谷口桂子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
吉村昭氏が私の読書との大きな出会いと言っても過言ではない。
祖父の家にあった「戦艦武蔵」を中学生の頃に読んで以来、私の蔵書記録の中では断トツの58冊(たぶんそれ以上)を読んでいる。
ちなみに2位は司馬遼太郎氏の27冊。3位は宮脇俊三氏の19冊。
今後の人生においても吉村氏を超える作家に出会うことはないのではないだろうかと思っている。
どの作品も私にとっては読みやすく、氏の書く世界にどっぷり入り込み、歴史の奥深さを知ることができた作品の数々であった。
また、氏のエッセイなどにも書かれていたが人生の流儀、仕事の作法などひと際こだわりの強い作家でもあった。
ファンとして読んでおかなければいけないだろ -
Posted by ブクログ
地方紙の書店員がオススメする本のコーナーで、紹介されていたので読んでみた。 「仕事の流儀から最期の選択まで」とのサブタイトルであるが、日常の作法、仕事の作法、家庭の作法、余暇の作法、人生の作法と五つの章からなっている。
第一章の「毎日の暮らしの中で‐―日常の作法」を読んだだけで、吉村氏の生真面目さ、律義さ、堅実さと合理性が伝わってくる。さらに読みすすめると、堅実さだけではなく、時には賭けに出ることもあったのがわかる。肺の難手術や定職もないのに結婚に踏み切ったことなどだ。
「おわりに」にもあるが、確かに堅実さだけではなく、順調とは言えない状況からの挑戦は、読んでいて勇気を与えてもらった -
Posted by ブクログ
明治生まれ、昭和初期に活躍したアイルランド文学翻訳者の片山廣子の伝記かと思い読んだが、恋愛小説の要素が多く少しがっかりだった。
今ほど海外の情報も女性の教育もそれほどでなかった時代に、いかに高い教養を身につけ、どんな人生を送ったのか。小説は主に芥川との恋愛事情と彼の自死にまつわる心情とか子どもたちとの葛藤とか。彼女の視点なので過剰な美化と批判が多く、正直読み進めるのがしんどかった。このころの価値観ってこんな感じだったのか。
アイルランド文学というまことにニッチな分野のパイオニアで「妖精」という言葉を生み出した人である。もっと評価されてもいいのではと思う。 -
Posted by ブクログ
知り合いに薦められた本は読むことにしよう、と決めたので早速読んだ。
私も田舎から東京に出てきた人だから、共感する部分は沢山あった。「いい自分をみせたい」っていう見栄は誰にでもあるよね。見栄を張ることで前進できる時期もあると思う。
大切なのは、その時期に応じて最重要視することを選べる自分であることなのかな。スケールは小さくても、家族、仕事、自分の学びや楽しみ、全部大事にしたい。「仕事に賭けるから家庭のことは妻(夫)にまかせる」とかして互いに明確な役割分担をし、支えあう生き方もあるし、今までそうして幸せを得てきた人も沢山いるだろう。でも、そのように役割や場所を固定してこれからの時代を生きていく