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Posted by ブクログ
近未来設定なのか、ロボットが人間の世界に当然存在している世界。家族の一人一人にロボットの恋人がいたりする世界を書いている。主人公は男子高校生で主人公の恋人ロボットが小雪。
タイトルに「新・自虐の詩」とあるが、「自虐の詩」には、あまり似ていない。「自虐の詩」はどちらかというと当初の設定から大きくはみだし、登場人物たちが勝手に命を持ち、自立的に動きだし、筆者も読者も思ってもみなかった展開に発展し、人間関係の深みを見せつつ結果、ダイナミックな人生ドラマとなる感動があったが、この漫画はどちらかというと筆者が天からの視点で思想先行で描いた印象がある。
志向としてはあまりギャグにこだわりもなく、四コマというよりも普通のストーリー漫画(死語?)に近いような運び方になっている。
現代の社会問題(格差社会やAI等の最新技術が人間とどのように折り合いをつけていくのか)という深いテーマを取り扱っている。
ロボットが人間の心を持って、という展開はSF等でもよくある展開だろう。
ロボットの進化により、人間が無力になっていき、ロボットが人間の心まで、崇高な心まで持ってしまった時。
主人公の母親(ロボット小雪を作成した人)が最後の方に言う「邪悪な心を持ったロボットであれば人間はそれと戦うことができる。でも本当に美しい心を持ったロボットだったら、人間はロボットに従うしかなくなる。その時人間はいらなくなる。人間はいらなくなるよ」
このセリフは筆者の逆説的なメッセージだと思う。
私はこのストーリーから、ロボットが美しい心をもった場合、人間がどんなにすさんで、美しい心を持てない状態だったとしても、そのロボットのおかげで、人間は良い方向に向かえるようになるのではないかと思う。その意味で「人間はいらなくなる」ということはない。
なので、このメッセージは逆説として出されているセリフであり、人間を肯定している力強いメッセージなのだと思う。
メッセージ性としては良いなと思うものの、ストーリーの為に、登場人物たちが駒のように動いてしまっている印象があり、「自虐の詩」の立体的な人間関係、人間としての凄みとそこからの感動を期待していただけに
少し絵空事のような感触を感じてしまった。
Posted by ブクログ
[掲載]2008年8月24日
[評者]山脇麻生
人が人型の恋人ロボットと同居する近未来。どこか変だけれど、実現しそうにも思える世界を生きる高校生・拓郎が所有しているロボット小雪は、洗濯物もロクにたためない旧型。だけど、失敗を温かく受け止めてくれる人々と共に、楽しい日々を送っている。
物語の前半に描かれているのは、平穏な日常だが、しばしば挿入される“向こう岸の街”のエピソードは、「平和の裏側で、何かヤバイことが起こっている」と読者の背中にゾゾゾとしたものを這(は)い登らせる。
物語の後半、拓郎の友人一家が向こう岸に行くことを余儀なくされるのをきっかけに、小雪に大きな変化が現れ始める。強い感情を持ち、事実を繋(つな)げて思索し、行動し始めるのだ。小雪の覚醒(かくせい)と同時に描かれるのは、向こう岸の現実。そこは、格差が進んだ社会の底辺で、救いようのない貧困が、人から理性さえ剥(は)ぎ取っていた。その事実を自らの目で確かめた小雪は、一部の人間に富が集中しているこの国の管理・運営に問題があると気づき、ある主張をするのだが――。
もちろん、純粋にストーリーだけ追っても十分楽しめる作品だが、現代社会への警鐘や、人が犯してきた諸々(もろもろ)の過ちや悪習に対する批判とも取れ、読むたびに印象が変わる。ひとつ確実に言えるのは、矛盾だらけの「今」を、4コマという最小の表現手段で、これほどビビッドに描いた作品は他にないということだ。
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