あらすじ
こおろぎになった少年,菊の精の姉弟,豆つぶのように小さい犬-人間と幽霊・妖精・動物たちとの不思議な交流を描いた中国清時代の短篇集から31編を選んだ.
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
人ならぬものたちの怪異を集めた、清時代の怪奇短編集の抄本。
-----------
以前から気になっていた聊斎志異、ようやく手に取りました。怖い話の詰め合わせかと思っていたのですが、怪異、教訓、恋愛、ちょっとお笑いなど、バラエティに富んだ内容で大変楽しく読めました。
作者の蒲松齢自身がそうだったように、科挙の受験生が勉強を頑張っている姿がたくさん描かれるので、勉強からの現実逃避としてこんな妄想を膨らませるのは見覚えがあるなあ、とか思ったりしました。特に妖怪(幽霊)と人の恋愛を題材にしたものが多くて、厨二病感があって面白かったです。
Posted by ブクログ
異国、異時代、異世界。非日常。でもなぜかどことなく懐かしいものを感じる。
科学の存在があたりまえで世界のどこの情報も入手できる変化の激しい社会・でも一応階級フリーで食うものにもそんなに困らない世の中と、非科学的で妖怪が身近で地縁血縁の中で生きるゆったりとした社会・でも封建的で飢えも戦も割と身近な世の中とでは、どっちの人の方が想像力の豊かさとか視野の広さに優れるのかなぁと思った。
Posted by ブクログ
中国・清代に書かれた幻想短編集。特段教訓もない話も多く、ただただ奇妙に美しい不思議な31篇。起承転結のある物語に慣れていると拍子抜けしてしまう感覚はあるけれど、そういった部分も含めて「異なるもの」の味わいがある気がする。受験の古典文など、独特の取り留めのなさに慣れるという意味でもオススメ。
Posted by ブクログ
この岩波少年文庫版には全部で31編の短編(これが本当に短いの!)が収められています。 全編は12巻、494編もあるらしいのですが、我が日本国で比較的入手しやすい岩波文庫の本作であってさえも92編しか収められていないようです。 アジアン・テイストのショートショートといった雰囲気でなかなか楽しめる物語集だと思いました。
でも生まれて初めてこの本のことを知った時は、タイトルが読めなくてねぇ・・・・・。 今でこそ何のためらいも迷いもなく「りょうさいしい」と読めるようになったけれど、中学生ぐらいまでは「ああ、あの柳みたいな字で始まる中国の物語集ね」な~んていう風に記憶していたことが思い出されます。
登場するのは必ずしも人間ばかりとは限らず、幽霊だの妖精だの動物たちが人間とほとんど変わることない「この世に生きとし生けるもの」として登場し、登場する人物と一緒に酒を酌み交わして仲良くなっちゃったりします。 そんなホノボノ感と、死体の首をすげかえるだの遺体を盗むだのというホラーチックな話がゴタマゼになっていて(でも不思議とおどろおどろしさはない 笑)、まあハチャメチャと言えばハチャメチャな話が多いんだけど、例えば風邪をひいて高熱にうなされながら読むには最適なんじゃないかという「夢うつつ読書」向きの本だと感じました。 何せ、KiKi はこれを読みながら夏目漱石の「夢十夜」を思い出したぐらいですから・・・・・(笑)
作者の蒲松齢は科挙の予備試験である県試・府試・院試と呼ばれる3段階の試験を全て首席で突破したにも関わらず、何故か本試験には落ち続けるという経歴の人物だったのだそうですが、そんな経験を反映してか物語に登場するほとんどの人物は科挙の受験生とか作者本人を彷彿とさせる科挙の落第生だったりするあたりがちょっと笑えるのと同時に皮肉みたいなものも感じます。
何の本だったか忘れちゃったけれど科挙を受験するための学問に没頭するあまり精神的に病んじゃった人の話とか、科挙の試験の最中におかしくなっちゃった人の話なんかも読んだことがあるので、何となくその世界に近いような印象もあれば、科挙ってあまり実際的な試験ではなかったため科挙合格者は必ずしも「実務能力」には長けていなかったという話も思い出され、まあこういう空想世界の物語をかき集めるあたり、さもありなん・・・・・という印象もあります。
こういう民間伝承をベースにした古い物語を読むと常に感じるのは、古い時代の夜の暗さです。 暗くて視界が効かない中で聞こえてくる物音、風に揺れるろうそくの火が描き出す揺れ動く影というような舞台背景があってこそ立ちのぼってくる魑魅魍魎の世界。 その中にポツネンと1人置かれたか弱い存在である自分を意識すると、その孤立感・隔絶感が次第に社会における自分の存在感の希薄さとないまぜになっていく感覚。 そういうものが感じられるような気がするんですよね~。 で、そうこうしているうちに幽鬼とであってさえもお友達になれちゃうという摩訶不思議な連帯感とも呼べるような感覚まで生まれてきたりもする・・・・。 もちろん幽鬼とお友達になるためには酒の力も借りなければならなければ、一旦死域に入ったりすることも必要だったりするわけですが・・・・・(苦笑)
さて、最後に・・・・ この本の宮崎駿さんの推薦文は以下のとおりです。
たくさんのお話がのっていて、どれもふしぎでおもしろいのですが、中でも「酒の精」という、ごく短いお話だけでも、この本を読む値打ちがあります。 このお話は、ぼくのものの考え方にとても大きな影響を残しました。 ぼくはいまだに煙草をすいます。 もう50年近くすっていますが、やめようと思ったことはありません。 「酒の精」のお話の、酒のかわりに煙草と入れ替えてみてください。 ぼくの気持ちが判ってくれましたか(笑)。
は? この本を推薦したのは喫煙癖の言い訳のためですか?? しかもこの「酒の精」を何回読み返しても宮崎さんの気持ちはよくわかんないんですけど・・・・・・ ^^;
Posted by ブクログ
仙人、道士、亡者、狐や烏、虫たちもいる不思議な世界。
読んでいると雰囲気は国語の授業で習った漢文。でも教訓めいたものではなく、時には理不尽でもある。昔々で始まる昔話、おとぎ話。出てくるアイテムは中国らしいけれど、日本や他の外国でもありそうな、恩返しや危機一髪の物語。
Posted by ブクログ
「雲が湧く石(石清虚)」の、みんな石に夢中なのがやけに面白かった。主人公の邢(けい)が、高官やら泥棒やらに奪われて必死で取り戻しても、最後まで特に実益はなにもない(しかし満足している)というのがなんか好き。
「酒の精(酒虫)」は、いくら酒を飲んでも酔わない劉が、僧に「どこか具合の悪いところがありますな」、いくら酒を飲んでも酔わないのは酒虫のせいです、と言われ、酒でおびき寄せて体内から追い出してもらった、ところまでは良かったものの、「以来、劉は酒を仇のように憎むようになったが、そのうち次第にやせ細り、家も日ごとに貧しくなって、三度の飯にも事欠くようなありさまになってしまった。」という結末にはびっくりした。まさかのバッドエンド。
礼金を受け取らず、ただその虫をもらいたいと言った僧。「これは酒の精で、これを水をいれた甕に入れてかき回せば、うまい酒になるのです」…もしやこれは僧に騙された話だったのだろうか。
聊斎志異というと、「かわいい幽鬼たち(小謝)」のような話ばかり、というイメージだったけれど、「大地震(地震)」のような普通のお話もあったりして面白かった。いつか全訳本も読んでみたい。
Posted by ブクログ
りょうさいしいと読みますが,31/494~種梨・促織・王六郎・偸桃・耳中人・労山道士・尸変・九官鳥・狐嫁女・黄英・野狗・王蘭・竹青・江中・画皮・小猟犬・酒友・石清虚・義鼠・陸判・緑衣女・地震・張誠・考城隍・酒虫・小謝・噴水・聶小倩・趙城虎・公孫九娘・羅刹海市~清の時代,期待されながら科挙に落ち続けた人物が世にも不思議(異)な物語を書き記した(志or誌)494編から31を選抜。実際にあった話を交えることで怪奇譚も本当にあったことのように思わせる。九官鳥を表す句に鳥・谷に鳥が出てこなくて残念。こうやって題名を眺めると,偸桃と小猟犬,酒虫が面白かったかな。中国人が好きな「怪力乱神を語らず」という孔子の気持ちが解るか。しかし,理解しがたい話も多い