池田智恵のレビュー一覧

  • 長安のライチ

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    【長安のライチ】 馬 伯庸 著

     「6月1日の楊貴妃の誕生日に、嶺南(広東省)の新鮮なライチを、長安(西安)まで運び献上せよ」という「命」を受けた下級役人(できなければ「死」)。これをどう遂行するかを書いた中国版“ミッション・インポッシブル”。すでに映画化されているようですが、まさに映画に打ってつけの内容です。

     「楊貴妃の何気ない一言から始まり、そして楊貴妃の一つの笑みで終わった」のですが、この二つの間に、どれほど多くの人の辛苦があるかを描いています。著者はパンデミックのときに、「決算! 忠臣蔵」「殿、利息でござる!」などの日本映画で下級役人から見た歴史を知り、その後、皇帝がライチを楊貴

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    2026年07月04日
  • 長安のライチ

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    『西遊記事変』の“お仕事小説味”+『両京十五日』の“決死行味”をミックスした味わい(なんだそれ)。面白いし読みやすい。

    唐の玄宗皇帝の天宝14年(755)2月。長安の下級官吏・李善徳は途轍もない仕事を押し付けられる。楊貴妃の誕生日6月1日に嶺南産の茘枝を長安に届けろというのだ。その距離2500km!生の茘枝は3日で腐るという。絶対に不可能な使命に李善徳が取った行動とは…。

    著者は「後書き」に、インスピレーションを得た日本の映画を幾つか挙げています。確かに“社畜”とか“官僚主義の不合理さ”など、現代と相通じるものを感じます。
    ましてや現代の“かの国”では、ここで描かれた以上に“官僚機構の理不

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    2026年06月10日
  • 長安のライチ

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    ライチ!
    漢字で書くと茘枝!
    R-1グランプリ2025優勝!それはライパチ(最近こんなん多いぞひまわりめろん)

    そして楊貴妃!
    世界三大美女のひとりです
    そしてライチ大好き!
    そんな楊貴妃の誕生日に玄宗皇帝が新鮮なライチをプレゼントしようと思い立ったのが物語の始まりでございます

    だがしかーし

    ライチは南国の果物
    楊貴妃が住む長安からはそりゃもう遠いのよ
    しかもライチは三日で腐るという代物
    最適解は冷凍して空輸
    よし解決

    なわけあるかーい!
    冷凍も飛行機も影も形もない時代の話だわ!( ゚д゚ )クワッ!!

    そして冷凍庫も空輸もない時代にこのとんでもない命令を受けた小役人の奮闘の物語なの

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    2026年05月19日
  • 長安のライチ

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    生のライチを楊貴妃が好きだという話は有名だ。でもそれにはライチの新鮮さを保ったまま南の産地から長安へ届けるというドラマがあったはずだ。それを馬伯庸が描いた。素晴らしい。主人公の頭の良さと心の素晴らしさ日本拍手。「自分が大切と思うものを守るためなら、命を投げ出しても立ち向かう」。次から次に起こる難題を必死に解決していく。難なく解決するのではなく、なんとかかんとか解決していくのがいい。
    楊国忠の「手続きというものは、弱者だけが従う規則だ」はさもありなん。しかし高をその上手の人物という設定はどうなのか。

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    2026年04月16日
  • 長安のライチ

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    長安の下級官吏・李善徳が、楊貴妃の誕生を祝う宴に合わせて、妃の大好物である「荔枝鮮(生のライチ)」を2500km離れた嶺南から届ける羽目になり、権力、官僚組織に翻弄されながらミッションを遂行する話。次々と降りかかる難題を客観的事実の集積と唯一の能力である算額で乗り越えていく。本の帯にあるようにまさに「超高速不可能任務エンタメ」。
    歴史と論理を違和感なく物語に入れ込んでおり、一気に読めた。

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    2026年04月15日
  • 長安のライチ

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    あの歴史上知らぬ人がいない楊貴妃さんが、ライチ好きだったのはわりと知られた話なのだが、そういえばライチは腐りやすく、蜜漬けならともかくどうやって生を食べたのだろう??という謎に迫った作品。
    私が清のドラマを見た時は別の方法だったし、そっちで正解なのでは?と今でも思っているが、ドラマティックさでいえば本書ほどドラマティックな運び方はない。
    それにしても、日本人でも生ライチが食べられる現代は贅沢だなぁと思う。

    李善徳は家のローンを組んだばかりだった。職場に戻ると、ライチの蜜煮を皇帝が食べたがっているので無事に取り寄せるようにとの詔勅が下る。だが詔勅には細工がしてあって、蜜煮ではなく、生ライチを取

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    2026年04月02日
  • 長安のライチ

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    この作家の作品を初めて読んだが、なかなかに面白い小説であった。
    才能をドンドン発揮してもらいたいが、中国では近現代を題材にするのは難しいだろうなぁ。

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    2026年07月17日
  • 長安のライチ

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    映画版をとても面白く観させてもらったので、原作はどんな感じなんだろうと読んでみれば、こちらもサクサクとリズム感良く楽しく読めた、エンタメ社畜ドラマ(!?)でした。

    映画でおおよその筋が頭に入っているという前提はあるにせよ、真摯でまっすぐな主人公の善徳の辿っていく悲喜こもごものライチを長安に届ける道程を、時に笑い時に泣き、そして終盤は悔しさと切なさを帯びつつも並走できました。無駄のないさっくりした文体と、漢詩や格言も練り込んだ言い回しの軽やかさもとても良かったです。作者の別作品も読んでみたくなりました。

    映画とは筋書きは細かくは違いますし、蘇諒との顛末はちょっと切なさが残りましたが、それだけ

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    2026年07月16日
  • 長安のライチ

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    生ライチを長安に輸送するという、ミッション・インポッシブルを押し付けられた社畜の奮闘記からの社畜ライマックスかと思いきや、それだけでは収まらない巨大な権力構造に呑まれる庶民の悲喜こもごもが見事でした。

    なんだかライチが食べたくなってきた。

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    2026年07月03日
  • 長安のライチ

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    どの時代でも、どこの国でも無理難題を押し付けられるのは下っ端。それでもなんとか問題をクリアしていくのは仕事にプライドと誇りを持っているからなのだろう。
    「歴史は誰かのお疲れ様でできている」歴史学を学んだ末の真理です。

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    2026年06月14日
  • 長安のライチ

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    ネタバレ

    たまたま手に取りましたが、面白かった。
    ライチの運搬方法が見つかった、と楊国忠に渡りをつけてこのまま無事に終わるのか?と思ったけれど、残りのページ数が多すぎた。
    いろんなハプニングがありつつ、最後はなんだか気の抜けてしまうような落ちで、主人公本当にお疲れ様、という感じでした。
    あまりにもブラックな上司と会社に振り回されてる感じ、一緒に頑張った仲間に報いることができない悔しさとか、それでも分かってくれる家族とか、、
    映画もはどんな感じになるのか楽しみ。

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    2026年05月29日
  • 長安のライチ

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    念願のマイホームを長安に得た主人公が嵌められたのは実現不可能な案件。長年可もなく不可もなく、ただこのまま出る杭ともならずにローンを返すためだけの人生を思い描いていたところに舞い込んだ任務。当初楽な仕事と思っていたのに嵌められた事に気づいた時には時遅し。なんと数ヶ月後には首と胴が離れる予定が立ってしまう。
    中国の唐を舞台にした新鮮なライチを長安まで運ぶプロジェクト。唐でライチならいわずとも舞台に上がるべき役者は決まっている。しかし、そんな大物の影を感じつつも話はヒラ官吏の目線から下っ端の苦悩や切なさと共に語られて行く。実現不可能なプロジェクトを前にして家のローンと残されることになる家族を背水とし

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    2026年05月01日
  • 長安のライチ

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    「両京十五日」の馬先生の本ということで手に取りました。楊貴妃に生のライチをお届けするプロジェクトX小説とのこと。

    読み終わった感想は、そうきたかー。って感じでした。もっと爽快痛快な時代劇を想像していたので、唐の官僚たちのドロドロとした足の引っ張り合いに嫌悪感すら感じました。でも、中国の作家さんが描かれたくらいだから、実際もこんな感じだったのでしょう。勧善懲悪の世界線ではないんですね。

    あと、他の著作を読んだ時にも感じましたが、中国の地理や歴史に関する知識がもっとあれば、より楽しめたかなーと思いました。日本人としては平均以上の理解があると思うんですが、中国を母国としている方たちのレベルには遠

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    2026年08月25日
  • 長安のライチ

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    唐の時代、生のライチを遠方から都まで届けなくてはならなくなった役人の話。

    数学が得意な役人である主人公が、プロジェクトXばりに試行錯誤を繰り返し、遥か長安までライチを届けようとする過程が面白かった。無理なプロジェクトを任されたときの感覚がフラッシュバックする人は多いかも。。
    また、一見頼りなさそうな主人公が義を重んじるところも良かったし、彼が自分ではどうしようもない力によって不義理を欠かされる描写は、その分つらいものがあった。大円団とまではいかずとも、最後は救いのある終わり方で良かった。

    基本的にコミカルな筆致で書かれているが、それでも中国文化の奥深さを感じられた。史記からの引用も分からな

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    2026年08月19日
  • 長安のライチ

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    池澤春菜さんが出版区でおすすめされていた本。

    中国の翻訳本を読むことがあまりないけれど、文字が大きくて安心。
    人物や地名、名称が中国なので、翻訳文学としてのとっつきにくさはやはりあるものの、かなりリーダビリティがあり読みやすい。

    中国の社畜の話、という前評判の通り。
    社畜ではないけど、会社員というか組織で働いたことのある人には刺さりそう。

    あらすじとしては、唐の時代の話。楊貴妃がライチを好きだったという逸話があるが、作中でも生のライチを食べたいという。しかも産地指定。
    ライチは取ってから3日しか持たない。でも長安までは2500km、どう頑張っても間に合わない。
    試行錯誤しながら、どうにか

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    2026年08月17日
  • 長安のライチ

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    あとがきにあるように、「超高速!参勤交代」に影響を受けたのが匂ってくる。ビジュアルとしてはちょっとユーモラスなところも含めて初期のジャッキー・チェン作品を思い起こされた。ユーモラスな部分がありつつ、ラストを含めシリアスになるのだが、バランス面で違和感を感じる。中国作品ということもあり、文化の違いなのだろうか。

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    2026年08月16日
  • 長安のライチ

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    中国のエンタメ作家、馬伯庸の最新作。

    あとがきを読むと、この本への訳者の強い思いが伝わってきました。

    長安の小役人、李善徳が楊貴妃の誕生日に生の茘枝を届けるという役目を担います。茘枝は3日目で味が変わるのに、産地の嶺南から長安までは2,500㎞。どう考えても不可能な状況をどう乗り越えるのか…という小説でした。

    李善徳が得意な計算を駆使し、権力と向き合いながらなんとかしようと奔走する様子が楽しめました。

    小説の最後で、今年実ったなかでいちばん大きな茘枝を食べたのは誰だったのか?
    気になる方は、ぜひこの本を読んでみてください。



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    2026年04月28日
  • 長安のライチ

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    「両京十五日」は、展開が読めなくてハラハラしながら楽しめたが、こちらはそんなに意外性もなく、たぶん映画で観た方が面白い気がする
    訳がこなれていない感じの部分も多く、ちょいちょい物語の内容以外のところで引っかかってしまった
    趙辛民の話し方とか、もう少しどうにかならなかったのかな…

    (図)

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    2026年04月07日
  • 長安のライチ

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    ネタバレ

    『両金十五日』は楽しく読めたが、エンタメというにはひたすら気の毒で辛かった。

    生のライチは冷凍ものとは全く違ってそれはそれは美味しく、一年のうちでも一瞬しか食べられないのでぜひ!
    という言葉に乗せられて、かなり前に台湾から生ライチを取り寄せたことがあったなぁ。(今は普通に流通しているのかも。)

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    2026年04月04日