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この格差という社会のシステムは人間を幸せにするのか?純粋な感情を持ったロボット小雪を通して描く衝撃の未来像(ものがたり)、鬼才・業田良家がこの国の未来を描いてしまった!!
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Posted by ブクログ
舞台は近未来で、その世界は格差社会。その世界で、主人公であるロボットが人間の気持ちを持ってしまう漫画。基本的には、4コマで淡々と物語りは進んでいくのだが、主人公が人間の持つ感情に気づいてしまったときとか、4コマという表現の限界まで到達しているんじゃないかと思うぐらいグッときます。ちょっと左翼っぽいの...続きを読むですが、それもこの漫画さんの魅力です。
『自虐の詩』同様、序盤はたいして笑えるでもないギャグ漫画なのに、いつの間にやら引き込まれ、序盤の内容が後半に効いてくるお見事な構成。テーマとしてはSFにありがちなものではあるけれど、視点が確かだから間違いない。左寄りな理想論が展開されて、いい話だけどどうなんだろうと読み進めると、安易な結論には持って...続きを読むいかずそこからさらに問題提議がされる。深かったです。
またしても業田さんの漫画で涙してしまった。 心を持ってしまった「モノ」という点で、「ゴーダ哲学堂」の空気人形にも似た悲しさがある。 駄目ロボット小雪と持ち主(彼氏?)拓郎との緩やかな関係性に癒される。(あ、でも拓郎くんは隙あらば他のロボットを買い換えようとしてる) 前半のコミカルな印象とは裏腹に、...続きを読む後半はシビアな社会システムを描き出していて、驚く。
傑作『自虐の詩』から幾年かを経て、再び同名を冠した作品。 これまでも『ゴーダ哲学堂』というシリーズの中で人間に使役するロボットをモチーフとした短編を何篇も発表しているが、『自虐の詩』同様の形式でギャグ四コマから怒涛のストーリーが展開されている。
コミックだけどもう哲学だと思う。 最初はばかっぽくて笑えてたのに、最後には号泣してしまう。 自虐の詩のときも同じだったな~ なにより絵がかわいいな~。こんなかわいい女の子かけるのかよ!ってすごくびっくり。 あと個人的には手の書き方がすきです。
内容は大分違っていますが、名作「自虐の詩」の名を関するからには、読まずにはいられません。 前半を読んでいる時はどうしようかと思いましたが、後半は業田良家節全開で良かったです。 富を作り出す3つの方法の件や、P181の「火の鳥未来編」を彷彿とさせる結論は流石。 80点。
第一話目を読んであの結末は想像できない。まさかの展開に打ちのめされた。業田義家独特の冷静な人間への視点も胸に刺さる。
近未来設定なのか、ロボットが人間の世界に当然存在している世界。家族の一人一人にロボットの恋人がいたりする世界を書いている。主人公は男子高校生で主人公の恋人ロボットが小雪。 タイトルに「新・自虐の詩」とあるが、「自虐の詩」には、あまり似ていない。「自虐の詩」はどちらかというと当初の設定から大きくはみ...続きを読むだし、登場人物たちが勝手に命を持ち、自立的に動きだし、筆者も読者も思ってもみなかった展開に発展し、人間関係の深みを見せつつ結果、ダイナミックな人生ドラマとなる感動があったが、この漫画はどちらかというと筆者が天からの視点で思想先行で描いた印象がある。 志向としてはあまりギャグにこだわりもなく、四コマというよりも普通のストーリー漫画(死語?)に近いような運び方になっている。 現代の社会問題(格差社会やAI等の最新技術が人間とどのように折り合いをつけていくのか)という深いテーマを取り扱っている。 ロボットが人間の心を持って、という展開はSF等でもよくある展開だろう。 ロボットの進化により、人間が無力になっていき、ロボットが人間の心まで、崇高な心まで持ってしまった時。 主人公の母親(ロボット小雪を作成した人)が最後の方に言う「邪悪な心を持ったロボットであれば人間はそれと戦うことができる。でも本当に美しい心を持ったロボットだったら、人間はロボットに従うしかなくなる。その時人間はいらなくなる。人間はいらなくなるよ」 このセリフは筆者の逆説的なメッセージだと思う。 私はこのストーリーから、ロボットが美しい心をもった場合、人間がどんなにすさんで、美しい心を持てない状態だったとしても、そのロボットのおかげで、人間は良い方向に向かえるようになるのではないかと思う。その意味で「人間はいらなくなる」ということはない。 なので、このメッセージは逆説として出されているセリフであり、人間を肯定している力強いメッセージなのだと思う。 メッセージ性としては良いなと思うものの、ストーリーの為に、登場人物たちが駒のように動いてしまっている印象があり、「自虐の詩」の立体的な人間関係、人間としての凄みとそこからの感動を期待していただけに 少し絵空事のような感触を感じてしまった。
最終的に人を人たらしめる決定要因は「心」呼ばれているあいまいとこで、そこを創れるようになってしまうと人はいらないのかな。
[掲載]2008年8月24日 [評者]山脇麻生 人が人型の恋人ロボットと同居する近未来。どこか変だけれど、実現しそうにも思える世界を生きる高校生・拓郎が所有しているロボット小雪は、洗濯物もロクにたためない旧型。だけど、失敗を温かく受け止めてくれる人々と共に、楽しい日々を送っている。 物語の前...続きを読む半に描かれているのは、平穏な日常だが、しばしば挿入される“向こう岸の街”のエピソードは、「平和の裏側で、何かヤバイことが起こっている」と読者の背中にゾゾゾとしたものを這(は)い登らせる。 物語の後半、拓郎の友人一家が向こう岸に行くことを余儀なくされるのをきっかけに、小雪に大きな変化が現れ始める。強い感情を持ち、事実を繋(つな)げて思索し、行動し始めるのだ。小雪の覚醒(かくせい)と同時に描かれるのは、向こう岸の現実。そこは、格差が進んだ社会の底辺で、救いようのない貧困が、人から理性さえ剥(は)ぎ取っていた。その事実を自らの目で確かめた小雪は、一部の人間に富が集中しているこの国の管理・運営に問題があると気づき、ある主張をするのだが――。 もちろん、純粋にストーリーだけ追っても十分楽しめる作品だが、現代社会への警鐘や、人が犯してきた諸々(もろもろ)の過ちや悪習に対する批判とも取れ、読むたびに印象が変わる。ひとつ確実に言えるのは、矛盾だらけの「今」を、4コマという最小の表現手段で、これほどビビッドに描いた作品は他にないということだ。
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