福島清彦のレビュー一覧
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米国の市場万能・自由主義的資本主義への批判と欧州の福祉国家型資本主義の賛美が本書の主な主張ですが、EU経済史として非常に良くまとまっておりますし、英、仏、独の実情についてもコンパクトながら触れられています。本書を読んで、近時の米国におけるSarbane-Oxley法の制定なども含め、経済活動のプレーヤーにどのようなルールを守らせるか、そして資本主義のタイプを規定するルール作りがどうあるべきか、を考えさせられました。
出版のタイミングが9・11のすぐ後だったこともあって、中東情勢について陳腐化した記述もあり、日本経済への言及も若干中途半端な感もありますが、EU経済の入門書の最初の一冊としてお奨め -
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[ 内容 ]
弱肉強食の米国流よ、さらば!
これが、市場の暴走を許さず、福祉を重視する西欧スタイルだ。
[ 目次 ]
序章 テロ事件と市場原理主義
第1章 強まるヨーロッパの対米批判(基本的な社会観 経済政策と制度のあり方 ほか)
第2章 福祉を重視する経済大国づくりの戦略(「社会的な」ヨーロッパづくり宣言 モネ構想からローマ条約へ ほか)
第3章 自己変革に取り組むイギリス(没落の五要因 没落の実例 ほか)
第4章 今後の米欧対立と日本(テロ事件後の米欧関係の変容 テロ事件以降の経済安定志向 ほか)
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文 -
Posted by ブクログ
1月?
本書は、アメリカ型資本主義(市場原理主義)とヨーロッパ型資本主義を軸に話を進めていく。ここで言う、ヨーロッパ型資本主義とは、「落ち着きとゆとりのある社会を作り、貧富の格差をそう大きくせず、治安のよい状態を維持していこうという」考え方である。もちろん、ヨーロッパの資本主義も一様ではなく、「アルペン・ライン型」、「アングロサクソン型」「合成型」などがある。その代表例として、本書ではドイツ、フランス、イギリスを例示し、詳解している。中でも、英米型資本主義とヨーロッパ型資本主義でゆれるイギリスに関する記述は興味深かった。また、EUが形成されていく過程に、モネ氏とドロール氏を中心に据えた解説はわ -
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世の中に経済の量を測る指標としてGDPが多くの人に使われていて、日本のGDPがかなり昔に世界二位の座から落ちて久しいです。為替にもよりますが、今では中国にかなり水を開けられている様ですね。
量では確かに増えていないし相対的に低下しているのは理解できますが、その質についてはどうなのだろうかをずっと思っていました。そのな私の目の前に現れたのがこの本でした。
国連が作成したのは、総合的な豊かさとして、人的資本・生産した資本・天然資本の3つの資本から評価を行っています。そして一人当たりの「総合的な豊かさ」は、アメリカを抑えて「一位」とのことです。日本は天然資本は低いものの、生産した資本や人的資本に -
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資本主義下の現代社会において、どれだけ効率的な生産体系、市場機構を作り出せるか、どれだけ他国とのGDP競争に差をつけることができるか。これらは、非常に重要な関心事であり、国家の活動目的も、この点にのみ存在する。このような認識は、本書で著者が述べているように、日本的な資本主義社会の一つの特徴かもしれない。
しかし、EU各国が展開させている国家活動は、決してGDPのためではなく、国民そのもののためにある。この点を、著者は、市場の限界を理解し、国内の経済活動に対し、必要なところに規制を創り、足りないところに歳出を繰り出す、というようにまとめている。
もちろん、EU各国が何らの問題も抱えずに上手く -
Posted by ブクログ
アメリカが嫌いなんだなというのが、よく伝わった。EUの上院が本当に機能すれば、世界の主役は戻ってくるであろう。本書で触れられているように加盟国それぞれに拒否権があること、ドイツ以外は経済システムが破たんしていること。本書出版以降にギリシャやスペインの経済が破たんしたこと。等を鑑みると、大分、幻想的なシステムだと感じた。ましてやアメリカ合理主義との差別化を強引に図っているような、抽象的な倫理観を重視するシステムでは、まず機能することはないであろう。衰退の一方たどるEU各国の中でドイツだけが日本人とも似た気質で発展を続けていることに感銘を受けた。世界大戦でベッコベッコにされた国が世界で発展を続ける