橘英彦は、三十代にして課長という同期の中でも異例のスピード出世を果たしたエリートサラリーマンだった。
そんな彼が出張先で、不本意ながらも再会してしまったのは、数年前に三行半を叩き付けた同棲していた元恋人・有堂だった。
彼は、傲岸不遜で厚かましく、部屋の片付けもしない、それどころか服は脱ぎっぱな
...続きを読むし、ビールでさえも自分で取らず、英彦のことを顎で使う。
そんな無神経な男だったけれど、英彦はどうしても彼のことを忘れられずにいた。
有堂は、学生の頃にすでに起業していて雑誌にも載る成功者。
そんな有堂の存在が、親からの仕送りで生活し、汗まみれで就職活動を続ける英彦のコンプレックスを刺激した。
ところが、再会した有堂はかつてとまったく変わっていなくて、英彦は再び振り回されることになる。
けれど、それでもどうしても決して有堂のことは嫌いになれなくて……
という話でした。
有堂は家事能力はまったくないけれど、情に厚い上に、冷静な判断もできるので、仕事はすこぶる順調。
おまけに、飽きたからと言って、結局軌道に乗っている仕事を簡単にあっさり投げ出してしまう。
それが、異例のスピード出世とはいえ、所詮サラリーマンにしかなれなかった英彦のコンプレックスを刺激する――。
けど、どれだけイライラさせられても、結局のところ好きだから許してしまう……という感じの話でした。
むちゃくちゃ男に振り回される真面目で潔癖な受け。
かわいそうだけど、ちょっと萌えました。
わが身だと、嫌ですけど、他人事だったら楽しいですよね。