五味弘文のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「ホラーは怖くて手が出せない方でも、ホラージャンルを整理しつつ、恐怖を紐解いていくことで、挑戦することができるのでは」という本書のコンセプトで他に類を見ない一風変わったホラー入門書で興味を惹かれた。5W1Hにセグメントされたユニークな設定 気鋭の現代ホラー作家の短編を8つに分け、ホラーというジャンルを体系化して解説する粋な試みで、ブックガイドや怪談の音源等もついていて充実している。内容としては若年層向けということもあって各作家の作風を知っているとあまり怖すぎないホラーという感じではあった。作家さんそれぞれの個性と、幅広いホラーの楽しみ方を味わえる良書だった。
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Posted by ブクログ
私はお化け屋敷へは行かない。
本書で言うところの「固定化されている自分が揺らぐことが不愉快だ」と思うタイプだからだ。
ということを、本書によって知った。
たまたま先日こういったことを考えていたのだ。
「人はなぜわざわざお化け屋敷へ行くのか」
「なぜわざわざ怪談を聞きたがるのか」
怖い思いをすることが100%わかっているのに、どうしてあえてその体験をしようと思うのか。
好奇心なのか。好奇心だとしたらそのメカニズムはどうなっているのだろうか。
そういう疑問に、本書は的確に答えてくれた。
著者は「お化け屋敷プロデューサー」という今までなかった肩書きを持つ人である。
古めかしくて子供だましだと思われてきたお化け屋敷を、一流のエンターテイメントに変えた実績を持つ人なのである。
その仕事ぶりや発想方法、そもそも恐怖とはなんなのか、娯楽としての恐怖のあり方などについて、詳しく書かれている。
特にすごいなと思ったのは、「信用」と「信頼」の違いの定義だった。ずっとその違いがわからずに来たのだが、ジェットコースターを例にとって非常にわかりやすく解説されている。なるほど、こういうことなのかと、初めて納得できた。
お化け屋敷へ行きたいと思うのは、たぶん日常が安全で安心できるものだという盤石の基盤があるからなのではないだろうか。「作り物だ、この恐怖は自分の想像力が作り出しているものだ」という理解と、にも関わらず沸き起こる感情の絶妙なバランスが「楽しさ」を生み出す。
恐怖と楽しさの関係については本書で丁寧に説明されている。まこと、人間の精神活動というのは複雑で入り組んでいるものなのだなあと改めて感心してしまう。
そしてなにより著者はすばらしいクリエイターなのだ。全力で客を楽しませようと努力し、研究している姿は、創造に関わる者のあるべき姿だと思う。
私にとって、自分が揺さぶられてコントロールがきかなくなることへの恐怖は存在に関わるほどの大問題なので、できるだけそういうものからは距離を置きたい。だから今後もお化け屋敷へ行くことはないだろうが、人にとっての恐怖についていろいろ知ることができたのは大きな収穫だった。 -
Posted by ブクログ
2026.07.09
ホラーを「因習」「心霊」といったモチーフではなく「物語を怖くしている仕組み」で5W1Hで分類しているところが新しい。それぞれの短編が「何が怖いのか」を作品解説されているのも面白い。
ホラー入門者や、逆に苦手な方にもおすすめしたい。ホラー好きには、ここまでホラー作家が揃っているのも胸熱。
たぶん文体の好みもあると思う。私はそもそも「描かれすぎない」文章が好きなので、説明されすぎると読んでいて萎えるし、怖さが削がれる。ホラー展開に恋愛要素もいらない。そういう意味ではやっぱりモキュメンタリーが好き。雨穴さんや背筋さんの作品のように飄々と淡々と語られていく文章のほうが考える余白があっておもしろいと感じる。
つまり私はホラー小説はモチーフで選んでいないってことなんだなと気づいた