小林良彰のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
[変わったもの、変われなかったもの]長年にわたる自民党政権に代わり、国民の期待を背負って民主党が政権に就くことになった2009年の政権交代。その政治的事件をもたらした原因、そして政権交代後の民主党の「凋落」を踏まえつつ、日本のあるべき次の政治形態について考えていく作品です。著者は、米国の数々の大学で研究教育に従事した経験をお持ちの小林良彰。
政権交代にまつわるデータや出来事がわかりやすく時系列でまとめられており、当時の流れを振り返る上で非常に便利な一冊。小泉政権以後から野田政権に至るまでの日本の政局のテンポの速い変転を理解することができました。本書で示される政権交代が起きた理由などについて -
Posted by ブクログ
民主党の政権交代の3年3ヶ月を単なる無駄ととらえるのか、それとも歴史の中のある意味必然と捉えるのか、アンケートなどの結果を生かしながら、新書の枠内にうまくまとめていると思った。
最初の150ページは、政権交代の小史である。小泉総理の郵政選挙から、安倍、福田、麻生総理から民主党への政権交代へは、自民党への懲罰的な選挙投票だったとしており、マニフェストに賛成したわけではないとしている。その上で、鳩山、菅、野田総理の実際の政治の中で、政策や方向がぶれていくさまが載っている。
その上で終章の50ページでは、選挙の有権者の投票の分析、また制度が必ずしも有効に作用していないことを挙げている。なかなか民 -
Posted by ブクログ
ネタバレ著者の小林良彰氏は国内外の大学で研究を続けている法学博士。現在は慶応大と横国大で政治学と公共政策論を担当。選挙を前に面白そうだと、日経新聞の広告を見て購入。
感想。面白い。時系列で整理してくれる良書。コメントがとても腹に落ちる。
備忘録。
・世論を著者がまとめるに、「政権交代は良かった」が「政権交代で政治が良くなった訳ではない」。
・それは、前回の衆議院選は、民主党が良いというのではなく、自民党には投票したくないという民意によるものだったから。
・エリート民主主義、参加型民主主義
・マスメディアは「強きを助け弱気を挫く」。それが視聴者受けする。小泉を助け安倍を挫く。
・過去に提出された法案 -
Posted by ブクログ
「政権交代するほど良い政治」といわれて行われた九〇年代の政治改革。
その実態は、権力の担い手が変わっても政治が変わらなければ、有権者にとっては意味がないことを「民主党政権の三年間」を例にとって丁寧に記述したもの。本書の焦点は、選挙前に政治家が約束したことが選挙後に国会で遵守しているかどうかにある。その上で、終章でそれまでの記述を著者が得意とする計量分析でまとめている点を評価したい。また、今後、どのような改革を行えば、より良い政治を実現できるのかについて、著者自身の意見を提示している。さらに巻末では、読売、朝日、毎日の調査結果の一覧や民主党や政府の主要役職一覧を掲載し、今後の研究の素材も提供して -
Posted by ブクログ
今となっては空手形の別名扱いの「マニフェスト」だが、理念自体は決して否定されるものでないと思うし、考えてみれば公約のない選挙なんて怖くて参加できるものではない。公約の重要性は民主党政権の未熟さとは明確に切り離して冷静に議論すべき問題なのにと思っていたら、この本で見事に論じられていた。
著者によれば原因は小選挙区制度にある。対立候補が互いに多くの有権者の支持を得ようとして総花的な公約を提示する結果、どの政党も政策が似通ってしまう。そしていざ政権を担当し公約を実行しようとすると、有権者の一方の期待に反する行動を取らざるを得なくなるというもの。
また、有権者の側でも自らの意思が政治に反映されると