夏井睦のレビュー一覧
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以前に科学の歴史の本を読んでいて「パラダイムシフト」について、考えさせられることがあった。
知れば自明のことなのに、過去の知識の積み重ねや、世間の常識などに捕らわれ、なかなか新しいことを認められない。意地ではなくて、人の本能や脳のシステム上、どうしようもないことであると思う。(簡単に言いえば、コロコロ代わると拠り所となる根幹が確立できない、ということ)
そして、社会システムが過去の成功の積み重ねを評価するのが安全である場合(そらそうだ)、新しい技術をすぐに認めるのは難しい。
だからこそ科学者ではなくて、一般人が「新しい技術」を知ることを怠ってはいけないと思うんだよね。新しい技術を知る -
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長らくお決まりとなっている、傷(切り傷擦り傷やけどなどの外傷)は消毒し、乾燥させる治療は間違いで、湿度を保って空気にさらされないようにすることで早く綺麗に痛みもなく治るという湿潤治療に関して、なぜそうなるのかも素人にもわかりやすく解説してある本。
近頃巷でよく聞く「キズパワーパッド」などがその湿潤治療に当たる。
実例、実績もあるのに、なぜ湿潤治療がまだ然程普及していないのか、主たる原因である医学界の構造についても面白い例えを交えつつ辛辣に批判し、最後の章は皮膚や神経構造の進化についてSF並に(言い過ぎか)面白い仮定を披露して終わる。
後半部分はともかく、湿潤治療や、なぜ従来の治療法がダメな -
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もともと自身のダイエット経験から糖質制限には肯定的であった。
肌が綺麗になる、胃痛がなくなった、朝スッキリ起きれる、むくみがなくなる、二日酔いしない、というのは糖質制限以降、実体験として感じておりこのおかげだったのかと腑に落ちた。
しかし、フルーツは摂っても害があるようには感じられない。肌が綺麗になるし食物繊維や水分が多いため砂糖の使われたおやつを食べるくらいならフルーツをたくさん食べるのが良いと思う。
糖質制限をし、脂質を多く摂るとお腹が空きにくくなるため結局はダイエットは続けられることが大切なので我慢しないダイエットとしては最高だと思う。
多少偏りはあると感じたが、糖質制限について網羅され -
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・2009年発行。著者は医者。
・消毒せず乾かさないと傷が治る(外傷の湿潤治療)。キズパワーパッド。白色ワセリンを塗ってラップする。
・傷のじゅくじゅくは最強の治療薬。浸出液(=細胞成長因子)を外に逃さない。
・情報は共有されてこそ価値がある。
・消毒薬はどうやって細菌を殺しているか。破壊のターゲットはタンパク質。人間の細胞膜蛋白も破壊する。
・根拠はないのにその時代の誰もが信じていることをパラダイムという。
・臨床医学はパラダイムだらけ。なぜなら人間の体はブラックボックスだから。
・ひとつのパラダイムから次のパラダイムに置き換わる現象をパラダイムシフトといい、科学の歴史には何度もパラダイムシ -
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糖質制限とかロカボとか、よく耳にするけれど、いまひとつ何のことか理解していなかった。火傷をきっかけに著者の本を手に取り、立て続けに読んで、人間の身体のことについて、いろいろと考えるに至った。自然環境も社会環境が、これほど短期間で激変する時代が来るとは、誰が想像しただろうか。狩猟採集から定住、そしてその先にあったのは労働と搾取。皮肉にも富は糖質を多く摂取することと似て非なるものになってしまった。そして、今貧困層が口にできるものが「糖質」の塊みたいな食事に成り果ててしまったという歴史を踏まえて、私たちが気をつけなければならないことが、わかりやすく端的に書かれている。
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Posted by ブクログ
【要約】
・傷口は消毒して乾燥、というこれまでの医学界の常識は誤っている、傷口は消毒せず、湿潤状態で治癒する。
【ノート】
・blog not foundでの紹介
・傷に対するケアとして湿潤治療の存在を知るだけでも随分と役に立つが、その理屈に至った著者の過程を教えてもらうのが、また面白い。さらに、細菌と、その存在意義についても理解が深まった。
・人間と細菌の共存関係。皮膚常在菌と黄色ブドウ球菌、「人食いバクテリア」ことレンサ球菌。「きれいずき」で石鹸で洗い過ぎると皮膚常在菌が減少して、他の悪玉細菌を呼びこむ余地を作ってします。
・脳と皮膚は源が同じ、という仮説。