橋本省二のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
「神の粒子」ヒッグス粒子って何なのさ、ということで何冊か読んでいたのだが、やっと詳しく書いてある本に出会えて、へーそうだったのかと思いつつ読めた。
曰く、ゲージ対称性を破る張本人、ということで、まあ、なんとなく、そういうことだったのか、と理解はできたが、その正体については、まだ新しい粒子だか理論だかがありそうで、まだ続くんかいと思わざるを得なかった。
300ページとそこそこボリュームはありながら、素粒子物理の幕開けから2010年の近況まで超特急で飛ばしてる感はあったが、ブルーバックスらしく?危険なところには踏み込まないで助けられた面も多々あり、なかなか良いバランスの本だなと思った。 -
Posted by ブクログ
ちょうど、LHCの実験でHiggs粒子が見つかったとのニュースがあったので、思わず衝動買いしてしまった。著者はちょうど脂がのった所の素粒子論研究者、これ一冊で素粒子論の大部分を一望出来るというと言い過ぎだろうか。
本書は素粒子が質量を獲得する過程をテーマとしているが、著者も述べている通り、自発的対称性の破れやQCD、それらのもとになっている相対論や量子力学の知識が必要となり、結局内容は多岐にわたってしまうようで、本書も様々な内容から構成されている。
これだけの内容を専門家でない人々に分かりやすく解説するのは大変な苦労だと思うが、専門的な内容で多少「そういうものとする」的なことになるのは仕方ない -
Posted by ブクログ
まさに知りたいことが次々と提示される本。真空におけるカイラル対称性の自発的破れがクォークに質量を生み出すあたりの記述がクライマックス。読んでいて胸が高鳴る。
数学、物理に詳しくなくても、センスさえあれば理解できると思う。南部先生の「クォーク」でもやもやしていた部分がかなりはっきりする。SU群の性質もこの本で概要理解した。
私も質量をもたらすのはヒッグス粒子という単純な認識はなかったが、それは質量の2%に過ぎないという。
・弱い力は左巻きの粒子だけに働く。
・カイラル対象な粒子は、右巻き左巻きを完全に区別できる。したがって光速で走る。
・粒子と反粒子のペアが凝縮した真空の中で、粒子がある種 -
Posted by ブクログ
ネタバレ発行当時、スイスでの超大型の粒子加速器「LHC」の稼動が話題になっていたためか(偶発的にブラックホールが発生する可能性もある、などと騒がれました)、帯や背表紙では「ヒッグス粒子」が宣伝文句として用いられていますが、本書の要旨は題名どおり物質(素粒子)が質量を持つに至った原因を、ノーベル物理学賞受賞者の南部陽一郎氏の理論を主軸としながら解説することにあり、ヒッグス粒子やヒッグス場についての言及は多くありません。
非専門家向け解説書にしては比較的数式が容赦なく使われており、ド文系の私はそういった部分は表面だけなぞって深追いしませんでした。
ちなみに、パウリの排他律の解説(p170)で、筆 -
Posted by ブクログ
質量の起源をテーマに,量子論・素粒子論の概要をやさしく解説。この手の本,よく読むのだが,導入から基本事項の確認までは快調に読んでても,後半ついていけなくなるお決まりのパターン…。無念。
でもなんとなく雰囲気は分かってきたような気がする。要するに質量の起源は,98%が量子色力学の真空に,2%がヒッグス機構による,ということらしい。素粒子論では真空が重要で,素粒子が沈澱(凝縮)する真空における,自発的対称性の破れが質量をもたらすというのが南部理論。
収穫だったのが,今まで何だかよくわからなかったスピンについて。シュレディンガー方程式を,特殊相対論を考慮して修正したのがクラインーゴルドン方程式 -
Posted by ブクログ
この手のタイトルの本にはいつも惹かれる。それが根源的な内容を扱うほど。
本書はまさに質量の起源という世界の根本的なところに迫るものだ。
科学者、物理学者が究極の統一理論に迫ろうとする欲求も、そういったある種哲学的な問題の引力に惹かれる質量なのかもしれない。
世界の根源がシンプルで美しくあって欲しい、そうあるべきだという思いは世界共通だろう。しかし、本書を読んで分かるように、迫れば迫るほど、新たな事実が生まれ複雑に絡み合おうとする。
質量の起源に迫るために、素粒子論の先端を駆け抜け、クォーク、量子色力学、ゲージ理論、場の量子化、などなど次々に難しい概念が出てくる。
それらを科学者でない我々が理 -
Posted by ブクログ
「なんで空は青いのだろうか?」と疑問をもって自ら調べるような人でも、「なんで綿菓子はボールより軽いのだろうか?」とは調べない。誰もが重さについてわかっている気になっていて、質量が重力を持っていることなんて教わらなければ気付くはずもないだろう。
なぜ地球は縄もなく月を引っ張れるのか、どうやって自分の体重はわずかながらも地球を引っ張っているのか。質量がどのようにして生まれるのかが分かれば、その答えに近づけるかと思い本書を手にとったが、ますますわからなくなった。もう何度こうして素粒子物理学の壁に阻まれたことだろうか。
クォークまではなんとか理解できた気になった次の瞬間に、『質量ゼロだったクォークが -
Posted by ブクログ
いや、スピンが1/2とか、カラー、とか、ストレンジとかよくわからないですよねみなさん。この本はかなりこのあたりのことをうまくわかった気にさせることに成功してる。最先端の学問は、分かっていないことに深入りすると特に素人には全くわからないし聞きたくもないということになるのでサイエンスライターはどこまでを書くかを決めるかが勝負なんだと思うんだけど、南部さんの受賞ともつながってうまくそこら辺までは読みやすくなってる。最後の方で、まあわからないことだらけなので尻切れトンボとなるのだが、たぶんこれは現在まで書きすぎちゃったのでそうなったのかと思う。自分の生きている間には誰も解明しそうにない仕組みが世の中に