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Posted by ブクログ
私はお化け屋敷へは行かない。
本書で言うところの「固定化されている自分が揺らぐことが不愉快だ」と思うタイプだからだ。
ということを、本書によって知った。
たまたま先日こういったことを考えていたのだ。
「人はなぜわざわざお化け屋敷へ行くのか」
「なぜわざわざ怪談を聞きたがるのか」
怖い思いをすることが100%わかっているのに、どうしてあえてその体験をしようと思うのか。
好奇心なのか。好奇心だとしたらそのメカニズムはどうなっているのだろうか。
そういう疑問に、本書は的確に答えてくれた。
著者は「お化け屋敷プロデューサー」という今までなかった肩書きを持つ人である。
古めかしくて子供だましだと思われてきたお化け屋敷を、一流のエンターテイメントに変えた実績を持つ人なのである。
その仕事ぶりや発想方法、そもそも恐怖とはなんなのか、娯楽としての恐怖のあり方などについて、詳しく書かれている。
特にすごいなと思ったのは、「信用」と「信頼」の違いの定義だった。ずっとその違いがわからずに来たのだが、ジェットコースターを例にとって非常にわかりやすく解説されている。なるほど、こういうことなのかと、初めて納得できた。
お化け屋敷へ行きたいと思うのは、たぶん日常が安全で安心できるものだという盤石の基盤があるからなのではないだろうか。「作り物だ、この恐怖は自分の想像力が作り出しているものだ」という理解と、にも関わらず沸き起こる感情の絶妙なバランスが「楽しさ」を生み出す。
恐怖と楽しさの関係については本書で丁寧に説明されている。まこと、人間の精神活動というのは複雑で入り組んでいるものなのだなあと改めて感心してしまう。
そしてなにより著者はすばらしいクリエイターなのだ。全力で客を楽しませようと努力し、研究している姿は、創造に関わる者のあるべき姿だと思う。
私にとって、自分が揺さぶられてコントロールがきかなくなることへの恐怖は存在に関わるほどの大問題なので、できるだけそういうものからは距離を置きたい。だから今後もお化け屋敷へ行くことはないだろうが、人にとっての恐怖についていろいろ知ることができたのは大きな収穫だった。
Posted by ブクログ
チェック項目9箇所。日本のお化け屋敷は「展示しているものを見る」という形態からスタートしている、その起源は、18世紀後半から19世紀前半と言われている。季節感が強いということは当然、「年間を通して平均的に集客できない」というデメリットを持つことになる、一方で「夏と言えばお化け屋敷」と言われるくらいの強烈なイメージは、ビジネスとしては強みでもある。なぜこれほど他人とドラマを共有したいと思っているのだろうか? それは、自分と相手とが同じ人生を共に生きることに通じるからだ。お化け屋敷とは、恐怖を体験して楽しさを得るアトラクションなのだ。予想はできていてもその予想をどこかの部分で越えていないと、それを怖いとは感じない、ここが、「合わせ」の演出のポイントである。貧乏ゆすりをするのはほとんどが男性である、という研究結果がある、男性は何かの方法を使って積極的にストレスを解決しようとしたり、ストレスから抜け出す方法を見つけようとしたりする、女性はストレスに馴れようとするが、男性はストレスを解決しようとするのだ。「ある国を奪取する場合には征服者は残虐行為を一度で終結させ、その後に民心を獲得しなければならない。逆に恩恵は小出しにして継続的に実施することで民衆の支持を得ることができる」、「愛されるより恐れられるほうが、はるかに安全である」(マキャベリ)。行列の時間は、退屈で不毛なものと考える人たちもいる、けれど、行列はそれほど完全にネガティブなものではない、共感を求めて自主的にできてしまうものであることを考えると、並んでいる人たちはある程度の楽しみをそこで得ているということになる。
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