平石さなぎのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
おもしろかった…!!最初の方は、なんだかんだ最後は2人とも自分の運命に逆らえず、折り合いをつけながら元の場所に戻るのかな…とぼんやり予想していたのですが、クライマックスの癒知とクミが2人でいる時のパワーはそんなもんじゃなかった!とことん抗いまくって、読んでるこちらも手に汗握りながら、がんばれ!がんばれ!と心の中で叫び続けていました。
クミもかわいそうだが、癒知の境遇がひどすぎる。教団の中のシーンは胸くそ悪いことばかりです。大人が自分たちの幸せのために子どもが子どもらしくいることを禁じるなんてあってはならないことです。信仰と言えば何でも許されるのは間違ってる。
2人の母は本当に情けない。癒知の母の娘への態度は事情を知れば気持ちもわからなくもないし、これが彼女が信じる最大限の愛情なのだろう。でも癒知が今明らかに幸せでないのは直視すべきで、自分の考えは正しいのだろうかと悩むことを放棄して信仰を理由に思考停止しているし、なにより娘の友達への気持ちを大事にせず、クミの家庭にしたことは絶対に許されない。クミの母も最後最悪だった。娘に言う事がそれかよ、娘を何だと思ってるんだ!と殴りたい気分でした。
ラスト、ここで終わっちゃうの?!と思ったが、確かにここが2人のピークで、このあとは辛い現実なのだろうと思うと、ここで終わるのが一番いいのかなとも思う。でも2人には幸せになってほしくて、それを読みたいと心から思いました。
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Posted by ブクログ
新興宗教の教祖が死んだのち〈生まれ変わり〉として全国で7人の少年少女が降り子(おりこ)として定められた。そのうちの一人、吉沢癒知は現在小学4年生。施設のすぐそばに父親の仕事の都合で転校を頻繁にする渡来クミが越して来た。癒知は最初、他の同級生と同じように拒絶し常識外の反応(他の同級生とも、絡むと揉める)をしたが二人はやがて親しくなっていく。クミの母は建築士としてキャリアを積んでいたが夫と度重なる移転をする中で職を失い自分をも見失っていた。そして精神的に支えるべき夫との心の距離もできていて、癒知の母の誘いはクミの母の心に染みていく。そんな中、たかが10歳の二人はお互いの運命に逆らう手段がなく… 。
先に読んだ娘の評価が低かったので期待せず読んだら心動かされる本でした。癒知は降り子として、過度の食事節制と意に沿わない性的な接触を強いられており、令和なら児相で保護可能か?担当次第では連れ戻されるか?など考えながら読みました。多分、子ども目線で読むとすごく苦しい本なんだと思います。私は、後半は二人を応援しながら、きっとこの後何かいい方向に行ったはず、と願いつつ読みました。
性的な発言が夫婦間で行われたりするのと、虐待じみた扱いや宗教施設内での監禁事例など表現ありで、小学校では学校により配架が検討ラインの本だと思います。基本的には読ませても大丈夫な内容ですがルビなどはなく、中学校以上向けの本です。 -
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未来は、自分たちの手で掴め!
初めての平石さなぎさん。SNSのインフルエンサーで紹介されていました。
新興宗教団体・荻堂創流会の降り子(創父さまの魂が宿ってる子ども)である癒知(ゆち)とクミの友情物語。
新興宗教に関わる子どもの物語は何冊か読んでいるが、晴れた気持ちのいい終わり方をした物語は初めて。
いや「まだ続くでしょ?」と思ったし。
他の家族が感じる「しあわせ」とは何かを、常に探しているように感じた。
特に癒知は、ただただ狭い空間の中でしか生きていなかった。
「ずっとこのままで良いのか」そう感じた時に出会う人は一生モン。
クミに出会わなければ、ずっと大人たちの成すがまま利用されていたのだろうか。
何もない空っぽの癒知。そう思うと背中が凍る。
癒知の心を開き彼女の新しい世界へと、クミの存在はまさに出会って然るべき存在。
もちろんクミも同じ。それが嬉しくもあり、彼女らの未来を応援したくなった。
彼女たちが向かう道が、誰にでも邪魔されない明るく輝く未来でありますように。
すごく面白かったです。 -
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主人公は小学4年生の二人の女の子。
クミの母は一級建築士として働き充実していたが、夫の転勤で仕事を辞めて転勤生活になることをきっかけにうつ状態になったのか部屋で引きこもり生活を送っている。
癒知は新興宗教の「降り子」として、教祖のような役割をさせられている。
そんな二人が出会って・・という話。
湊かなえの「暁星」も宗教2世のことをテーマとする話題作だったが、この小説も宗教に巻き込まれる子どもたちという視点では「暁星」にも劣らない小説だったのではないか。
文体はやさしいが、臨場感に富み、ラストシーンはハラハラした。
「(大人は)つよいくせに。なんでも持っているくせに。いざとなれば、自分の足でどこまでも逃げられるくせに。」(本文)
逆に言うと(子どもは)弱い。なにももっていない。いざとなっても自分の足でどこまでも逃げられない。
だから「おとなはこどもをなめている。」
そんな、大人に対する「怒り」や「悔しさ」が特に後半、顕著になる。
「大人の都合」に巻き込まれるのが昔から「子ども」だった。有無を言わさず巻き込まれるのが「子どもの宿命」、その理不尽さ、その哀しさ・・
その「子ども」を子どもの視点から描き切った本作は、賞を取るにふさわしい作品だと思った。 -
Posted by ブクログ
すごい!!すごい!!すごい!!!
こんな素晴らしい小説に出会えたのはいつ以来?
いや、初めてかもしれない!
青春?てほど成熟してないけど確かに誰の中にも存在してた(ような)幼く甘く熱い(!)時代を思わせ、憧れさせるような見事な文章とストーリーでした!
面白い物語って、読み終わるのがもったいないなあと感じながら読み進めるのがいつもの私なのですが、かこの小説はとにかくぐいぐいとペダルを漕ぐように、先へ、先へ、と気持ちが先走りました。
癒知とクミの行動や会話もとっても良いのですが、この小説はとにかくセリフ以外の部分がすごく魅力的です。隅から隅まで、その表現がめちゃくちゃ良い!
「夏に狂ってしまった並木が、緑をもくもくとさせて空を隠していた」
「目尻がにゅっと歪む。下唇が上唇を呑みこみながら盛り上がった」
とか、とか。
こんなもんじゃないくらい隅から隅まで。
ああ、なんかもう、好き。
冒頭からラストまで、小さなふたりの狭い世界の話なのに壮大なSF映画か冒険かアクションか、いや友情と恋愛物語か?そんな感じ。
最後の最後、滑り台での癒知からクミへの言葉、涙、涙でした。
そしてラスト、これは過去でもなく未来でもなく、今、この瞬間を全力で生きてる二人だからこそ、この終わり方なんだと思う。
この本を選んでよかった!最高でした! -
Posted by ブクログ
『第三十八回小説すばる新人賞受賞作』
めっっちゃよかった!!
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小学4年生の吉沢癒知は、所謂 「宗教二世」。創夫の生まれ変わりとされる『降り子』として信徒から崇拝されている。癒知は神聖な身体を持つ者として、日々の生活に厳しい制限を課せられている。
そんな癒知の前に現れたのは、家庭の事情で何度も転校を繰り返している渡来クミ。
二人はある日、学校のトイレで遭遇し 癒知の勘違いから取っ組み合いの喧嘩になるが、その日を境に親交を深めることに。
教戒に縛られた生活(口に入れるものも、喋る相手も決められてる!)を送る癒知は「しあわせ」がわからない。 「子どもは甘い物を食べただけで感じられるもの。大人は願っても手の届かないもの。『しあわせ』っていったい何?」
親の転勤で 何度も転校を余儀なくされるクミは、真の友達がわからない。「じわじわ忘れ去られるくらいなら、初めから期待させないでほしい」
そして二人に共通するのは、子の愛し方を大きく間違った親の存在。
「大人の都合、大人の事情」に振り回され、ままならない生活を送る癒知とクミ。二人は互いを知り 認め合い 心を通わせていく。
しかし「大人の事情」は、そんな二人の仲を割く最悪な事態へと……
何の力も持たない「子ども」は、この困難に、そして「大人」たちと闘うことはできるのか-。
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ゆっちとクミの友情に心が熱くなりました。
そしてゆっちもクミも良い子だし!徐々に仲良くなくっていく過程もすごく良い!
秘密基地を作る、自転車の乗り方を教える、ルールを破ってある事をする…。小学生らしい二人の姿が本当に可愛く描かれていて愛おしすぎる(*´`*) 日向ぼっこしたかのように心がホカホカ
それに対して 親に何度も何度も裏切られるシーンも、二人の落胆、怒り、諦めが痛いほど伝わってきて泣きそうになる( •̥-•̥ ) どちらの親も心が弱いのはわかる。でもさっ!もっともっと全身全霊で子どもを愛せよっっ!!!ヽ(#`Д´)ノ
お話も始めから面白いと思って読んでいましたが、二人の仲が近づいてからは どんどん面白くなっていき あっという間に読み終えました。
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タイトルは「ギアをあげた日」から改題されそうですが、こちらの方がとてもいい!秀逸!
「このまま一緒に、どこか遠くへ行こう。ずっと二人で」 まだ子どもな二人は、大人の手を離れてどこへも行けないことをわかっている。グッとその言葉を飲み込む。
それでも!ペダルを漕ぐ!
「あそこまで行けば、また新しい選択肢ができる。どんな道かはわからない。永遠に続くわけじゃないだろう。」
いまこの瞬間の決断が、間違っていてもかまわない。
「行け!」
「行け!行け行け!」
『ギアをあげて、風を鳴らして!』
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ちなみに第三十六回の新人賞受賞作は
「正しき地図の裏側より」だったんですね。私的 絶賛おすすめ中のやつ!
本書もおすすめ!!
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Posted by ブクログ
38回小説すばる新人賞受賞作。
小学4年生の吉沢癒知(ゆち)は、ある宗教団体で「降り子(=創父の生まれ変わり)」として信徒から崇拝されていた。神聖な身体を持つ者として、食事や他者との触れ合いを厳しく制限され、幹部の母親との触れ合いも禁止されていた。そして、自分に寄せられる信徒の信仰心や日々の「儀式」に抵抗をおぼえはじめていた。ある日癒知は儀式後に、父親の転勤で何度も転校を繰り返している渡来クミと偶然出会う。その後、学校のトイレで遭遇したふたりは距離を縮めていく。
流れるようにスラスラと読めて、頭の中でイメージしやすかった。さすがすばる新人賞受賞作。
宗教2世の話は本当に辛い。まして、癒知は生まれた時から社会との関わりを持たない施設内で育つ3世。小学校に通っていてもそりゃあ、クラスメートとも馴染めないよ。そして、儀式のシーンが児童虐待。想像するだけで悍ましかった。あんなこと実際にやってたら犯罪だよ。
クミの方も、転勤を繰り返す父親について行くため、仕事を辞めた母の心が壊れかけているにも関わらず、明るく元気に振る舞う様が健気で可哀想なくらい。
彼女たちに明るい未来はあるのだろうか。あって欲しい、そう願いたくなる終わり方だった。
余談
高校の頃、ほとんどの子が進学する中、あるクラスメートだけ家事手伝いとなった。後から聞いた話だと宗教上の理由とのこと。
私が初めて身近に感じた新興宗教だった。それで彼女は幸せなのか、と疑問に思ったことを今でも宗教問題が報道される度に思い出す。
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Posted by ブクログ
ネタバレ表紙を見て、女子2人の青春バディ物だろうなというのは分かったが、その先は全くの予想外。まさかの新興宗教絡み、宗教二世問題と家族離反の重いテーマを内包している、爽やかさ以上の切なさやるせなさも描いた内容。
困っている人の弱みに付け込んで適当なことを教えたり、ウソクソの品物を売りつけたり、拉致して財産むしり取ったり…この小説でもやりたい放題の連中。
信仰の自由は認められるべきだと思うが、それを掲げてやりたい放題やってるカルトの連中には虫唾が走る。例え洗脳されて「良かれ」と思ってそういうことをしている信徒であっても、やってることは他人に迷惑をかけているわけだ。
その狭間で、生きづらさにめげず友情と自分の欲求を信じてあがく2人の主人公に、おじさんは大いなるエールを捧げたい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ親の不仲に悩むクミと生まれながらに宗教の中心に置かれた癒知はともに10歳。特殊な環境で育ったため友達もいなかった癒知は転校してきたクミと最初こそぶつかるが、家庭が楽しくないクミと秘密を共有し、親友となっていく。
癒知の悩みは神の降り子としての役割と降り子であるがため、母にすら触れてもらえない事。食べるものも制限されていて、ガードをしながらも愛情に飢えている。クミにすら全てを打ち明けることはできない。クミもそれを察知して踏み込まない。母同士も交流し、健康を取り戻し、明るくなってきた事を喜んでいたクミは、自分の家に起きる事を予測できず、衝撃を受け、癒知に当たってしまう。
小説とはいえ、児童虐待とも思える内容に衝撃を受けた。洗脳の恐ろしさ、というか。
ラストははっきりさせていないが、児童相談所を頼ってほしいなと思った。