蒲松齢のレビュー一覧
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昔、国語の授業で学んだ書物だったので手に取ってみた。
長い全体からの幾つかの抜粋とのことだったがどれも面白く、現代にも影響が見られるような良い作品ばかりであった。
序文的な作者の書いた部分に、自分の身の上を憐れみ理解してくれるものは闇の中の妖怪怪異達ではないか?という部分があったがここにはとてもぐっときた。作者はこの作品を書いた時、色々と不遇だったらしくその影響が伺える。他の短編の中でも連れ合いや理解者を求める話が多く、信頼できる人が欲しかったのだろうか?このやうに古典にはたまに現代人でもいいな!新しいな!となる表現があるが、この時は今古の共感と発見で嬉しくなるのだ。
一つの目玉に二つの瞳があるという話があったが最近見たアニメに似たようなのがあった。面白い偶然、あるいは元ネタなんだろうか?
人間ではないが故に大笑いし続けるも情が深く優しい娘の話で、大切なものを笑いの中に隠していたに違いない、と作者が評しているのも好き。この作者は時折、とても優しく怪異に寄り添ったコメントを残しており人柄が伺える。
香玉という作品は登場人物が赤牡丹白牡丹の精、黄という名の主人公、白牡丹を持ち去っていく藍 と色の名前縛りになっているのが面白いと思った。内容も作者らしい情を重視したものとなっている。
鳳陽夫人は怪異の謎解きパートでも黒幕である謎の美人の正体がわからないのが不気味であった。
本作では美女妖怪が多く登場するが、夜叉国や醜狐、画皮では逆に醜悪な女妖怪が現れる。しかしいずれの場合でも物語中ではむしろ彼女らに同情的にであり、夜叉国では夫との愛も変わらずにハッピーエンドを迎え、醜狐では作者直々に擁護が行われている。
小謝は今でもよくあるハーレム物ではあるが、ダブルヒロインか可愛くて恥ずかしながら楽しんで読んでしまたった。
この他にも厳選されているだけあり面白くて気になる話ばかりであり、原作の他の短編も見てみたくなってしまった。権力者への風刺や恋愛願望などの傾向はあるものの、全体的に怪異との友情(陸判や王六郎など、義賊との友情もあったがそれもそうだろうか?)や恋愛(多数だが多くの場合ハッピーエンドであり破局などはしない)の話が多く、その多くがハッピーエンドであり作者の異類への寄り添いの精神が感じられる。怪異の話ではあるが怖いと言うよりもホッコリとするお話も多かった。
最後に特に印象に残った場面を記すと一つ目は李子鑑である。いきなり不正をしていた役人があの世からの罰だといって肉体を切り刻む様は不気味で恐ろしかった。自分の意思でやっているのがなお怖くて悍ましい。二つ目は瑞雲で描かれた理解者を求めての、友情に近いような恋愛。顔が汚れてもなお変わらぬ恋の様子と唯一の理解者である想い人への献身は、自序なども合間って作者の求めている理想像のようにも感じられた。 -
Posted by ブクログ
17世紀末、清の時代に蒲松齢が民間伝承などをもとに書いた短編怪異小説集で、仙女、妖怪、幽霊、化物が色々と出てくる。
「聊斎志異」は怖い話ではない。幽界、冥界、仙界の人たちが出てくるが、面白いのはそっちにはそっちのルールや社会があって彼らはそれを守っており、人間界と交わったときに道士たちの仲介があって上手い落とし所や相手を出し抜く裏技でハッピーエンドに持ち込んだり、しくじればバッドエンドに終る。
登場人物も基本的に幽霊たちを怖がらない。だからそこに恋が生まれ、人間と美女の幽霊(こういうのが多いのは男の妄想なのか?)が結ばれていくのである。
まさに400年前の中国の不思議な話、伝承の集大成なのだ。
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ネタバレこの岩波少年文庫版には全部で31編の短編(これが本当に短いの!)が収められています。 全編は12巻、494編もあるらしいのですが、我が日本国で比較的入手しやすい岩波文庫の本作であってさえも92編しか収められていないようです。 アジアン・テイストのショートショートといった雰囲気でなかなか楽しめる物語集だと思いました。
でも生まれて初めてこの本のことを知った時は、タイトルが読めなくてねぇ・・・・・。 今でこそ何のためらいも迷いもなく「りょうさいしい」と読めるようになったけれど、中学生ぐらいまでは「ああ、あの柳みたいな字で始まる中国の物語集ね」な~んていう風に記憶していたことが思い出されます。
登場するのは必ずしも人間ばかりとは限らず、幽霊だの妖精だの動物たちが人間とほとんど変わることない「この世に生きとし生けるもの」として登場し、登場する人物と一緒に酒を酌み交わして仲良くなっちゃったりします。 そんなホノボノ感と、死体の首をすげかえるだの遺体を盗むだのというホラーチックな話がゴタマゼになっていて(でも不思議とおどろおどろしさはない 笑)、まあハチャメチャと言えばハチャメチャな話が多いんだけど、例えば風邪をひいて高熱にうなされながら読むには最適なんじゃないかという「夢うつつ読書」向きの本だと感じました。 何せ、KiKi はこれを読みながら夏目漱石の「夢十夜」を思い出したぐらいですから・・・・・(笑)
作者の蒲松齢は科挙の予備試験である県試・府試・院試と呼ばれる3段階の試験を全て首席で突破したにも関わらず、何故か本試験には落ち続けるという経歴の人物だったのだそうですが、そんな経験を反映してか物語に登場するほとんどの人物は科挙の受験生とか作者本人を彷彿とさせる科挙の落第生だったりするあたりがちょっと笑えるのと同時に皮肉みたいなものも感じます。
何の本だったか忘れちゃったけれど科挙を受験するための学問に没頭するあまり精神的に病んじゃった人の話とか、科挙の試験の最中におかしくなっちゃった人の話なんかも読んだことがあるので、何となくその世界に近いような印象もあれば、科挙ってあまり実際的な試験ではなかったため科挙合格者は必ずしも「実務能力」には長けていなかったという話も思い出され、まあこういう空想世界の物語をかき集めるあたり、さもありなん・・・・・という印象もあります。
こういう民間伝承をベースにした古い物語を読むと常に感じるのは、古い時代の夜の暗さです。 暗くて視界が効かない中で聞こえてくる物音、風に揺れるろうそくの火が描き出す揺れ動く影というような舞台背景があってこそ立ちのぼってくる魑魅魍魎の世界。 その中にポツネンと1人置かれたか弱い存在である自分を意識すると、その孤立感・隔絶感が次第に社会における自分の存在感の希薄さとないまぜになっていく感覚。 そういうものが感じられるような気がするんですよね~。 で、そうこうしているうちに幽鬼とであってさえもお友達になれちゃうという摩訶不思議な連帯感とも呼べるような感覚まで生まれてきたりもする・・・・。 もちろん幽鬼とお友達になるためには酒の力も借りなければならなければ、一旦死域に入ったりすることも必要だったりするわけですが・・・・・(苦笑)
さて、最後に・・・・ この本の宮崎駿さんの推薦文は以下のとおりです。
たくさんのお話がのっていて、どれもふしぎでおもしろいのですが、中でも「酒の精」という、ごく短いお話だけでも、この本を読む値打ちがあります。 このお話は、ぼくのものの考え方にとても大きな影響を残しました。 ぼくはいまだに煙草をすいます。 もう50年近くすっていますが、やめようと思ったことはありません。 「酒の精」のお話の、酒のかわりに煙草と入れ替えてみてください。 ぼくの気持ちが判ってくれましたか(笑)。
は? この本を推薦したのは喫煙癖の言い訳のためですか?? しかもこの「酒の精」を何回読み返しても宮崎さんの気持ちはよくわかんないんですけど・・・・・・ ^^; -
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「雲が湧く石(石清虚)」の、みんな石に夢中なのがやけに面白かった。主人公の邢(けい)が、高官やら泥棒やらに奪われて必死で取り戻しても、最後まで特に実益はなにもない(しかし満足している)というのがなんか好き。
「酒の精(酒虫)」は、いくら酒を飲んでも酔わない劉が、僧に「どこか具合の悪いところがありますな」、いくら酒を飲んでも酔わないのは酒虫のせいです、と言われ、酒でおびき寄せて体内から追い出してもらった、ところまでは良かったものの、「以来、劉は酒を仇のように憎むようになったが、そのうち次第にやせ細り、家も日ごとに貧しくなって、三度の飯にも事欠くようなありさまになってしまった。」という結末にはびっくりした。まさかのバッドエンド。
礼金を受け取らず、ただその虫をもらいたいと言った僧。「これは酒の精で、これを水をいれた甕に入れてかき回せば、うまい酒になるのです」…もしやこれは僧に騙された話だったのだろうか。
聊斎志異というと、「かわいい幽鬼たち(小謝)」のような話ばかり、というイメージだったけれど、「大地震(地震)」のような普通のお話もあったりして面白かった。いつか全訳本も読んでみたい。 -
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りょうさいしいと読みますが,31/494~種梨・促織・王六郎・偸桃・耳中人・労山道士・尸変・九官鳥・狐嫁女・黄英・野狗・王蘭・竹青・江中・画皮・小猟犬・酒友・石清虚・義鼠・陸判・緑衣女・地震・張誠・考城隍・酒虫・小謝・噴水・聶小倩・趙城虎・公孫九娘・羅刹海市~清の時代,期待されながら科挙に落ち続けた人物が世にも不思議(異)な物語を書き記した(志or誌)494編から31を選抜。実際にあった話を交えることで怪奇譚も本当にあったことのように思わせる。九官鳥を表す句に鳥・谷に鳥が出てこなくて残念。こうやって題名を眺めると,偸桃と小猟犬,酒虫が面白かったかな。中国人が好きな「怪力乱神を語らず」という孔子の気持ちが解るか。しかし,理解しがたい話も多い