佐々木健一のレビュー一覧
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藤田哲也氏という気象学者をご存知の方は少ないのではないでしょうか。アメリカで多発する竜巻のスケールを表す「Fスケール」という指標があり、そのFは藤田氏の頭文字なのです。竜巻研究で知られる藤田氏ですが、日本ではあまり知られていないもう一つの業績は「ダウンバースト」の解明でした。
1970年代、アメリカでは離発着時の航空機の墜落事故が平均18か月に1度の頻度で発生していました。その多くが「原因不明」とされたり「パイロットの過失」として処理されていました。当時アメリカで竜巻研究で実績のあった藤田氏が事故原因究明に取り組み、「ダウンバースト」という局所的な下降気流が原因であると突き止めたのです。その後 -
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ネタバレギャップや意外性におもしろさを感じるという話は納得いく。共感の話はまさにインサイトにつながる話という理解。
テーマは決めないが、絵は考える。このあたりのバランスは難しいようにも感じた。
一見、番組等コンテンツ制作文脈で語られているので、ちょっと縁遠く感じてしまうが、本質的なメッセージは他でも共通する部分ばかりで、それをよみとれるとおもしろい。仮説思考的な話しや、戦略ストーリー的な話などなど
メモ
・おもしろいとは差異と共感の両輪
いかに差異を設定するかが人の心を動かすコンテンツの鍵になる。
・安易な共感でなく、深い共感を。、
・黒澤明監督は創造とは記憶であると明言している。
・演出とは状況 -
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著者はテレビ番組制作会社のディレクターとして、これまで主にNHKの番組において綿密な取材に裏打ちされたドキュメンタリーを数多く手がけてきた。
代表作として、実在の国語辞書編纂者の秘話に迫った「ケンボー先生と山田先生~辞書に人生を捧げた二人の男~」等、その守備範囲は実に広く、「言葉」「哲学」「医学」「気象学」「司法」と…多岐に及ぶ。
また、肝心な表現方法も演劇的演出やアニメを使うなどユニークな手法を駆使し、視聴者を佐々木ワールドに引き込んでいく。昨今は手がけた作品の礎となった膨大な取材を元に執筆もこなし、現在ではノンフィクション作家としても活躍。
本書は、これまでの番組制作に関わる上で常に -
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・「見るつもりはなかったのに、偶然見たら面白かった」
受動メディアとしてのテレビが生き残るには、
逆説的に、コンテンツの質を上げること。
そのために、事前の下調べをすること、制作主体を明らかにすること、
チームのモチベーションをコントロールすること。
・面白さは、共感×差異
・インタビューで問われているのは自分自身である。
自分が緊張していれば相手も緊張する。
・演出とは、状況設定である
・「ペタペタ」で構成を考える
・三幕構成。問題提起、問題の複雑化、問題の解決。
・作品のクオリティは、「観客が受け取る」情報量で決まる。ジブリなど。
記憶を引き出すとか、そういうのも主観情報。
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昭和に誕生した2冊の国民的国語辞典「三省堂国語辞典」「新明解国語辞典」。この2冊の源流というか母胎は
昭和18年に出版された「明解国語辞典」。
この2冊「客観」と「主観」、「短文」と「長文」、
「現代的」と「規範的」、とにかく編集方針から
記述方式、辞書作りの哲学、それらすべてが性格が
異なり、似ても似つかぬ姉妹辞書が同じ親から誕生。
「辞書なんてどれも一緒である」は、この二冊限っては
小説同様「文は人なり」の言説が辞書にも通じること
なんだと教えてくれる。そこには編纂者の思いや性格が
ありありと滲み出ているからに他ならない。
本書は「明解国語辞典」を共に編纂してきた東大の
同級生であり、理 -
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子どもの頃、他球団でも主力選手の背番号を
覚えていたのに、今やタイガースの選手でさえ
おぼつかず、僕の中では縦縞は6・22・25・28
31・44…、あたりで止まっている。
さて本書。日本プロ野球の80年の歴史を、
選手の「背番号」にフォーカスし、
そこにまつわる不思議な因縁・奇縁・魔力
奇譚・逸話を丹念な取材ですくい取った
スポーツ・ノンフィクション。
取り上げられている選手は、
江夏豊28・村山実11・鈴木啓示1・池山隆寛36
谷沢健一41…。
◉あの文藝春秋が企画運営した江夏豊の
東京多摩市一本杉球場での引退試合
◉球団合併で永久欠番1が消滅した鈴木啓示
◉年俸アップを勝ち取るため -
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プロ野球選手の背番号から生み出される数奇なドラマを描いた一冊。
プロ野球を観ている時に自分たちが何気なく目にする背番号にここまでのドラマがあることに感動するとともに選手の番号へのこだわりや数字の持つ魔力など本書でプロ野球の新たな一面を知ることができました。
永久欠番についても初めて知ったことや絶対数や語呂合わせで数字が意味あるものになっていたりなど本書を読んで知ることが多くありました。
また、各球団で数字の持つ意味が異なったり、不吉と言われた背番号を背負って発奮し活躍したものや名選手の後を継いで重圧に負けた者など能力以外の部分で成績に影響しているところがあるところも驚きでした。
本書のエ -
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NHKエデュケーショナルのディレクターで、主にドキュメンタリーを作ってきた著者が、「面白い」コンテンツの作り方を、アイデア出しから取材、演出、構成、チームのマネジメントの方法まで、さらにそれらに通底する心構え的なことを、著者が実際に関わった番組を例に解説したもの。
おれは教員なので、それこそ授業や教材をどう「面白い」コンテンツにするか、という視点で学ぶところが多かった。まず「面白い」とは何か、という問題があるか、「何かをきっかけに『知らなかったことを初めて知る』という差異を得ると、たちまち『面白い』『もっとよく知りたい』というポジティブな感情に変化することがあります。こうした『知らない』状 -
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面白いとは、差異と共感の両輪
差異=〇〇だったのに、××だった!
無知から知らなかったことをはじめて知る状態→差異
上記のプロセスに感動を覚える=面白い
差異を感じさせて心を動かした後に、共感させることで人々はそれらに魅了される
共感だけでは、一定数を集めることはできても、面白い作品にはならない
新しいアイディアや企画は、既存の要素の新しい組み合わせからなる
資料集め→情報を咀嚼→組み合わせ
創造とは記憶である。
何もない所からは何も生まれない。
知見や経験から新しいアイディアなどは生まれてくる。
型破りはまず型を知らなければできないもの。
「3人寄れば文殊の知恵」
→ある研究では