蒲松齢のレビュー一覧
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昔、国語の授業で学んだ書物だったので手に取ってみた。
長い全体からの幾つかの抜粋とのことだったがどれも面白く、現代にも影響が見られるような良い作品ばかりであった。
序文的な作者の書いた部分に、自分の身の上を憐れみ理解してくれるものは闇の中の妖怪怪異達ではないか?という部分があったがここにはとてもぐっときた。作者はこの作品を書いた時、色々と不遇だったらしくその影響が伺える。他の短編の中でも連れ合いや理解者を求める話が多く、信頼できる人が欲しかったのだろうか?このやうに古典にはたまに現代人でもいいな!新しいな!となる表現があるが、この時は今古の共感と発見で嬉しくなるのだ。
一つの -
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17世紀末、清の時代に蒲松齢が民間伝承などをもとに書いた短編怪異小説集で、仙女、妖怪、幽霊、化物が色々と出てくる。
「聊斎志異」は怖い話ではない。幽界、冥界、仙界の人たちが出てくるが、面白いのはそっちにはそっちのルールや社会があって彼らはそれを守っており、人間界と交わったときに道士たちの仲介があって上手い落とし所や相手を出し抜く裏技でハッピーエンドに持ち込んだり、しくじればバッドエンドに終る。
登場人物も基本的に幽霊たちを怖がらない。だからそこに恋が生まれ、人間と美女の幽霊(こういうのが多いのは男の妄想なのか?)が結ばれていくのである。
まさに400年前の中国の不思議な話、伝承の集大成な -
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ネタバレこの岩波少年文庫版には全部で31編の短編(これが本当に短いの!)が収められています。 全編は12巻、494編もあるらしいのですが、我が日本国で比較的入手しやすい岩波文庫の本作であってさえも92編しか収められていないようです。 アジアン・テイストのショートショートといった雰囲気でなかなか楽しめる物語集だと思いました。
でも生まれて初めてこの本のことを知った時は、タイトルが読めなくてねぇ・・・・・。 今でこそ何のためらいも迷いもなく「りょうさいしい」と読めるようになったけれど、中学生ぐらいまでは「ああ、あの柳みたいな字で始まる中国の物語集ね」な~んていう風に記憶していたことが思い出されます -
Posted by ブクログ
「雲が湧く石(石清虚)」の、みんな石に夢中なのがやけに面白かった。主人公の邢(けい)が、高官やら泥棒やらに奪われて必死で取り戻しても、最後まで特に実益はなにもない(しかし満足している)というのがなんか好き。
「酒の精(酒虫)」は、いくら酒を飲んでも酔わない劉が、僧に「どこか具合の悪いところがありますな」、いくら酒を飲んでも酔わないのは酒虫のせいです、と言われ、酒でおびき寄せて体内から追い出してもらった、ところまでは良かったものの、「以来、劉は酒を仇のように憎むようになったが、そのうち次第にやせ細り、家も日ごとに貧しくなって、三度の飯にも事欠くようなありさまになってしまった。」という結末にはびっ -
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りょうさいしいと読みますが,31/494~種梨・促織・王六郎・偸桃・耳中人・労山道士・尸変・九官鳥・狐嫁女・黄英・野狗・王蘭・竹青・江中・画皮・小猟犬・酒友・石清虚・義鼠・陸判・緑衣女・地震・張誠・考城隍・酒虫・小謝・噴水・聶小倩・趙城虎・公孫九娘・羅刹海市~清の時代,期待されながら科挙に落ち続けた人物が世にも不思議(異)な物語を書き記した(志or誌)494編から31を選抜。実際にあった話を交えることで怪奇譚も本当にあったことのように思わせる。九官鳥を表す句に鳥・谷に鳥が出てこなくて残念。こうやって題名を眺めると,偸桃と小猟犬,酒虫が面白かったかな。中国人が好きな「怪力乱神を語らず」という孔子