橋本毅彦のレビュー一覧

  • 「ものづくり」の科学史 世界を変えた《標準革命》

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     互換性、ひいては標準の歴史を辿った本。「部品単位で替えが効く」というのは現代では当たり前のことだが、ほんの200年前には、見た目は同じ製品でもネジ1本使い回すことができなかった。当時は部品ごとにヤスリがけをしてうまく組み立てるのが当たり前だった。
     戦争をきっかけに互換性が実現し始め、さらには同一製品どころか別々の製品間での互換性、標準規格までもが制定されるようになる。アメリカでは機械化により職人たちが解雇されたり、イギリスでは一旦推し進められた機械化から職人による手作りに逆戻りしたり、その過程は一筋縄ではいかなかったようだ。タイトルに「科学史」とあるが、おおよそ現代の300年前から話が始ま

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    2021年10月21日
  • 「ものづくり」の科学史 世界を変えた《標準革命》

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     非常におもしろい科学史としても楽しめた。エジソンVSテスラのDCACバトルや、もっと前のねじ規格の話、現在のビジネス視点からみた規格の世界の話。いずれも興味深く、身近な事実として把握できる。
     いまだSI単位系を使わない某国もあるが、標準の意義を考えてもらいたいぞ、とか思ったりする。本書を読んで、ますますそう思うようになった。本書には出てこなかったが、電池の世界も標準化が広く浸透している分野と思われる。この話も盛り込んでもらいたいところ。

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    2015年03月26日
  • 「ものづくり」の科学史 世界を変えた《標準革命》

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    私は日本のメディアとかで使われている「ものづくり」という言葉があまり好きではなく、それってスタンダードにもレジェンドにもなれない、徒花的で自己憐憫的な言葉だな~という感じがしていたので、この本を最初見たときは、よくある職人賛歌の本かと思っていたら、真逆の内容だったことにビックリ。


    この本は、現代の産業を支える「標準」や「規格」といった概念がどこから生まれ、どう発展し、世界に受け入れられたのか……を概説している本。「標準」や「規格」というと、私たちが接する「ものづくり」という言葉から感じる、下町の町工場の職人がオンリーワンのものを作る……みたいなものとは正反対の、味も素っ気もないもののように

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    2013年09月30日
  • 「ものづくり」の科学史 世界を変えた《標準革命》

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    産業技術史のなかで「標準化」「互換性」に焦点を当てたユニークな書籍。ネジの規格からインターネットの通信方式まで、様々な標準化と互換性の事例を挙げる。

    成熟経済では差別化と独自性が競争力の源泉だが、萌芽段階では如何に爆発的普及をさせ市場を創るか、つまり製品の標準化と互換性が欠かせない。産業革命後は自然発生的に標準化が進んだように思っていたが、個々人の癖や好みの違いを意図的に統合する挑戦者たちの様はなかなか興味深い。いまでこそISOなどの国際規格が普及しているが、近代化初期の過渡期においては、優劣の問題もあり、覇権争いが極めて熾烈であったろうことが容易に想像できる。まずネジのデジュールスタンダー

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    2017年01月23日
  • 「ものづくり」の科学史 世界を変えた《標準革命》

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    工学系出身の私にはとても面白かったし,これからのモチベーションの向上にもつながった良い本でした.これを読むとなぜアメリカが世界一の工業国になったかが良く分かります.これからは,理論に基づいた標準化を日本が主導して行っていけるように,研究に励みたいと思いました.

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    2014年11月21日
  • 近代発明家列伝 世界をつないだ九つの技術

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    ハリソン:時計
    ワット:蒸気機関
    ブルネル:蒸気船
    エジソン:いっぱい
    ベル:電信
    ■デフォレスト:三極管、ラジオ
    ベンツ:ガソリンエンジン自動車
    ライト兄弟:飛行機
    フォン・ブラウン:ロケット

    デフォレストは、知らなかった。三極管=信号増幅=発振というアイデアがどうやって生まれたのかは、非常に興味深い。
    また明治維新のころには大西洋横断通信線が敷設されようとしていたことは驚きである。

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    2018年10月14日
  • 「ものづくり」の科学史 世界を変えた《標準革命》

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    互換性から標準化へ。そして、標準化と個性。グローバル化が進む中、円滑な交流を行うためには標準化は避けられない。近年の社内英語公用語化も標準化のひとつと考えられる。一方、標準は必ずしも最適とは限らない。標準は奥深いものである。

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    2013年11月14日
  • 「ものづくり」の科学史 世界を変えた《標準革命》

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    標準化や互換性といった考えと技術が、市場経済の中からではなく、軍事技術(と戦争)の中から産み出されてきたのは興味深い。
    ただし、ネジの話はヴィトルト・リプチンスキ『ねじとねじ回し』(早川書房)、コンテナの話はマルク・レビンソン『コンテナ物語』(日経BP社)の方が面白いが。

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    2013年09月26日
  • 「ものづくり」の科学史 世界を変えた《標準革命》

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    世の中にあるモノの「互換性」,「標準化」に焦点を当てた本。戦争における兵器の製造・修理の効率化の要請から部品の互換性及びそれを実現するための工作機械の進化,国の垣根を越えた「ネジ」の規格の標準化の歴史,運送業界におけるコンテナによる標準化など,興味深く読むことができた。
    Microsoftに代表されるように,デファクト・スタンダードを勝ち取った者が勝ち組たりえるが,それを得られるかどうかというのは偶然の要素も大きいというのは意外だった(この本の中では,QWERTY配列を例に説明)。

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    2013年09月09日
  • 「ものづくり」の科学史 世界を変えた《標準革命》

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    悲しことではあるが、技術の飛躍的進歩は戦争との相関がとても高くなってしまう。極限状態に置かれたとき、人はそれを超越するために科学を発達させ、即物的な結果を生みだす。逆に言えば、究極的な平和状態においても同じことは可能なはずだ。ただ、得られるものはもっと抽象度が高く、概念的なものであるため、受け止める姿勢ができていないと、簡単にすり抜けていってしまうのだろう。

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    2013年09月07日
  • 「ものづくり」の科学史 世界を変えた《標準革命》

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    科学技術の発展は常に戦争の歴史とともにあると大学の教授がよく話してくれたが、中世の大砲に始まり近代の拳銃、第一次世界大戦を契機とした大量生産の為の標準化など、まさにそんな話。
    第五章、前章までに語られた製品の標準化ではなく作業の標準化の例として挙げられている、テイラーの科学的管理法。切削速度の研究に26年という途方もない時間、費やした鉄の量は400トンという話に圧倒された。しかも19世紀、電気による駆動が確立していない水力や蒸気力がメインであった時代の話であり(後半は電動式の工作機械が使えたというが)、実験に於いてパラメータ・バリエーション(1つの変数の影響を測定・把握するために、他の変数を全

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    2024年07月13日
  • 「ものづくり」の科学史 世界を変えた《標準革命》

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    本屋で見かけて購入。技術の標準化の歴史。1番おもしろかったのは18世紀フランスで兵器の互換性を確保する話。2番目は19世紀アメリカで工作機械が発達し互換性技術と大量生産システムが確立したという話。意図を持って取り組んだ人々が詳しく描かれていて感銘を受けた。世界史と連動していてわかりやすかった。
     
    標準化のデメリットも触れられていてなるほどだった。市場の嗜好への適応性に欠ける(フォードとGM)のと、性能を最大限活かした設計を失うこと(木村秀政の独米比較)。

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    2017年07月30日
  • 近代発明家列伝 世界をつないだ九つの技術

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    ワット、エジソン、ライト兄弟、フォン・ブラウンなど歴史に名を残した有名な発明家・実業家の事績を簡潔に記した文庫本である。一人ひとりの事績を追うならもっと詳しい本はたくさんあるし、むしろそっちを読んだ本がいいのだが、これを手に取った理由は、珍しくイサンバード・ブルネルが載っていたからだ。

    ブルネルはイギリスの技術者で、鉄道建設や蒸気船事業などに取り組んだ人物である。イギリスでは知らない人はいない人物で、アメリカの大学でも、尊敬する偉人ランキングなどで上位に入っているようだ。恥ずかしながら、そのニュースを読むまで自分は知らなかった。

    ブルネルは父も有名な技術者であり、出自も裕福である。父の事業

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    2016年06月04日
  • 近代発明家列伝 世界をつないだ九つの技術

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    ワット、エジソン、ベル、ベンツなど9名の稀代の発明家のエピソードを散りばめた一冊。一部読みにくい部分もあるものの、興味深い苦労話が多く、参考になった。

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    2015年08月12日
  • 「ものづくり」の科学史 世界を変えた《標準革命》

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    兵器の部品の互換性追及から始まった標準化の歴史を概観。大量生産が職人業にとって代わるのに,技術標準の構築は不可欠だった。現実世界では,純粋に技術として合理的な設計が実現するのではない。社会や政治との関係の中で,偶然や一部の人間の思惑に左右されながらモノは出来上がっていく。
    関連団体や国家が制定するデジューレスタンダード,市場で勝ち残ったものがその後の技術を支配するデファクトスタンダード。ねじや旋盤やコンテナやインターネットを例に,物語は進んでいく。
    少し残念だったのは,キーボードのqwerty配列の件。デファクトスタンダードの代表格として挙げられているのだが,本書が紹介する「タイプライターのア

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    2014年03月26日
  • 「ものづくり」の科学史 世界を変えた《標準革命》

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    標準を制するものは世界を制するという言葉にひかれて読んでみた。
    標準を作るには「偶然」と「原動力」がぽいんとになるのかな。
    「偶然」もちろん一定の品質、選ばれる理由をもっていることは前提だが、標準にしようとして作れるものではないのかもしれない
    「原動力」それを広める何かしらの原動力が社会で起きてなくてはいけない。その波に乗れるかどうかは企業の努力次第

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    2014年02月17日
  • 「ものづくり」の科学史 世界を変えた《標準革命》

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    戦場での応急修理を容易にするために互換性技術は発展した。標準規格が普及することで生産量は飛躍的に大きくなった。
    きちんと互換性があり標準にあったものを作る技術は大変なものだ。強度なども含めて水準どおりの品質を持っているかどうかを確認するための測定技術も必要になる。
    標準化による大量生産がはじめから存在していた時代に育つと「一品もの」をありがたがってしまうが、逆にそちらの方が昔からあるやり方なのだ。世界のどこでも一定の品質の互換部品で修理できるありがたさ。その影には歴史がある。

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    2014年01月10日
  • 近代発明家列伝 世界をつないだ九つの技術

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    ちょっとしたアイデア企画ですね。
    巧みの時代ほどでなくても、少年の発明心をくすぐるかもしれない。
    目新しい内容ではないので、若いヒト向けなのでしょう。
    それにしても、この200年近くの人間の歩みというのはものすごいものですね。
    もちろん、現在はその10倍近い速度で進歩しているのでしょうが・・・・。

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    2013年06月18日