある。毎回クセつよ霊能者を出すのだけたまに控えて頂きたいが、セリフの唐突さ、文字面の不気味さ、気持ち悪さがほどよく、どうやってお話を書いているんだろうな…こういう台詞がぽんぽん出てくるのかなといつも思う。だめったらだめだしおるったらおるし、終わりったら終わりなんでぇ。強。
③さよならブンブン
平山夢明氏は「もう草一本生えません」みたいな絶望根絶やしホラーを以前読んだので、とても警戒しながら読んだらめっちゃいい話だった。個人的にはこの本の中ででダントツ一位。モンスターホラーの括りでありながら、本当のモンスターは殺人猫ブンブンではなく、残酷な加害をする人間の方では?と思わされる二重構造となっている。ブンブンがこっくりさん用紙を使いながら伝えてくるオールひらがなの言葉を、頭の中で変換しながら読む…。ひらがなにすることで、子供向けというか、ある種とてもピュアで率直な主張として頭に入ってくる。非常に味わい深く、いい余韻が残った。こんな話も書けたのね。文体に力を感じる。
④告発者
親の恨みも分かるけど、まさか死ぬとは思ってなかったんだろうし、あの時言えなかった事がそこまで悪いことか?とは思う。でもお母さんがおかしくなっちゃった気持ちとか、それを見てたお父さんの無力感、無念さを考えたら、壊してしまったものの代償なのかもしれないな。どんなに動画が拡散されても、家庭内ではもう分かっていて決着したことですと言ってしまえば、当時子供だし罪には問われないよな。まぁ雨穴は良くも悪くもこんなかんじ。ちょっと弱かったかな。
⑤とざし念仏
集団心理のヒトコワも入ってるよな。ほっとけ君の豹変が怖い。とざし念仏の由来もこわい。すごい閉塞感と恐怖だった。死は身近にある…と感じた。苦手だったけど、シチュエーション・ホラーとしては良作。
⑥十一分間
やりたい事はなんとなくわかったけど、AIによる人類支配のやり方がよく分かんなかった。これこのまま進んでったらどうなってた設定なの?自殺を促されるの?
最初の方読むのがめちゃくちゃ苦痛だった。単純に文章力が拙い。アトムとかドラえもん由来の人間の味方ロボットが冷酷なAIに勝つという構図は好きだったけど、論破したら勝ちなの?なんでAI先生は崩れ落ちたの?そこがよく分からなかった。
⑦学校の怖い話
普通に面白かったけど、怪談はホラーのジャンルではなくて、伝え方の種類ではないのかな?これ入れるなら、サイコホラー(ヒトコワ)の短編を入れて欲しかったかな。
⑧民法第961条
発想は面白かったけど、行方不明になるだけじゃちょっとふわふわしてるかなと思った。そんな時間経ってから襲ってくる呪いみたいのがあったんかい。世渡り、はなるほどなと思ったけど、逆に「完全に企画系の作り話じゃん」ってなっちゃったからおふざけ感が増してしまった。
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Posted by ブクログ
14歳のみんなに読んでもらおう!ということを前提に考えると、かなり真剣にホラーを楽しんでほしいという意思を感じて大変好ましい。学校生活が怖くなるような話ばかりで作者の皆さんの本気を感じる。梨作品とか、読んだら怖くて夜眠れなくなるんじゃないかな。少なくとも私は眠れなくなるような子供だった記憶がある。芦花公園作品に関してはこれ14歳が読んで大丈夫?トラウマにならない?という老婆心がわいた。怖すぎるんじゃないですかこの話。
ホラーに挑戦する機会をもってほしいという企画自体がすごくいいし、著者の面々がガチガチの豪華陣でいっそ笑っちゃうくらいだ。14歳のみんな、読んで震えあがろうね...... -
Posted by ブクログ
連作ホラー。ジュニア向けのようなのですが、それでも充分に、というか充分すぎるほどに怖いです。文章と文字とイラスト、そして紙の質感。すべてが絶妙に交じり合って恐怖感を演出している一冊です。さすがはお化け屋敷プロデューサー。読むお化け屋敷と言っても過言ではないかも。この恐怖は確かに「本」でしか体感できません。
どこをとってもとことん不気味で恐ろしいのですが。各話の間に挟まれる短い物語の断片である「四人家族」がもう怖すぎて、嫌すぎて。いやそもそも四人家族じゃないでしょ! と突っ込む気力すら失せます。じわじわと高まっていく恐怖と緊迫感がたまりません。特にその中の「数遊び」でページめくってあのイラストページ見た時の衝撃が! -
Posted by ブクログ
ネタバレ不可解な理由で、人が死ぬ。友達が、クラスメイトが、そして家族の誰かかが。理由は分からない、ただ、なにか良くないことが起こっているは分かった。そして、そこにはひそりと日常に紛れ込んだ、和紙が一枚……。
和紙と髪の毛に関するホラー連作小説。一つ一つの話は独立しているが、どこかで尾は繋がっており全体的に不気味さをまとっている。最後まで読み進めていけば分かるが、始まりは、一つの出来事。人の嫉妬心から生まれた事件が後々まで影響を及ぼしている。人間の執念というのは恐ろしいが、この一連の出来事の発端となった人物が受けた仕打ちを考えればそうもなるかもしれない。しかし、実際に被害を受けた人たちは、大本とは関係がないにもかかわらず、不作為に選ばれひどい目にあっている。まさにこの手の呪いの真髄である不条理、理不尽が見て取れた。そして、話の内容もさることながら、本に仕掛けられたギミックが非常に面白い。物語ばかりではなく、内容に伴った混入物が効果的に作品を盛り上げていた。者がお化け屋敷のプロデューサーという事もあり、視覚に訴えかける様が余計恐怖を煽った。「雨の女」、「紙と髪」で事の顛末がわかり後味が非常に悪かった。しかし、これは児童書の棚から購入したものだが本当に児童向け……? -
Posted by ブクログ
ネタバレチェック項目9箇所。日本のお化け屋敷は「展示しているものを見る」という形態からスタートしている、その起源は、18世紀後半から19世紀前半と言われている。季節感が強いということは当然、「年間を通して平均的に集客できない」というデメリットを持つことになる、一方で「夏と言えばお化け屋敷」と言われるくらいの強烈なイメージは、ビジネスとしては強みでもある。なぜこれほど他人とドラマを共有したいと思っているのだろうか? それは、自分と相手とが同じ人生を共に生きることに通じるからだ。お化け屋敷とは、恐怖を体験して楽しさを得るアトラクションなのだ。予想はできていてもその予想をどこかの部分で越えていないと、それを怖いとは感じない、ここが、「合わせ」の演出のポイントである。貧乏ゆすりをするのはほとんどが男性である、という研究結果がある、男性は何かの方法を使って積極的にストレスを解決しようとしたり、ストレスから抜け出す方法を見つけようとしたりする、女性はストレスに馴れようとするが、男性はストレスを解決しようとするのだ。「ある国を奪取する場合には征服者は残虐行為を一度で終結させ、その後に民心を獲得しなければならない。逆に恩恵は小出しにして継続的に実施することで民衆の支持を得ることができる」、「愛されるより恐れられるほうが、はるかに安全である」(マキャベリ)。行列の時間は、退屈で不毛なものと考える人たちもいる、けれど、行列はそれほど完全にネガティブなものではない、共感を求めて自主的にできてしまうものであることを考えると、並んでいる人たちはある程度の楽しみをそこで得ているということになる。