業田良家のレビュー一覧
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【人の在り方を見せつけるロボット達の悲しい物語】
皆さん、今週末は壮大なテーマを優しい描写で包み込んだ作品
を大切な方と一緒に読んで、もう一度お互いの愛情を再確認して
みませんか??
そんな今回は福岡県が誇る人情漫画家の業田良家氏の傑作、
『機械仕掛けの愛』をご紹介します。
この作品の主人公は表題通り機械であるロボットをメインに
据えながら、そんな彼らが活躍する近未来の世界感を背景に
人間の切なさ、愚かしさ、そして深い愛情を淡々とした描写
で書き連ねているのが特徴になっています。
上記に加え短編集であるが故にストーリーが凝縮されており、
特徴的な描画を全面に押し出す事で暖かい雰囲気を醸 -
Posted by ブクログ
作中で繰り返されるスローガン、「悲劇、排除されるべし。」
怖ろしい言葉です。
何が怖ろしいって、自分が生きている現実の社会においても、いたる所からこの言葉が聞こえてくるところ。
老いているよりも若い方がいい。醜いよりも美しい方がいい。
生活習慣を改めなさい。病気になりたいんですか?死にたくはないでしょう?
人に迷惑をかけてはいけません。空気を読みましょう。
なぜ私がこんな目に。不当な扱いは許せない。私には権利がある。
苦しい事、不条理、ネガティブなものを徹底的に駆逐した社会は、斯くも歪なのか(「悲劇排除システム1~3」)。
いやそりゃ私だって苦しかったり不条理な目に遭うのはイヤですけど、 -
Posted by ブクログ
第1話の「ペットロボ」でいきなりやられた。この切なさは反則だ。
「ロボット小雪」を読んだ時も感じたやるせなさ。
人間の、人間たる所以を、ロボットと対比してみせることで明確にしてる。
「ロボットが心を持ったら」という設定は、アトムを生み出した日本人だから思いつくんだろうか。
部屋を掃除してまわるルンバにすら、心を想定してしまう。
なぜ人間にはできないのだろう。小雪がしたようなことが。ペットロボがしたようなことが。介護ロボが、執事ロボが、神父ロボがしたようなことが、どうして人間にはできないのだろう。
崇高さと卑小さ、矮小さが同居するのが人間なのだろう。そして、崇高さはたやすく卑小さに負けてしま -
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ネタバレ結局日本がどんな国になったか、そこは明かされないまま終了したけどこれでいいと思う。
あとは読者が想像を自由に想像をふくらませていいということだろう。
伊藤博文や大隈重信の銅像が動き出して説教するシーンやテレビ局をまるごと買い取って政治腐敗を全部ぶちまけちゃうシーンがすごく楽しかった分、最後の国民がたくさん国会に押し寄せてきて、源さんを車で撥ねた後で暴行を加えているシーンには戦慄した。
民主主義の名のもとに「独裁者は死ね」と言いながら一人の人間を大勢で殺しにかかるという、未遂に終わったとはいえ恐ろしいことこの上ない。
政治家は聖職であり、国民は倫理観をきちんと持っているべきである。
そういった理 -
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ネタバレ政治を扱ったマンガなのになぜサブタイトルに『童話』ってついてるんだろう?というのが最初まず疑問に思ったところだったが、読んでいるうちに納得した。
主人公の源さんはステテコ姿で登院するわ、5人の女性と重婚するという犯罪を犯してるわで現実味がないのだ。
マンガでしか、童話のような世界でしかあり得ない設定だ。
だがこの人はまじめに『世直し』を考えているので、誰よりも真摯に日本のために政治をしようと呼びかけるのである。
他の人物たちも現実世界のどこかで見たことあるようなセコイ議員ばっかりであるだけに、この古臭いオヤジがより輝いて見えるというマジックがしかけられているのが痛快。
国会議員性根叩き直し法案 -
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きっと本棚から神様が呼んだんだと思う。
「関係あれ!」って。
すごいへっぽこな外見の神様と妙に現実主義的なアンジェラ。
神様が人間の世界にやってくる、という設定は「聖☆おにいさん」に似てなくもないが、業田さんの描く神様は、ストレートに神様である。でも地球上にいるときは生身の体(ロボットのような頭部だけど)なので、わかりやすい奇跡は起こせない。にもかかわらず、「関係する」ということで小さな奇跡を巻き起こしていくのだ。
何も解決しないし、人類の問題は言い尽くされたものだし、「人間を滅ぼして地球を救うべき」という議論はドラえもんにも出てくるテーマである。
神様は、世界じゅうのあちこちでつくりあげた「