安本美典のレビュー一覧
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いやはや。痛快まるかじり。科学的立場で、邪馬台国を論じるべきだ。
考古学の中には、いまだに権威者がいう説がまかり通っている。だから、捏造事件も起きるのだという。邪馬台国は、データサイエンスで解けば、明らかに福岡であり、朝倉市周辺なのだという。
著者は、「文章心理学」の研究から始まっている。文章心理学とは、文学作品の文章を統計的に分析し、それによって、文体の特徴と作品の傾向や、作家の性格との関連を調べる。「計量国語学会」があり、文の長さが「対数正規分布」に従うという。このような手法により、『源氏物語』は54帖あるが、最後の『宇治十帖』は、作者が違うという。『宇治十帖』は、和歌の引用が少なく、 -
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ネタバレタイトルに惹かれて購入。邪馬台国が九州にあったのか、それとも畿内にあったのかが長らく議論になっていることはなんとなく知っていたが、それをデータサイエンス的手法で解明できるという主張に興味がわいた。著者は京都大学文学部出身の考古学者。
邪馬台国の問題のみならず考古学的問題の解明には、発掘物を詳細に観察、記述するのみでは十分でなく、それら発掘物の数量、発掘物の記録をできるだけ多く集めそこに統計学的手法を用いて問題を解明する「科学」的方法論が重要であると主張する。
しかし、著者の本当の主張はそこではなく、発掘物を詳細に観察、記述するが、そこから自らの主張(ここでは邪馬台国畿内説)に都合のいい側面 -
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新聞などの報道で畿内説に有利な話が出るたびに違和感を覚えていたその理由が、これを読んで理解できた気がする。
あくまで個人的な肌感覚で九州説か東遷説を推していたところを科学的根拠を述べてくれたというか。
日本の考古学はよくも悪くも文系学問なのかなと感じた。
流石にこの本に書かれているほど、どきっぱり畿内説を否定する気はないし、勇気もない。
読んでいるこちらが驚くほど痛烈に畿内説を切って捨てている。
でも、あれほど数字という根拠でもって九州説を補強できるのは凄い。
読んでいるこちらが理系なので、数字での根拠、誰が計算しても再現できるというその再現性は、つい信じてしまいたくなる。
そう、これは理系 -
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魏志倭人伝の記載内容と各地の出土品を照らし合わせ、邪馬台国は畿内ではなく北部九州にあったとする書籍。説得力があっておもしろいし、順当な推定だと思う。ただ、魏志倭人伝の記載が正しいという前提がどこまで堅固なものなのか疑問が残る。
最近は少しずつ変化しているが、日本の大学では、考古学は文系に属する。だが海外ではより学際的で、日本でいうところの理系に属する例も多い。私の副教官だった日本考古の教授から、文系の君たちに考古学なんてわかりっこない、統計を学べ、とよく叱咤された。ちなみにその先生は、邪馬台国なんてありません、とも言っていた(笑)。
考古学は物を扱う、肉眼観察至上主義だとの指摘は、発掘経験