あの歴史上知らぬ人がいない楊貴妃さんが、ライチ好きだったのはわりと知られた話なのだが、そういえばライチは腐りやすく、蜜漬けならともかくどうやって生を食べたのだろう??という謎に迫った作品。
私が清のドラマを見た時は別の方法だったし、そっちで正解なのでは?と今でも思っているが、ドラマティックさでいえば本書ほどドラマティックな運び方はない。
それにしても、日本人でも生ライチが食べられる現代は贅沢だなぁと思う。
李善徳は家のローンを組んだばかりだった。職場に戻ると、ライチの蜜煮を皇帝が食べたがっているので無事に取り寄せるようにとの詔勅が下る。だが詔勅には細工がしてあって、蜜煮ではなく、生ライチを取り寄せよと書いてあったのだ。まんまと受け取ってしまった李善徳は頭を抱える。生ライチは足が早いのだ。かなり不可能に近い勅命だった。
まず李善徳はお金を手に入れると、馬や旅に必要なものを購入して、残りのお金を家族に渡した。任務の旅の間は駅が使えるので、食費や宿代はタダなのだ。彼は馬に無理させると使えなくなることを知らなかった。途中で騾馬に買い替えなければならなくなった。ようやく広州につくのに1ヶ月かかった。
役所に行って詔勅を見せたら、そんなのは偽物だと殴る蹴るの暴行を受けたが、本物とわかり、通行手形を出してくれたはいいが、肝心のお金はくれない。困ってると、商人がやってきて、通行手形と引き換えにお金をくれると1000貫近くを融通してくれた。李善徳は4つの行路を使い、三月紅という早く熟すタイプのライチを使って、どの行路でどこまで行けるのか、実証実験する。お金はあっという間になくなった。通行手形をあと5枚持ってきたらまたお金を融通してくれるというので手に入れる。その際奴をひとりつけてくれた。政府からのスパイでもある。広州の役人が考えることには、もし李善徳が成功した場合は、今まで生のライチを送れなかったことが怠惰の結果だとみなされてしまう。
4つの行路のうち2つが残る。成功するかはわからなかったが、もう実験しているだけの費用も時間もない。最後はうまくいくことを祈念して、ライチとともに命をかけて皇帝に出頭するしかないのだ。ところがいろいろな災難が待ち受けていたのだった。